白川郷、高山祭、本美濃紙…岐阜県の世界遺産を辿る

1.世界文化遺産「白川郷合掌造り集落」
白川郷は「生きた世界遺産」と言われています。国内の他の世界遺産とは異なり、ここ白川郷は観光地でありながら、今も人々が生活を続ける「暮らしの場」でもあるんです。だからこそ、その景色にはどこか温かみが感じられます。
例えば、白川郷を代表する冬の景観。集落が雪に包まれると、まるで昔話のように幻想的な世界が広がります。夜になり、一つ一つの合掌造りに明かりが灯されると、団らんの声が聞こえてくるようです。
他にも、桜や紅葉が情緒を惹きたてる春・秋、そして集落に田植え唄が響く新緑の季節、爽やかな風が吹き抜ける夏と、四季折々に姿を変えながらも、そこには確かに人々の生活が根付いていることを感じさせます。
受け継がれてきた文化と技術
匠の技を凝らした華麗な祭屋台が練り歩き、日本三大美祭の一つにも数えられる「高山祭」。数百人のさらし姿の男たちが大太鼓を据えたやぐらを担ぐ天下の奇祭「古川祭り」。そして、370年以上の歴史をもち、地域が一体となって行われる「大垣まつり」。これら3つの祭りは[山・鉾・屋台行事]として、ユネスコの無形文化遺産に登録されています。
そして、同じく無形文化遺産に登録されている「本美濃紙」は、その名の通り、岐阜県美濃市で生まれました。柔らかく、独特の風合いを持つこの紙に興味が湧いたら、美濃和紙の「紙漉き体験」にチャレンジしてみてはいかがでしょう。1,300年もの間、継承されてきた歴史や技術の一端を感じられるかもしれません。
3.世界農業遺産「清流長良川の鮎」
岐阜県は、昔も今も清流に恵まれてきました。日本三大清流に数えられる長良川は今では流域に約86万人の人口を抱え、都市部を流れる川となりました。それでも長良川は清らかさを保ち、その流れの中で「澄んだ川の象徴」と言われる鮎を育んでいます。
その背景には、豊かな水資源を当たり前と捉えず、感謝し、維持するための活動を続ける住民の努力があります。
こうした長良川を中心とした自然と人々の暮らしの調和が評価され、2015年「清流長良川の鮎」が世界農業遺産に認定されました。