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岐阜県でSDGsを学ぶ

岐阜県は自然に恵まれ、豊かな森を源とする「清流」は、岐阜県が誇る鮎や飛騨牛などの源であるとともに、”匠の技”を磨き、伝統文化を育んできました。ユネスコ世界文化遺産「白川郷合掌造り集落」、江戸時代の面影が色濃く残る「中山道」、匠の技が光る美濃和紙、関の刃物、美濃焼、飛騨の木工など、先人が守り、受け継いできた宝ものに県内全域で出会うことができます。

また、伝統文化、匠の技などの「有形・無形文化遺産の保護・保全」や自然との共生、岐阜県出身の杉原千畝”命のビザ”にみる「性別・国籍・宗教など人や国による不平等の解消」、世界農業遺産「清流長良川の鮎」に代表される「生態系の保全持続的な利用」などのさまざまな取り組みは、SDGsを目指す時代を先取りするものです。
 
こうした取り組みを学習体験として感じ取ることで、感受性豊かな若い世代の方々にとって、記憶に残る一生の宝ものとなるはずです。
岐阜県でSDGsを学ぶ

01 世界に誇る岐阜県の遺産

岐阜県には、1995年にユネスコ世界文化遺産に登録された「白川郷合掌造り集落」をはじめ、ユネスコ無形文化遺産「美濃和紙」、山・鉾・屋台行事「高山祭、古川祭、大垣まつり」があります。

そして、2015年「生きた遺産」と言われる「清流長良川の鮎」が世界農業遺産に認定されました。

世界に認められたどれもが、昔からの人々の暮らしの中に脈々と受け継がれ、今も息づく文化であり、大切に守られてきた宝です。

【世界農業遺産】清流長良川の鮎

長良川は、岐阜県の中心部を流れ、流域で86万人が暮らしながら、日本三大清流と言われるほどの清らかさ保つ世界でも極めて珍しく、それを支える仕組みが評価され、「清流長良川の鮎」として、2015年12月に国際連合食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産に認定されました。

長良川システムはSDGsにおける「持続可能は消費と生産のパターン確保」「陸上生態系の保護、回復、持続可能な活用」といった目標を満たし、SDGsの理念を体現しています。

清流長良川あゆパークや鵜飼などでそれらを学ぶことができます。

【世界文化遺産】白川郷合掌造り集落

岐阜県の北部に位置し、日本有数の豪雪地帯である白川村は、厳しい気候を耐え抜く先人の知恵が詰まった独特の家屋「合掌造り」に、今も約1500人の住民が農村文化を守りながら暮らしています。1995年「白川郷・五箇山の合掌造り集落」としてユネスコ世界文化遺産に登録されました。

【世界文化遺産】山鉾屋台行事(高山祭、古川祭、大垣まつり)

2016年、高山祭、古川祭、大垣まつりが「山・鉾・屋台行事」として、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。

高山祭は、春の山王祭と秋の八幡祭をあわせた総称で、春秋あわせて23台の豪華絢爛な屋台が多くの人を魅了します。屋台は、地域のコミュニティである「屋台組」を中心に地域の宝として守り続けられており、高山祭屋台会館では本物の屋台を見学することができます。


古川祭は、毎年4月に開催され、静の屋台行事と動の起し太鼓という相反する表情を持ち合わせています。起こ太鼓はさらしを巻いた数百人の男たちが大太鼓をめがけて勇ましく突き進みます。飛騨古川まつり会館では実物屋台の展示や臨場感ある映像で古川祭を体験できます。


大垣まつりは、毎年5月に開催され、13輌のやまが新緑の城下町を練り歩きます。祭の3週間前になると地域ごとにお囃子の稽古が始まり、地域ぐるみで伝統文化を守り続けています。

旅のメモ

命のビザでユダヤ人を救った外交官 杉原千畝

多くのユダヤ人避難民を救うため「命のビザ」を発給した杉原千畝は、岐阜県出身の外交官です。杉原千畝が発給したビザで数千人といわれる避難民が日本を経由して逃れたと言われています。杉原千畝ゆかりの地である八百津町には、記念館や人道の丘公園が整備され、杉原千畝の功績を後世に語り継ぐとともに、世界中に人種や性別、国籍などに関わらす人間の尊厳を認める多様性の考え方を学ぶことができます。

命のビザでユダヤ人を救った外交官 杉原千畝

02 豊かな自然に出会う

岐阜県は県土の8割を森林が占め、その恵みである清流が県内をあまねく流れています。また、海抜0mから標高3000mまで起伏に富み、「飛山濃水」と表現されるように、地域ごとに特色にのある自然環境が育まれています。


北部の飛騨エリアは、北アルプスの自然を満喫できる乗鞍岳や貴重な自然が広がる五色ヶ原の森、大自然のエネルギーを感じることができる小坂の滝が、南部の美濃エリアは、なだらかな平野が広がり、「木曽三川」と呼ばれる木曽川、長良川、揖斐川が流れ、清流を満喫するラフティングやサイクリングなどで岐阜県の自然を満喫できます。

【北アルプスの大自然を満喫できる乗鞍岳】

乗鞍岳は、3,026mの剣ヶ峰をはじめとする23の2,000m以上の峰、7つの湖、8つの平原からなる中部エリアを代表する名山です。

標高1,684mの平湯峠と標高2,702mの畳平を結ぶ乗鞍スカイラインは、日本一の高所を走る観光道路として有名で、自然保護のため自家用車の乗り入れを規制していることからシャトルバスが運行しています。畳平から剣ヶ峰までは初心者でも楽しめる登山コースが整備されています。国の天然記念物で絶滅危惧種に指定されているライチョウに出会えることも。

【貴重な自然が残る五色ヶ原の森】

五色ヶの森は、飛騨山脈の南端乗鞍岳の麓に広がる3000haの広大な森林地帯で、約36万年前に始まった乗鞍岳の火山活動から生まれた唯一無二の神秘的な森です。森林内の倒木や石を使用して歩道を整備したり、山小屋では川を利用した小規模水力発電の電気を使用するなど、自然に負荷をかけない工夫を追及しています。また、一日当たりの入山者の制限や認定ガイド「森の案内人」の動向を義務付けるなど生態系を壊さない取り組みなどが評価され、2021年環境省によるエコツーリズム対象を受賞しました。

【大自然のエネルギーを感じさせる小坂の滝】

岐阜県と長野県の県境にそびえる標高3,067mの御嶽山の麓に位置する下呂市小坂には、落差5m以上の滝が200箇所以上あり、日本一滝の多い町として知られています。

がんだて公園から歩いて15分程で味わうことができる「三ツ滝」から、獣道を下ったり、狭い深い谷の秘境で川を横断する冒険コースまで初心者から上級者まで楽しめるさまざまなガイドツアーがあり、シャワークライミングも楽しめます。

【清流を満喫するラフティング】

長良川の源流域に位置する郡上市は、山に囲まれた自然豊かな地域で、清流の流れを楽しめるラフティングが楽しめます。郡上市にはラフティング体験を提供する事業者が多く、シーズン中の4月~10月になると、様々な場所でラフティングを楽しむ声が聞こえます。


木曽川の中流域に位置する美濃加茂市のリバーポートパーク美濃加茂では、比較的流れがゆるやかであることから、ラフティングの他にボートの上に立ち、水面をパドルを漕いで進むサップも体験できます。

旅のメモ

下呂温泉でエコツーリズムを体験

日本三名泉の下呂温泉で有名な下呂市は、下呂市内5地域ごとに特色のある自然・文化資源を活用した体験観光に取り組むとともに、資源の持続可能な保全と利用、環境への配慮を促すシステムの構築など持続可能な観光街づくりに取り組んでいます。このような取り組みが認められ、日本SDGs協会から「SDGs認定」を受けています。

下呂温泉でエコツーリズムを体験

03 人の知恵と技術に触れる

岐阜県は豊富な水、良質な木材や土などの材料に恵まれ、古くからモノづくりに適した地域で、自然の恩恵を受けた伝統工芸がいくつも生まれました。


鎌倉時代から登場する関の刃物、1300年以上続く美濃焼、飛騨の匠たちが活躍する木工技術は、岐阜県が誇る「匠の技」であり、現在も地場産業として受け継がれています。

【関の刃物】

世界三大刃物産地に数えられる関市には約50社の刃物メーカーがあります。鎌倉時代に刀匠が良質な材料を求めてこの地へ移り住んだことから始まったと言われています。関の刀は「折れず、曲がらず、よく切れる」が特徴で、戦国時代には織田信長や武田信玄などに愛用されました。高度な技術と品質は受け継がれ、現在はカミソリや包丁、はさみに活かされています。また、刀匠の伝統技術を継承する取り組みにも力を入れています。

「刃物屋三秀 関刃物ミュージアム」では、徳川家ご用達の刀匠として活躍した藤原兼房の第25代、26代による日本刀鍛錬を見学でき、玉鋼を実際に大槌で打つ体験もできます。

【美濃焼】

岐阜県東部の多治見市、土岐市、瑞浪市で主に生産される陶磁器「美濃焼」は、普段使いのシンプルな食器から観賞用の芸術品まで機能やデザインなどバラエティに富むことが特徴です。1300年以上の歴史をもち、茶の湯文化が隆盛した安土桃山時代には、茶道具である「黄瀬戸」「瀬戸黒」「志野」が誕生し、江戸時代初期の「織部」とあわせて全国でも有名な茶道具の産地となりました。今でもこの地域には良質な材料、高度な技術の継承などを求めて全国から陶芸家を志す人々が集まります。

窯元織部本店や1804年に開業した幸兵衛窯などでは作陶体験ができます。

旅のメモ

morinos(モリノス)岐阜県立森林文化アカデミー

モリノスには、ツリークライミングや木こり体験、音楽を演奏するなどのユニークな体験プログラムがあります。また、木や虫、キノコなど森の一部分だけを見るのではなく、そこから森全体へと広がるつながりを感じてもらうことを大切に、森林環境教育を行っています。学校、団体向けの体験プログラムをオーダーメイドで作ることも可能です。

morinos(モリノス)岐阜県立森林文化アカデミー

04 先人が残した軌跡をめぐる

江戸時代に交通の要衝として栄えた中山道。岐阜県には17の宿場町があり、今も町家や伝統的ななまこ壁、江戸時代から続く酒蔵など、往時の姿を色濃く残している場所があります。そして、織田信長や明智光秀など日本史を動かした武将たち。天下分け目の関ケ原古戦場など、岐阜県には戦国時代のドラマが色濃く残っています。

また、世界各国から多くの観光客が訪れる飛騨高山や水の都・郡上八幡など江戸時代の町並みが多く残るのも岐阜県の魅力です。

【中山道】


中山道は、江戸時代に整備された東海道、日光街道、奥州街道、甲州街道に並ぶ五街道の一つです。江戸日本橋から京都三条大橋までの全長532kmで、このうちの約4分の1が岐阜内を通っています。また、69の宿場のうち岐阜県内には「馬籠宿」や「中津川宿」など17の宿場があります。県内の中山道沿いには、酒蔵や旅館、商家などが軒を連ねるなど、五街道の中でも最も当時の面影を残しているといわれ、各宿場町には、資料館や体験施設があり、展示や体験プログラムを通じて宿場を拠点に発展した独自の文化と、街道が果たした歴史的役割を学ぶことができます。

【東美濃の山城】


日本100名城の「岩村城」、続日本100名城の「苗木城」「美濃金山城」は、岐阜県を代表する山城です。

恵那市の岩村城は、日本三大山城に数えられ、標高717mと日本一高い場所に位置する山城です。城跡とともに江戸時代に栄えた商家や酒蔵が軒を連ねる城下町は、儒学者佐藤一斉の名言が町中に掲げられており、高い志を受け継いでいます。

中津川市の苗木城は、自然の巨岩の上に人工的に石垣が積み上げられた全国にも珍しい山城で、天空の城のような神秘的な様子が人気です。

可児市の美濃金山城は、1537年に築城された山城で、関ケ原の戦いののちに破城されました。山麓には巨大な石垣があり、城の来訪者をもてなす御殿があったと考えられています。

【天下分け目の戦いがあった関ケ原古戦場】

関ケ原町は、「壬申の乱」や「関ケ原の戦い」といった日本の歴史を大きく左右する戦いの舞台となってきました。

「関ケ原の戦い」は1600年、石田三成率いる西軍と徳川家康率いる東軍あわせて15万人が戦国時代最大規模の戦いを繰り広げました。

2020年10月にオープンした体験型の施設「岐阜県関ケ原古戦場記念館」では、床に設置したスクリーンや、シートが振動する大画面シアターがあり、迫力ある映像で合戦を体感できます。また、合戦に参加した武将の武具や古文書などの展示があり、全方位がガラス張りの展望室からは古戦場を一望できます。

旅のメモ

岐阜関ケ原古戦場記念館で学ぶ

岐阜関ケ原古戦場記念館は、2020年10月にオープンした体験型施設で、1階には床に設置したスクリーンやシートが振動する大画面シアターがあり、迫力ある映像で合戦を体験できます。

岐阜関ケ原古戦場記念館で学ぶ

【岐阜県の伝統が息づく町並み】

岐阜県北部に位置する高山市は、日本有数の観光地で、春秋の高山祭、雄大な自然や風情ある町並み、そこに息づく独自の文化が国内外多くの観光客を魅了してきました。高山には各所に日本古来の木造建築が残っており、中でも三町地区一体は古い町並と呼ばれ、今も江戸時代の町並みを見ることができます。また、全国で唯一「陣屋」が残っている貴重な場所です。


長良川上流部に位置し、「宗祇水」に代表される清冽な水と夏の郡上おどりで有名な郡上八幡。職人町、鍛冶屋町といった町名を歩けば、そこには古い家並みとその軒先を流れる水路があります。柳町の家々は侍町の面影を残しており、隣家との境に袖壁をもつのが特徴。江戸時代から変わらない地元の暮らしを感じることができます。

旅のメモ

最先端の航空宇宙に触れる

岐阜県では最先端の宇宙研究や航空機器の開発と製造が行われています。飛騨市神岡町には、「宇宙素粒子ニュートリノ」に関する研究を行う「スーパーカミオカンデ」があります。「ひだ宇宙科学館カミオカラボ」では、ニュートリノをはじめとした世界最先端の宇宙物理学を楽しみながら学ぶことができます。

各務原市は、航空自衛隊岐阜基地や航空機の機体や部品、宇宙関連機器を製造する工場が集積し、航空宇宙産業を支えています。「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」では、各務原市で製造された実物の航空機が多数展示され、宇宙エリアは、宇宙開発の歴史や宇宙から地球の暮らしを支える最新テクノロジーについて紹介しています。

最先端の航空宇宙に触れる