豊かな自然に育まれた飛騨牛の“味力”

岐阜グルメの代表格で、上質な肉質と芳醇な味わいが特徴の飛騨牛。そんな絶品の飛騨牛を、自然の恩恵を受けながら大切に育てている山村勇人さん。飛騨牛がブランド牛として確立するまでに生産者たちが互いに切磋琢磨してきた努力の結晶が、味ににじみ出ています。

<この記事は、(株)岐阜新聞社と岐阜県観光連盟との共同企画で制作しました。>

訪ねた人:山村勇人さん
飛騨市古川町で飛騨牛生産を行う山勇畜産、飛騨牛レストラン「山勇牛一貫」を経営する。50年前に両親が始めた肉用牛生産を継ぎ、全国和牛能力共進会の候補牛に幾度も選出。その肉質の良さは高い評価を受けている。
豊かな自然に育まれた飛騨牛の“味力”

すべてを手がける飛騨牛のスペシャリスト

飛騨市の中心部・古川町から神岡町へ向かう途上にある、数河高原。標高1,000メートルを超え、夏は涼しく、冬は一面が分厚い雪に覆われます。澄み切った空気の中、国内屈指のブランド和牛・飛騨牛を育てている山村勇人さんは、両親が始めた牧場を受け継いで35年。岐阜県で唯一、繁殖から肥育、そしてレストランまで一貫して手掛ける飛騨牛のスペシャリストです。

柔らかく芳醇な旨み。全国トップに輝いた実力

「飛騨牛は霜降りがほどよく入り、柔らかく芳醇な旨みがあるおいしいお肉です。豊かな自然が広がる岐阜県でのびのびと育ちます」。

飛騨牛は和牛のオリンピックとされる「全国和牛能力共進会(全共)」の第8回、第9回において過去2大会連続で最優秀枝肉賞を受賞。全国にその味が認められ、今や海外でも飛騨牛を提供するレストランが増えています。

ステーキにしゃぶしゃぶ。楽しみ方もたくさん

「肉の味が良くわかるといわれるのは、やっぱりステーキ。ただ、いちばん肉本来の味と香り・風味を感じられると思うのは『すきやき、しゃぶしゃぶ』ですね。今じゃ霜降りは当たり前。脂の質を上げて、より深く濃い味わいを目指しています」と山村さん。

飛騨牛は岐阜県内全体で飼育されており、各地の観光地や温泉宿で、さまざまな飛騨牛料理を楽しむことができます。飛騨地域の郷土料理「朴葉味噌」と合わせたご当地ならではのメニューも人気。

切磋琢磨し、等級の高い上質な肉に

肉質を5段階で評価する中で、飛騨牛と認められるのは3等級以上。とはいえ飛騨牛は4・5等級以上のいわゆる”上物”が全体の9割、5等級が7割を占めるといいます。

「こんな牛はなかなかないですよ。生産者たちが競い合って全体のレベルが上がっている。どこで食べても『飛騨牛っていいね!』と思ってほしい。知り得た経験や技を伝え合い、岐阜県全体で高め合っているから、おいしいお肉ができるんです」。

岐阜の団結力が飛騨牛の強み

「県全体の一体感。これが飛騨牛の強さで、飛騨牛ブランドが大躍進してきた理由です」と山村さんは力を込めます。

「飛騨牛」がスタートしたのは1988年。国内の和牛ブランドとしては、非常に新しいブランドです。現在、飼われている飛騨牛の9割以上が、兵庫県から種雄牛として導入された祖先「安福号(やすふくごう)」の上質な肉質を受け継いでいます。岐阜の宝に磨き上げるため、生産者、流通・販売業者、そして県が一体となって飛騨牛を盛り上げ、短期間で国内屈指のブランド牛に名を連ねるようになりました。

若者も憧れる”日本一”の飛騨牛農家

「全共1位という結果が出たことで、若い担い手も増えました。自分が育てた牛が日本一になると思えば、夢があるでしょう。若者たちも『やりたい!』と思ってくれる。だから毎回、共進会の候補牛となる農家は若手がとても多いです。県内の農業高校も、和牛甲子園で大変立派な成績を毎年修めている。負けてられませんよ」。

情熱、夢、積み上げてきた軌跡。ライバルであり、仲間。山村さんの言葉は、ともに飛騨牛の質を高め、良さを広めようと力を合わせる仲間への思いがあふれます。

日々牛と向き合い、深い愛情を注ぐ

種つけに始まり、1頭の子牛が生まれ、出荷するまでにかかる期間は、約4年。

「毎日顔色を見て対話をし、懸命に牛と向き合っています。僕らにとって牛たちは我が子同然。子牛のときは本当にかわいいですよ、きょとんとしてね。命を扱うわけですから、苦労もあるし、何より責任の重い仕事。でも、だからこそやりがいがあります」。