東美濃の特別な旅へ|山神温泉 湯乃元館「旅行バトラープラン」宿泊体験記
- 土庄雄平

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旅の移動から特別になる旅行バトラープラン
「山神温泉 湯乃元館」は、土岐多治見ICから車で15分ほど。名古屋からも高速道路を使えば、およそ1時間で到着する立地です。堂々とした佇まいの玄関先では、今回の旅を案内してくれる旅行バトラーの博史さんが笑顔で出迎えてくれました。
宿の前に据えられた瓦は、かつて本館で実際に使われていたものだそう。さりげない一角にも、この宿の歩んできた時間が感じられます。
旅行バトラープランは、通常のチェックインよりも少し早い時間からスタート。専用のバトラー車に乗り込み、最初の目的地「KOYO BASE」へと向かいます。車内では、さっと手渡されるおしぼりやブランケットの用意など、細やかな心配りが随所に感じられ、移動の時間さえも特別なひとときに変わっていきました。
泊まる前から始まる、東美濃の体験
「KOYO BASE」は、食べる・買う・楽しむ・学ぶという4つの体験を通して、うつわの奥深い魅力に触れられる複合施設。陶器メーカーの光洋陶器が手がけており、館内には思わず手に取りたくなるような可愛らしい器が並びます。
併設のカフェ「CLAY Table」では、地元食材と器の美しさを同時に楽しめる食事を提供しています。洗練された空間でありながら、子連れにもやさしいのが嬉しいポイントです。子ども用の椅子やお子さまプレートが用意されており、家族で安心して食事を楽しめました。
旅行バトラープランでは、最初に訪れるスポットでチェックインを行います。実はこの「KOYO BASE」も含め、立ち寄り先は事前に回答したアンケート内容をもとに、博史さんが一組ずつ最適な場所を選んでくれています。自分たちの好みや旅のスタイルに合わせて行き先が決まり、連れて行ってもらう先々に自然と期待が高まっていくのも、このプランならではの魅力です。
この日は冬限定のプレートメニューが並び、なかでも「ひのき牛と飛騨豚のハンバーググラタンとお野菜のセット」をオーダー。肉の旨みをたっぷり閉じ込めたハンバーグに、なめらかでコクのある里芋クリームが重なり、思わず笑みがこぼれる味わいでした。コロンとした丸みのある器の愛らしさも、料理の魅力を一層引き立ててくれます。
地元の息づかいに触れる、窯元ギャラリー
午後に訪れたのは、「カネコ小兵(こひょう)製陶所」。8月と1月を除く毎月第一土曜日にだけ開かれるギャラリーショップ「窯や小兵」では、買い物だけでなく、店員さんや訪れた人同士の会話も楽しめる、和やかな空気が流れていました。
会場となっているのは、築80年以上の蔵。重みのある木の扉をくぐると、静かな空間に器が美しく並びます。なかでも窯元を代表する「ぎやまん陶」は、光の入り方によって表情が変わり、その美しさに惹かれて思わず手に取ってしまいました。
さらに、自ら陶器に盛りつけてお菓子をいただけるという心配りも。器の使い心地を実際に体験しながら味わえる、うれしいサービスです。窯元の方から直接話を聞ける機会もあり、終始あたたかく迎えてもらえたことが、何より心に残りました。こうした土地ならではの出会いが生まれるのも、旅行バトラープランだからこそ味わえる魅力です。
上手じゃなくても楽しい、絵付け体験のひととき
宿に戻る前に立ち寄ったのは、JR土岐駅近くにある「角山(かくやま)製陶所」。窯元でありながら、陶芸体験が楽しめる人気スポットです。電動ろくろや絵付けなどの体験が用意されていますが、今回は素焼きのお皿に絵や文字を描く絵付け体験に挑戦しました。
子どもの世話をしながら、夫婦で交代しつつ作業を進めます。妻は実家で飼っている愛犬を、私は大好きな山の風景をモチーフに描きました。決して上手とは言えませんが、オリジナルの作品だからこそ愛着が湧きます。少しコツが必要でしたが、なんとか形になり、焼き上がりは後日自宅へ発送してもらえるとのこと。完成が待ち遠しいです!
旅行バトラーの博史さんは子どもと優しく遊んでくれ、”魔法の絵本”で上手に気を引いてくれたおかげで、終始ご機嫌のまま過ごすことができました。記念写真も撮ってもらい、家族にとって大切な思い出になりました。最後には、普段はなかなか見られない窯や工房まで案内していただき、貴重な時間となりました。
温もりと癒しに満ちた、山神温泉 湯乃元館の宿泊
博史さんの運転で山神温泉 湯乃元館へ戻り、さっそく客室へ案内していただきました。宿泊したのは、内風呂付き離れ客室「四季山水」。和室10畳と6畳の二間続きで、大きな窓から差し込む光が心地よい、ゆったりとした空間です。子ども同伴でも安心して過ごせる設えで、家族だけの水入らずの時間を過ごせました。
温泉は源泉かけ流しのラジウム泉で、ナトリウムやフッ素などを含む希少泉質。古くから“美肌の湯”として親しまれてきた湯は、やわらかな肌あたりながら、湯上がりは体が軽くなるような心地よさがあります。大浴場はチェックインから翌朝8:30までいつでも好きな時間に利用でき、広々とした湯船に浸かり直すのも贅沢なひとときでした。
そして滞在中、とくに印象に残ったのは、旅行バトラーの博史さんと仲居さんの心配りです。丁寧でありながら、程よい距離感の接客に、普段人見知りの我が子も自然と打ち解けていました。あたたかなもてなしに包まれながら過ごした時間は、家族の思い出をより深いものにしてくれました。
宿の外で味わう、東美濃のごちそう
旅行バトラープランでは、食事をあえて宿の外で楽しむ設定になることもあります。今回案内いただいたのは、山神温泉 湯乃元館から車で5分ほどの場所にある「四季彩料理 藤美」。季節感あふれる日本料理のコースを、手ごろな価格でいただけるお店です。個室だったため、子ども連れでも周囲を気にせず、落ち着いて食事を楽しめたのも嬉しいポイントでした。
料理は前菜から始まり、10品ほどが順に提供されます。内容はどの時々のお楽しみです。どの料理も丁寧な仕事が感じられ、なかでも印象に残ったのが、「天然ぶりのふろふき大根カダイフ揚げ」。サクサクと軽い衣にコクのある味噌、みずみずしい大根の組み合わせが絶妙でした。また、「西京味噌と岩のりで仕立てた自然薯の茶漬け」は、ほっと落ち着く滋味深い味わい。締めの胡桃のアイスまで、最後まで満足感のあるコースでした。
さらにありがたかったのは、食後の移動もすべて旅行バトラーの博史さんがサポートしてくれたこと。迎えに来てもらえたおかげで、夫婦そろって外でお酒を楽しむのは久しぶりでした。肩の力を抜いて過ごせた時間は、忘れられない思い出です。お店選びのセンスも、さすが旅行バトラーといったところ。
器を探す、東美濃ぶらり旅へ
2日目は、自然に包まれた山神温泉 湯乃元館で、美濃焼の器に盛り付けられた朝食からスタート。ゆったりとした朝の時間を過ごしたあと、この日のテーマである“器探し”と“お香体験”へ向かいました。
訪れたのは「本町オリベストリート」と「もとてらす東美濃」、そして「道の駅 土岐美濃焼街道 どんぶり会館」。北欧テイストを感じるモダンな美濃焼から、昔ながらの趣ある器まで、気づけば10点ほど購入していました。蔵出しの品や、1点300円ほどのお手頃な器もあり、宝探しのような感覚で楽しめます。たくさんの荷物を快く運んでくれた旅行バトラーにも感謝です。
移動の途中では、大好きな山を背景に家族写真を撮ってもらったり、オリベストリートで素敵なスコーンのお店に立ち寄ったり。さらに国宝・虎渓山永保寺(こけいざんえいほうじ)にも足を運び、名物の五平餅と味噌田楽のセットを味わうなど、のんびりしつつも充実した時間を過ごしました。
香りとともに、旅を心に刻む
15時過ぎに山神温泉 湯乃元館へ戻り、旅の締めくくりは館内でのお香づくり体験。先生に教わったレシピをもとに調合し、爽やかさの中にふわりと華やかさが広がる、自分好みの香りに仕上げることができました。
指導してくださった先生は、着付け体験なども手がける多才な方で、ただ作業をするだけでなく、香りの背景や文化についても丁寧に教えてくださいました。子どもにも優しく接してくださり、私たちのペースに合わせて進めてもらえたのが印象的です。
この2日間、ずっと寄り添ってくれた旅行バトラーの博史さんと仲居さんが、最後に笑顔で見送ってくださいました。安心感のあるサポートのもと、土地ならではの体験と、家族だけの静かな時間の両方を満喫できた今回の旅。心に残る、かけがえのない思い出となりました。






























































































