地元レポーター発!旅のコラム

板取川温泉郷「神明温泉 湯元 すぎ嶋」宿泊体験記 | まるでおとぎ話の世界。岐阜の幸と極上湯を楽しむ秘湯訪問

土庄雄平
土庄雄平
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昔ながらのイメージが強い秘湯ですが、岐阜県関市には平成9年に開湯後、多くの温泉マニアに愛されている、まだ比較的新しい秘湯の温泉宿があります。

お宿の名前は「神明温泉 湯元 すぎ嶋(以下「すぎ嶋」と略す)」。板取川の源流にある板取川温泉郷の湯宿で、日本秘湯を守る会にも加盟されています。

ロケーション抜群の貸切露天風呂に、ぬる湯と熱湯の温度差が気持ちいい内湯。食べきれないほどの岐阜の幸や、おとぎ話に迷い込んだような民芸調の空間、お宿との方との楽しい歓談。癒しのひとときを満喫できたので、レポートしてみたいと思います。

目印にしたい「名もなき池(通称:モネの池)」

  • まるでモネの睡蓮の世界
  • モネの池新名物・笹舟巻き

「すぎ嶋」が位置しているのは、板取川の源流近く。山県市街から車で約1時間ほどでアクセスできます。目印にしておくと良いのは、今や岐阜を代表する観光名所の一つ「名もなき池(通称:モネの池)」です。


透明度の高い池を錦鯉が悠々自適に泳ぐ様子は、まるでモネの代表作『睡蓮』のようだと話題になっています。神秘的で美しい板取川周辺の自然を伝えてくれるスポットです。

日本昔ばなしの世界のよう。板取川沿いの一軒宿

  • 日本昔ばなしに登場するような佇まい
  • いざ非日常の世界へ

「名もなき池(通称:モネの池)」から車で約25分。タラガトンネル方向へ分岐せず、板取川に沿って走っていると、一軒の温泉宿に到着します。


門構えは、木で作られた立派な門と、その横に蓄えてある大量の薪。まるで日本昔ばなしの世界へ入ったような佇まいを見せてくれます。

  • 中庭を抜けて館内へ
  • 湧水が流れ落ちる木樋
  • 古民家らしい趣あるロビー
  • 民芸調にリノベーション
  • 温かみのある囲炉裏

溶け残った雪のある庭、こんこんと水が湧く木桶。建物の中に入ると、囲炉裏の温かみと、どこか懐かしい煙の匂い、木の質感や包容力。まさに五感を刺激する空間が待っていました。


また民芸調の内観も素敵でした。百年を経た古い民家を探し、飛騨の大工に施工してもらったという「すぎ嶋」の建築。その味をいかすように見事にリノベーションされています。

ふと癒される和の風情。民芸調のお部屋に宿泊

  • 畳和室の落ち着く空間
  • 広い客室でのんびりと
  • 卓上の歓迎のお手紙

スタッフさんがとても気さくな方で、お話を楽しみながらお部屋へ。今回は標準客室(囲炉裏なし、定員4名まで)に宿泊しました。「すぎ嶋」には、他にも囲炉裏付きや露天風呂の付いた特別室などもあります。


標準客室でも8畳和室と4畳広縁からなる合計12畳という広さ。全て畳で、木の温もりが感じられ、とても居心地の良いお部屋でした。

  • 温かいお茶でホッと一息
  • こたつでぬくぬくは冬の醍醐味
  • 客室にはなんとPOLAのアメニティ

全室に綺麗な洋式トイレがついているのも嬉しいですね。訪れたタイミングは冬だったので、こたつも用意していただけたのが嬉しいポイント。


ぬくぬくと温まりつつ、お茶でホッと一息、ゆっくりと肩の荷を降ろしました。

ロケーション抜群!2つの貸切露天風呂を満喫

  • とろっとしたアルカリ性単純温泉

「すぎ嶋」に宿泊すると、大浴場のほかに、滞在中2回、離れにある貸切露天風呂を利用できます。


貸切風呂は高賀山と明神山の2つ。それぞれ夕・朝で1回ずつ予約しましょう。


お湯は無色透明なアルカリ性単純温泉。硫黄と硫化水素のほのかな香りと、肌に潤いを与えるような”とろっとした肌触り”が特徴です。

  • 緑に包まれる「高賀山」のお湯
  • 板取川を望む「明神山」のお湯
  • オーバーフローのお湯を楽しむ
  • こぢんまりとした貸切風呂

源泉は少しぬるいのですが、41度前後に加温して供給され、抜群の気持ち良さ。木の浴槽からオーバーフローするお湯に、秘湯らしい風情を感じられます。


日中は光でキラキラと輝くお湯に癒され、朝方はピリッとした寒さの中、静かな入浴にふけりました。

  • 竹の小径を歩いて貸切風呂へ
  • 陽光が竹の葉を照らす

また、貸切露天風呂に行くまでの導線もなかなか面白かったです。

風に揺られる竹の小径を歩きながら、板取川を眺めるパノラマを楽しめました。

岐阜の幸の宝石箱。地の食材満載のお料理に舌鼓

  • 地元の味覚が詰まった前菜から

夕ご飯の時間になると、お部屋までスタッフさんが迎えに来てくれます。温泉で心は満たされても、お腹はすっかりペコペコ!笑


楽しみに待っていると、食べきれないほどの懐石料理を出していただきました。前菜から〆まで一つひとつ地元食材を惜しみなく使った贅沢な内容です。

  • 醤油で焼いた魚もおいしい...!!

中でも長良川大鱒の押寿司やアジメドジョウ旨煮、岩魚のお刺身やあまご醤油焼きなど、魚のボリュームに感動。


特に醤油で焼いたあまごは、香ばしさと甘辛さが身のおいしさを引き立てる絶品です。

  • とろける飛騨牛の焼き肉
  • 旨味の染み出る猪鍋
  • 手打ちそばも絶品

口の中で脂がとろける「飛騨牛モモとサーロイン網焼」や、滋味深く優しい「いのしし鍋」など、メイン料理がどれか分からない豪華ぶり。


冬野菜や自家製手打ちそばまで、まるで岐阜の宝石箱のような懐石料理を味わい尽くしました。


夕食会場が個室なのも嬉しいですね。囲炉裏で温まりながら、パートナーと忘れられないひとときを過ごせました。

ぬる湯と熱湯の交互が気持ちいい!源泉掛け流しの大浴場

  • 湯治場を思わせる大浴場

夕食後は温泉大浴場へ。この時間になると日帰りのお客さんはいないため、ゆっくりと湯船に浸かれるのがポイントです。


内湯は源泉掛け流しの「ぬる湯」と加温のみの「熱湯」の二つの浴槽が設けられています。

  • ぬる湯はいつまでも入れる気持ちよさ
  • 熱湯で一気に温まる至福の時間
  • 日中はこんな感じ

ヒノキ造りならではの木の香りが心地よい空間で、ぬる湯と熱湯を交互に入るのが至福のひととき。繊細なお湯が身体の芯までほぐしてくれます。


熱いお湯があまり得意ではないという方でも、ゆったりと温泉を楽しめる極上のお湯です。

  • 満天の星空を眺める露天風呂
  • 日中はこんな感じ

そして熱くなったら、岩で作られた野趣ある露天風呂へ。晴れの日だったので、頭上に広がる満天の星空に心を奪われました。

  • 民芸調のモダンな湯上処
  • じわじわ温まる薪ストーブ

入浴後は湯上処で、おいしい湧水をいただきながらくつろぎました。


モダンな空間には、板取川を描いた絵画や、「すぎ嶋」創業者の思いが記されたパネルも展示されています。

岐阜といえば朴葉味噌。活力をいただける朝食

  • 朝から贅沢に山の幸を堪能

宿泊の最後の楽しみといえば、朝食ではないでしょうか。温泉宿に泊まると、ご飯に合うその土地土地の味覚を味わえるため、いつもワクワクしてしまいます。


鯉の焼き物や温泉卵、なんと朴葉味噌もありました!

  • 朴葉味噌は好みの焼き具合で
  • ご飯に乗せていただきます

自分の好みで適度に火を入れながら、香ばしく甘辛い味噌をご飯の上にかけていただきます。


朝も貸切の食事会場でゆったりといただける幸せ。優しい味つけで作られた一品一品、最後までほっこりと味わいました。

お宿の方とのコミュニケーション。忘れられない宿泊体験

  • いつまでも心の故郷のようなお宿

小規模の旅館らしいアットホームな接客も「すぎ嶋」の魅力です。お宿の門ではご主人や奥さんとの歓談にふけることができます。


お宿のことや、周囲の自然のこと。知れば知るほど、この地を訪れて宿泊したことに思い入れが生まれますね。


季節が変われば、お宿の雰囲気も料理のおもてなしもガラリと変わるとのこと。またシーンや季節を変えて訪れたい”心の故郷”のようなお宿ができました。お世話になりました!

この記事のレポーター

土庄雄平
土庄雄平
1993年生まれ、愛知県豊田市出身。会社員のかたわら、山岳自転車旅ライターとして活動する。飛騨地方の雪山が大好物。春は北アルプス麓の桜に見惚れ、夏は清流と瀑布に涼み、秋は霊峰白山の紅葉に抱かれる。

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