地元レポーター発!旅のコラム

森林浴回廊と滝、そして御嶽山の展望へ。日本三百名山「小秀山」登山ルートガイド

土庄雄平
土庄雄平
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日本屈指の3,000m峰として知られる霊峰、御嶽山。その周囲には魅力的な山々が点在しています。今回紹介するのは、日本三百名山のひとつ「小秀山(こひでやま、標高1,982m)」。乙女渓谷の豊かな自然や迫力ある滝、そして山頂から望む御嶽山の大展望まで、登山の醍醐味が詰まった名峰です。ぜひ一日かけて挑戦してみてはいかがでしょうか。

渓流と緑に包まれる「森林浴回廊」を進む

  • 緑が深い秘境・乙女渓谷

小秀山が位置するのは、岐阜県中津川市と長野県王滝村の県境。付知峡や下呂温泉の近く、阿寺山地と呼ばれる山域に属しています。標高1982mの小秀山は阿寺山地の最高峰であり、日本二百名山にも選ばれている名山です。


ただし登山口までのアクセスはややハード。登山口となる乙女渓谷までは中津川ICから車で約1時間ほどかかります。それでも到着すれば、その苦労を忘れさせてくれる秘境の自然が待っています。

  • 森林浴回廊と呼ばれる木道の道が続く
  • 木道から随所で滝を眺められる
  • 途中に通過する山小屋

登山は乙女渓谷キャンプ場のロッジ付近から始まります。渓流に沿って整備された登山道には木製デッキが設けられており、心地よい樹林帯の歩きからスタートします。


この区間は「森林浴回廊」と呼ばれ、豊かな緑と清流に包まれた心地よい道が続きます。木々に覆われているため日差しもやわらかく、夏でも涼やかな山歩きを楽しめるのが魅力です。渓流のせせらぎや苔むした岩、点在する小さな滝など、情緒ある渓谷の風景が登山者を癒やしてくれます。

圧巻の迫力を誇る「夫婦滝」に出会う

  • 圧巻の落差と水量を誇る夫婦滝
  • 天から注ぐような水飛沫

歩き始めて1時間から1時間半ほど。渓谷の奥へ進むと、森林浴回廊のハイライトともいえる夫婦滝が姿を現します。


落差約80mを誇る男滝は、登山道から見上げるとまるで天から水が降り注ぐかのような迫力。岩壁を伝って落ちる水は細かな飛沫となり、風に乗って登山者のもとへ届きます。汗ばむ体には心地よく、思わず足を止めて眺めたくなる景観です。

  • 少しスリリングなカモシカ渡り
  • 岩と木々が織りなす登山道の中盤

ここでひと息入れたら、いよいよ登りも本格的になります。次第に傾斜が増し、山道らしい登りが続きます。途中には「カモシカ渡り」と呼ばれる岩場もあり、短いながらも手足を使って慎重に通過したいポイントです。岩場に不安がある場合は、二の谷ルートではなく三の谷ルートを選ぶと安心でしょう。

白山や御嶽山を一望。抜群の展望を誇る「兜岩」

  • 山並みに吸い込まれるような大パノラマが待ち受ける
  • ここからは一気に高山らしいダイナミックな風景に
  • 噴煙を上げて佇む御嶽山
  • 遠く雪を冠した白山の山並みも一望

急登を越え、二の谷ルートと三の谷ルートの合流点を過ぎると、小秀山屈指の展望地である兜岩に到着します。登山口からのコースタイムはおよそ3時間半から4時間ほど。ここまで来ると視界が大きく開け、ダイナミックな景色が広がります。


西方には霊峰白山、そして眼前には荒々しい山容の御嶽山。遠くまで連なる山並みが一望でき、思わず足を止めて見入ってしまうような展望です。

  • 眼下に絶景が広がる兜岩
  • 登山道から兜岩を見上げる
  • 遮るもののない青と緑の景色が広がる

小ピーク上にある兜岩は切り立った岩峰で、下呂や東白川方面の町並みを見下ろす高度感も抜群。また阿寺山地の峰々が連なる風景を楽しめる点も、まさに小秀山の醍醐味といえるでしょう。ただし岩の先端部はスリリングな場所でもあるため、無理をせず自分のレベルに応じて楽しむことが大切です。

尾根の先に御嶽山を望む「小秀山」山頂

  • 途中、平坦区間も通過して、小秀山山頂へ
  • 山頂に佇む避難小屋の風景が絵になる

実は兜岩は山頂ではありません。本当の山頂までは、ここからさらに約40分ほど。標高を稼いだあとは、なだらかな稜線歩きが続きます。途中には「第一高原」「第二高原」と呼ばれる開けた場所もあり、森林限界ならではの景色変化に富んだ登山道を楽しめます。

  • 山頂の先に広がる秀峰・御嶽山にパノラマ
  • いつまでも眺めていたくなる雄大な風景

やがて最後の急登を越えると、小秀山の山頂に到着します。山頂自体は樹林に囲まれていますが、岩場へ進めば視界が大きく開け、壮大な景色が広がります。


そこに広がるのは、御嶽山と阿寺山地の峰々が織りなす雄大なパノラマです。緑の尾根の先に堂々とそびえる御嶽山の姿はひときわ存在感があり、小秀山に登ったからこそ出会える山岳絶景に感動するでしょう。

歩きやすい三の谷ルートで下山がおすすめ

  • 歩きやすい樹林帯の道を使って下山
  • 舗装路まで来たら登山口はすぐそこ

下山には、三の谷ルートの利用がおすすめです。二の谷ルートにある「カモシカ渡り」は下りでは滑落の危険もあるため、安全面を考えると三の谷ルートを選ぶのが無難です。


コースタイムは全体でおよそ7〜9時間。標高差は1000mを超え、ある程度の体力は求められますが、本格的な山歩きへのステップアップに適した一座と言えるでしょう。

日本三名泉のひとつ「下呂温泉」を楽しむ

  • 日本有数の温泉地として名高い下呂温泉

登山口の乙女溪谷から、日本三名泉の下呂温泉まで車で30分弱という点も、小秀山がおすすめの理由です。下呂温泉は日本三名泉のひとつに数えられる温泉地で、平安時代から続く歴史を持ちます。pH9.2のアルカリ性単純泉は「美人の湯」として知られ、なめらかな肌触りと高い保温・保湿効果が特徴です。

  • 畳敷きの内湯が名物の下呂温泉 小川屋
  • やわらかな湯ざわりで肌がすべすべになるアルカリ性単純泉

温泉街には多くの宿がありますが、日帰り入浴を受け付けている施設も多く、登山後に立ち寄るのにも便利です。なかでもおすすめなのが、「下呂温泉 小川屋」。格子と畳を組み合わせた独特の内湯が特徴で、落ち着いた雰囲気のなかで湯に浸かることができます。


さっぱりとした湯質で、登山後の体にも心地よく感じられるでしょう。少しひんやりとした畳の上で休憩できるのも魅力です。日帰り入浴は土・日・祝の12:00〜15:00となっているため、訪れる際は時間にご注意ください。

この記事のレポーター

土庄雄平
土庄雄平
1993年生まれ、愛知県豊田市出身。会社員のかたわら、山岳自転車旅ライターとして活動する。飛騨地方の雪山が大好物。春は北アルプス麓の桜に見惚れ、夏は清流と瀑布に涼み、秋は霊峰白山の紅葉に抱かれる。

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