地元レポーター発!旅のコラム

美濃焼と歴史、隠れ宿。今行きたい東美濃スポットガイド

土庄雄平
土庄雄平
投稿日;
岐阜県の東側に位置する「東美濃エリア」は、美濃焼の産地として知られ、歴史情緒あふれる城下町や隠れ家のような温泉宿が点在する旅情豊かな地域です。日常を彩る器との出会い、戦国の面影を感じる山城めぐり、自然に抱かれた静かな湯の時間など、訪れるたびに新しい魅力に目が向きます。ものづくり、歴史、温泉と、旅の目的を自由に設定できる東美濃。今回は、この地を初めて訪れる人にもリピーターにもおすすめしたいスポットを、テーマ別にご紹介します。

【東美濃の魅力①】 日本一の生産量・美濃焼の聖地

東美濃といえば、まず外せないのが「美濃焼」。日本国内の陶磁器シェアの半数以上を占め、日常使いの食器はもちろん、高級食器やカフェスタイルの器まで多様なラインナップを誇ります。その幅広さは「特徴がないことが特徴」と言われるほどで、伝統的な和柄から現代的な北欧風、個性あふれる作家作品まで、まさに器の宝庫。


1,300年以上の歴史の中で、時代のニーズに合わせながら進化し続けてきた技術やデザイン力が、暮らしに寄り添う器を生み出してきました。産地ならではの価格や種類の豊富さも魅力で、窯元巡りやショップ巡りを楽しめるのは現地ならでは。自分好みの器が必ず見つかるのが美濃焼の聖地・東美濃です。

おすすめスポット① KOYO BASE

美濃焼の魅力を“体験しながら味わえる”場所として人気の「KOYO BASE」。美濃焼のショップ、工房、カフェダイニングが一体となった複合施設で、産地ならではの感性が詰まった空間が広がります。店内では、日常に使いたくなるモダンなプレートやマグカップから、料理映えする器まで幅広くラインナップ。


購入前に実際に手に取って質感を確かめられるのも嬉しいポイントです。併設のカフェダイニングでは、器の使い心地を楽しみながら季節ごとのランチを味わうことができ、器選びのヒントにも。買い物も食事も楽しめるため、初めて美濃焼に触れる人にもおすすめのスポットです。

おすすめスポット② カネコ小兵製陶所

ぎやまん陶やリンカシリーズで知られる窯元「カネコ小兵(こひょう)製陶所」。スタイリッシュなデザインと機能性を兼ね備えた器は、全国のファンから支持されています。通常はイベント時以外に立ち入ることのできない窯元ですが、1月と8月を除く第1土曜日には、体験型ショップ「窯や小兵」が開かれます。作り手と直接触れ合える、特別な一日です。


器の背景にあるストーリーや技術を知ることで、日々の食卓がより豊かに。美濃焼の“今”を感じたい人にぴったりのスポットです。「未来準備室」では、これから登場予定の新商品を、ひと足早くのぞくことができます。

おすすめスポット③ 角山製陶所

体験を通じて美濃焼の世界に触れたいなら「角山(かくやま)製陶所」へ。ここでは職人が使う電動ろくろ体験ができ、自分だけの器づくりに挑戦できます。初めてでもスタッフが丁寧に教えてくれるため安心。


また、絵付け体験も人気で、皿やカップに自由にデザインを施せば旅の思い出にもぴったり。完成した作品は後日焼成して、店頭での受け渡しか、着払いで届けてもらえるため、自宅で使う楽しみも続きます。ものづくりが好きな人はもちろん、家族やカップルでの旅におすすめです。

【東美濃の魅力②】 山城など奥深い歴史スポットが点在

東美濃は、古代から続く長い歴史が積み重なった地域です。飛鳥時代には須恵器(すえき)が焼かれ、戦国時代には土岐氏や遠山氏が勢力を広げ、武田・織田氏の国境地帯として多くの山城が築かれました。岩村城や苗木城のような山城は、その険しい地形と強固な構造で知られ、現在も歴史ファンを魅了し続けています。


さらに江戸時代には中山道(なかせんどう)の宿場町として栄え、馬籠宿(まごめじゅく)のように街道の面影を色濃く残すエリアも点在。陶磁器文化が花開いた美濃焼の源流もこの地にあり、地域の歴史とものづくりが深く結びついていることを実感できます。城跡散策、宿場町の町歩き、文化遺産の鑑賞など、多層的な歴史を体感できるのが東美濃の大きな魅力です。

おすすめスポット① 岩村城下町

日本三大山城に数えられる岩村城の麓に広がる「岩村城下町」は、江戸時代からの町割りが美しく残るエリア。重要伝統的建造物群保存地区にも選定され、町歩きが楽しい情緒あふれるスポットです。


往時の邸宅を活用した資料館や古民家カフェ、土地に根ざした飲食店が点在し、ぶらりと食べ歩きを楽しむのにもぴったり。女城主の伝説が残る町としても知られ、歴史散策好きにはたまらない魅力が詰まっています。ゆったり歩きながら昔日の雰囲気に浸れる、東美濃を代表する城下町です。

おすすめスポット② 苗木城跡

空に浮かぶ城と称される「苗木城跡」は、巨岩の上に築かれた独自の構造が見どころ。展望台からは恵那山(えなさん、標高2,291m)や木曽川を望む雄大な景観が広がり、山城ファンだけでなく観光客も惹きつける絶景スポットです。


山道を登る散策ルートは歴史と自然を一度に味わえるのも魅力。岩と木材を巧みに組み合わせた当時の建築技術は、今見ても圧巻で、まるで戦国時代にタイムスリップしたような感覚を味わえます。

おすすめスポット③ 虎渓山永保寺

東美濃有数の名刹として知られる「虎渓山永保寺(こけいざんえいほうじ)」。国宝の観音堂や開山堂を擁し、湖面に映る風景が息をのむほど美しい禅寺です。国指定名勝庭園は趣深く、四季折々の彩りが訪れる人をやさしく包み込みます。


静寂に満ちた境内を歩けば、心が自然と整っていくよう。観光だけでなく、精神をリセットしたい旅にもぴったりの場所です。

【東美濃の魅力③】 知る人ぞ知る名湯と隠れ宿がある

東美濃には、知る人ぞ知る温泉宿が点在しています。大規模な旅館とは違い、静けさと温かいおもてなしを大切にする宿が多く、旅慣れた人ほど虜になる魅力があります。


泉質の良さはもちろん、趣向を凝らしたとっておきのお料理や、自然に包まれた癒しのロケーションもポイント。観光の拠点にするだけでなく、宿を目的にする旅もおすすめです。東美濃ならではの上質な“隠れ宿時間”が待っています。

おすすめスポット① 山神温泉 湯乃元館

山あいに佇む一軒宿「山神温泉 湯乃元館」は、東美濃でも人気の高い秘湯のひとつ。泉質は単純弱放射能冷鉱泉(ラジウム温泉)で、無色透明・柔らかな湯ざわりが特徴です。ラドンを多く含むため、神経痛や筋肉痛、冷え性などに効能があるとされ、体の芯までじんわり温めてくれます。


落ち着きのある和室と、料理長が腕を振るう旬の会席料理、里山の静かな風景が調和する心安らぐ宿。細やかなもてなしとともに、“東美濃らしいゆるやかな時間”が流れています。

おすすめスポット② 渡合温泉旅館

電気の通らない“ランプの宿”として知られる「渡合温泉旅館(どあいおんせんりょかん)」。源泉はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉で、肌にやさしい柔らかさが特徴。源泉温度は約10℃と低く、薪で沸かす湯はどこか懐かしさを感じさせます。


高野槙(こうやまき)造りの浴槽、ランプの灯りだけが照らす夜、周囲を包む静寂——日常では味わえない特別な時間がここにはあります。秘境でゆったり過ごしたい人にぜひ訪れてほしい温泉宿です。

日本らしさと土地の個性が融合する東美濃エリア

美濃焼の産地としての深いものづくりの文化、戦国史や宿場町の面影を感じる歴史スポット、そして静かに佇む秘湯の宿。東美濃は、旅の目的に合わせて多彩な魅力を楽しめる地域です。器を探す旅、歴史を歩く旅、癒しを求める旅——そのすべてがこのエリアで叶います。次の旅先に、ぜひ東美濃を選んでみてはいかがでしょうか。

この記事のレポーター

土庄雄平
土庄雄平
1993年生まれ、愛知県豊田市出身。会社員のかたわら、山岳自転車旅ライターとして活動する。飛騨地方の雪山が大好物。春は北アルプス麓の桜に見惚れ、夏は清流と瀑布に涼み、秋は霊峰白山の紅葉に抱かれる。

記事一覧

登ってこそ面白い!絶景・登山・歴史を楽しむ岐阜の山城5選
登ってこそ面白い!絶景・登山・歴史を楽しむ岐阜の山城5選
more
紅葉彩る天空の稜線へ。硫黄岳と乗鞍岳をつなぐ平湯尾根を歩く
紅葉彩る天空の稜線へ。硫黄岳と乗鞍岳をつなぐ平湯尾根を歩く
more
避暑を求めて岐阜・秘境の旅。北アルプスと清流に癒やされる、夏の涼スポット4選
避暑を求めて岐阜・秘境の旅。北アルプスと清流に癒やされる、夏の涼スポット4選
more
一度は挑戦したい「各務原アルプス」大縦走|東海屈指の低山ロングトレイルを歩く
一度は挑戦したい「各務原アルプス」大縦走|東海屈指の低山ロングトレイルを歩く
more

関連記事

いま読まれている人気記事

登ってこそ面白い!絶景・登山・歴史を楽しむ岐阜の山城5選
登ってこそ面白い!絶景・登山・歴史を楽しむ岐阜の山城5選
岐阜には、山の上に築かれた山城がたくさんあります。城跡を訪ねるだけでなく、そこまでの道のりも楽しめるのが山城歩きの面白いところ。坂道や石段を登った先には、城下町や山々を見渡す思いがけないパノラマが待っています。今回は、岩村城、苗木城、下麻生城、岐阜城、郡上八幡城の5つをご紹介。しっかり歩いて楽しめる山城を中心に、歴史と絶景を一緒に楽しめる旅をご案内します。
more
長良川の源流域をめぐる郡上ドライブ|白山信仰と清流の恵みを感じる一日旅へ
長良川の源流域をめぐる郡上ドライブ|白山信仰と清流の恵みを感じる一日旅へ
まだまだ暑さが続くこの時期に訪れたいのが、郡上市北部に広がる長良川の源流域です。
山々が育む豊かな水は、美しい風景をつくるだけでなく、この地の信仰や文化、食も支えてきました。
今回は、石徹白(いとしろ)から高鷲、白鳥へ。木々に囲まれた神社や涼やかな滝、水の行方を分ける分水嶺を訪ね、郡上の清流の恵みも味わいます。残暑をしばし忘れて、郡上の「水」をたどる一日ドライブ旅です。
more
わんこと過ごす!わんダフルな1日 in 岐阜
わんこと過ごす!わんダフルな1日 in 岐阜
ふわふわの毛並み、つぶらな瞳、しっぽを振って近づいてくる姿。それだけで、思わず笑顔になりますよね。

犬と一緒に過ごしたり、触れ合って癒やされたり、ただ眺めてほっとしたり。ワンちゃんとの時間の楽しみ方は、人それぞれです。

愛犬とお出かけしたい方も、今は飼えないけれど触れ合いたい方も、それぞれのスタイルで楽しめる場所があります。

今回は、岐阜県内でドッグカフェやふれあいスポットなど、ワンちゃんとの多彩な時間を楽しめる場所をご紹介します。
more

オススメのPick Up 記事

薬草風呂で温まる!天空の茶畑と「かすがモリモリ村リフレッシュ館」
薬草風呂で温まる!天空の茶畑と「かすがモリモリ村リフレッシュ館」
岐阜県の最西端に位置する揖斐郡揖斐川町春日(かすが)。伊吹山の北麓にあたり、豊かな自然環境のもとで古くから薬草が栽培されてきました。

「かすがモリモリ村リフレッシュ館」では、薬草風呂や薬膳料理が楽しめる他、地元で採れた新鮮な野菜も手に入れることができます。

また、この施設の近くにある上ヶ流(かみがれ)地区では、標高約300メートルの山間でお茶が栽培されている「天空の茶畑」があり、県内外から多くの人が訪れます。

今年5月には、「はるひの案内所」もオープンして、薬草やお茶などの地域文化に触れることができるようになりました。静かな山間で身も心もリフレッシュしてみませんか。
more
登ってこそ面白い!絶景・登山・歴史を楽しむ岐阜の山城5選
登ってこそ面白い!絶景・登山・歴史を楽しむ岐阜の山城5選
岐阜には、山の上に築かれた山城がたくさんあります。城跡を訪ねるだけでなく、そこまでの道のりも楽しめるのが山城歩きの面白いところ。坂道や石段を登った先には、城下町や山々を見渡す思いがけないパノラマが待っています。今回は、岩村城、苗木城、下麻生城、岐阜城、郡上八幡城の5つをご紹介。しっかり歩いて楽しめる山城を中心に、歴史と絶景を一緒に楽しめる旅をご案内します。
more
知っているようで知らない!岐阜県図書館の魅力を再発見
知っているようで知らない!岐阜県図書館の魅力を再発見
1995年に開館した岐阜県図書館は、県民文化の森と呼ばれるエリアにあります。道を隔てて向かい側にある岐阜県美術館とともに、地域文化の発信拠点として親しまれています。

夏休み期間には「県民文化の森 夏のわくわくプロジェクト」が、図書館と美術館の連携イベントとして開催されました。

本を借りるだけではない、さまざまな楽しみ方があるのをご存じでしょうか。

今回は、意外と知られていない岐阜県図書館の魅力をご紹介します。
more