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郡上市

神と仏の里 いとしろ

~伝統を守りながら次世代へ。隠れ里で育まれる未来~

郡上市白鳥町石徹白(いとしろ)は、白山信仰の里であり、豊かな自然を生かしたリゾート地でもある。夏も山頂に残雪をかかえる霊峰・白山。その麓、山あいの隠れ里では、遠い昔から続く暮らしを次世代へつなぐための挑戦が続いている。


石徹白の今昔…白山信仰の栄華あり、リゾートの魅力あり

▲明治時代の神仏分離令で、
 白山中居神社の仏像・仏具が移された
 大師堂には、
 奥州・藤原 秀衡の寄進といわれる
 国指定重要文化財の銅造虚空蔵菩薩坐像
 (どうぞうこくうぞうぼさつざぞう)ほか、
 白山信仰ゆかりの重要文化財が
 多数所蔵されている。

 郡上市白鳥町石徹白地区。郡上市北部にある白鳥町の市街地からは峠をへだて、福井県と隣接する山あいの集落だ。春から秋は登山やトレッキング、マウンテンバイクに渓流釣り、ゴルフやキャンプが楽しめる。冬場は豊富な雪を生かし、スキーにスノーボード、そして山スキーでの登山もできるアウトドア・リゾートの里。日帰り温泉や旅館・民宿もあり、一年を通じて県内外から様々な年代の人が訪れる。
 標高700mのこの地区はトウモロコシも有名だ。昼夜の気温差が大きい高原性の気候の中で栽培されるトウモロコシは抜群に甘く、ファンが多い。毎年夏に行われる収穫祭には県外からも訪れる人もいるほどだ。
 ここ石徹白は、神に仕える人が住む村として、どの藩にも属さず、明治維新まで村人は名字帯刀・年貢は免除の特権を与えられていた。それは、石徹白が古代から白山中居神社を中心とする白山信仰の重要な拠点であったからである。もともと石徹白は、白山信仰に根ざした重厚な歴史を持つ土地として知られてきた。平安時代から鎌倉時代にかけて、白山信仰が盛んだった時代には「上り千人、下り千人、泊り千人」と言われるほど各地から参詣客が集まったという。石徹白では、御師(おし)と呼ばれる人たちが大勢の参詣客に宿を提供し、参拝登山のガイドもしていた。
 時代とともに村の様子も変わったが、石徹白には今もなお、古の文化を後世へつないでいこうとする人々の暮らしが続いている。


危機感から立ち上がった人々、次世代へつながる希望の芽

 石徹白は今、厳しい現実に直面している。ここ50年ほどで人口が激減。昭和30年代に1,200人以上あった人口は、平成25(2013)年1月1日現在、277人。そのうち、小学生は12人という少子高齢化が顕著な地域なのだ。石徹白は県内でも有数の豪雪地帯で、高齢者だけで生活するには困難が多い。こうした状況に歯止めをかけるには子育て世代の定着が必要だが、集落内の仕事は限られている。「このままでは石徹白が無くなってしまう・・・」。危機感を共有した石徹白の人々は、動き始める。
 平成15(2003)年、石徹白が将来にわたって持続できる地域にしようとNPO法人「やすらぎの里いとしろ」が設立。歴史勉強会などを通じて、地域おこしを始めた。平成19(2007)年には、「石徹白地区地域づくり協議会」が発足し、地域の魅力発信、移住サポート、石徹白の自然や文化を守る地域づくり活動などを行っている。
 同年には、農業用の水路等を利用し再生可能エネルギーを発電する「小水力発電プロジェクト」が始動。小水力発電とは、ダムを利用しない1,000kw以下の水力発電のこと。集落の用水路に絶えず流れる水を利用して小さな水車を回し、得られる水力は最大2.2kw。発電した電気は、近くの農産物加工所で利用されている。「エネルギーの地産地消」をめざし、実証実験は今も続けられている。
 小水力発電の取り組みに呼応するかのように、地域には活気が生まれた。平成21(2009)年には、地元の主婦らによる「くくりひめカフェ」がオープン。地元の人々の交流の場を作ろうと地区の集会所で料理やお茶を提供したところ、美味しい料理のファンができ、今では地区外からも人が訪れるようになった。昔から郷土に伝わる味を大切に、地元の食材をふんだんに使った料理が人気だ。
 また、小水力発電や、新規就農などをきっかけにこの地区に移住する若者も現れた。子育てをしながら積極的に地域づくりに関わる者、地元に残って家業を継ぎ、若者の働く場所を生み出そうと挑戦する者など、新たな希望の種も芽生えてきている。
 美しい山間の隠れ里は、これからも進化を続ける。道のりは険しくとも、知恵を出し合い、汗を流す住人たちの姿を白山の神はこれからも見守ってくれるだろう。

▲豪雪はやがて豊かな水となる。
 石徹白では、水車による小水力発電という
 再生可能エネルギーの地産地消を
 実践しはじめているのだ。

▲地元の食材をふんだんに使った「くくりランチ」。
 優しい手作りの味が好評だ。
 カフェの名前の由来は霊峰・白山の神で
 石徹白の白山中居神社にも祀られている
 ”菊理媛神(くくりひめのかみ)”から。

▲小水力発電プロジェクトがきっかけで
 石徹白に通い始め、やがて移住した平野夫妻。

▲奥さんの馨生里(かおり)さんが
 自宅で開く「石徹白洋品店」は、
 こだわりの自然素材を使った
 手作りの服などを販売。
 ギャラリー部分もあり、イベントも開催している。

▲白菜の漬物に好みの肉、ニンニクや
 タカノツメなどを加えて作る、肉の漬物。
 ホットプレートやフライパンで炒めながら食べる
 石徹白の大事な冬の保存食だ。






DATA
所在地 郡上市白鳥町石徹白地区     
アクセス <公共交通機関>
長良川鉄道「北濃」駅下車、タクシーで約30分
(平日・土曜日は郡上市の自主運行バスが1日に3便運行)

<お車>
東海北陸自動車「白鳥IC」から約45分
問い合わせ ■白山中居神社への参拝
白鳥観光協会
TEL/0575-82-5900
郡上市白鳥町向小駄良693-2
HP/http://shirotori.gujo.to/

■石徹白への移住相談
石徹白地区地域づくり協議会
郡上市白鳥町石徹白65-18
HP/http://www.itoshiro.net/

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