地元レポーター発!旅のコラム

東美濃の特別な旅へ|山神温泉 湯乃元館「旅行バトラープラン」宿泊体験記

土庄雄平
土庄雄平
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文化と歴史が息づき、人の営みの気配が色濃く残る東美濃。そんな土地の山間にひっそりと佇む「山神温泉 湯乃元館」では、宿泊の枠を超えて地域と深く出会える「旅行バトラープラン」が始まりました。統括支配人の博史さん自らが“旅行バトラー”となり、ゲスト一人ひとりに合わせた行程を組み立て、送迎から現地案内までを担ってくれる特別なサービス。今回はその体験宿泊の様子をご紹介します。

旅の移動から特別になる旅行バトラープラン

  • 宿の前でバトラー車と、旅行バトラーの博史さんが待つ
  • 立派な建物が連なる趣深い旅館

「山神温泉 湯乃元館」は、土岐多治見ICから車で15分ほど。名古屋からも高速道路を使えば、およそ1時間で到着する立地です。堂々とした佇まいの玄関先では、今回の旅を案内してくれる旅行バトラーの博史さんが笑顔で出迎えてくれました。

  • 木漏れ日が差し込む、かつてあった旧本館の瓦

宿の前に据えられた瓦は、かつて本館で実際に使われていたものだそう。さりげない一角にも、この宿の歩んできた時間が感じられます。

  • ゆったりとした上質空間のアルファードで、心地よい旅のスタート
  • 窓から見えた地元のモチーフ・とっくりとっくん
  • 旅の道中、いたるところでバトラーならではの心遣いも

旅行バトラープランは、通常のチェックインよりも少し早い時間からスタート。専用のバトラー車に乗り込み、最初の目的地「KOYO BASE」へと向かいます。車内では、さっと手渡されるおしぼりやブランケットの用意など、細やかな心配りが随所に感じられ、移動の時間さえも特別なひとときに変わっていきました。

泊まる前から始まる、東美濃の体験

  • 今や東美濃の文化発信基地でもあるKOYO BASE
  • 階段の先には、センスあふれる陶器が並び、ワクワクが止まらない
  • 季節に合わせて変わるおしゃれなラインナップ
  • 販売していないエントランスの器も必見

「KOYO BASE」は、食べる・買う・楽しむ・学ぶという4つの体験を通して、うつわの奥深い魅力に触れられる複合施設。陶器メーカーの光洋陶器が手がけており、館内には思わず手に取りたくなるような可愛らしい器が並びます。

  • 恵那鶏の唐揚げが中心のお子さまプレート
  • 開放的な窓の外には、東美濃のシンボル・恵那山
  • 柔らかな光と温かみに包まれた店内

併設のカフェ「CLAY Table」では、地元食材と器の美しさを同時に楽しめる食事を提供しています。洗練された空間でありながら、子連れにもやさしいのが嬉しいポイントです。子ども用の椅子やお子さまプレートが用意されており、家族で安心して食事を楽しめました。

  • チェックインを行い、旅程を教えてくれる旅行バトラー

旅行バトラープランでは、最初に訪れるスポットでチェックインを行います。実はこの「KOYO BASE」も含め、立ち寄り先は事前に回答したアンケート内容をもとに、博史さんが一組ずつ最適な場所を選んでくれています。自分たちの好みや旅のスタイルに合わせて行き先が決まり、連れて行ってもらう先々に自然と期待が高まっていくのも、このプランならではの魅力です。

  • ひのき牛と飛騨豚のハンバーググラタンとお野菜のセット(時期限定)
  • 黄色のポット型の器が可愛い
  • 混ぜご飯は、ふっと肩の力が抜けるようなやさしい味わい
  • 白身魚のロール白菜とお野菜のセット(時期限定)
  • 美濃焼と料理の両方を味わえる満足感

この日は冬限定のプレートメニューが並び、なかでも「ひのき牛と飛騨豚のハンバーググラタンとお野菜のセット」をオーダー。肉の旨みをたっぷり閉じ込めたハンバーグに、なめらかでコクのある里芋クリームが重なり、思わず笑みがこぼれる味わいでした。コロンとした丸みのある器の愛らしさも、料理の魅力を一層引き立ててくれます。

地元の息づかいに触れる、窯元ギャラリー

  • 優しい色合いに惹かれる陶器ディスプレイ
  • 花が開いたようなリンカのシリーズも可愛い
  • 歴史を宿す蔵をギャラリーショップとして開放
  • 酒器の焼き物も、つい欲しくなってしまうほど心をくすぐる

午後に訪れたのは、「カネコ小兵(こひょう)製陶所」。8月と1月を除く毎月第一土曜日にだけ開かれるギャラリーショップ「窯や小兵」では、買い物だけでなく、店員さんや訪れた人同士の会話も楽しめる、和やかな空気が流れていました。

  • 独特の美しさと質感をもつ"ぎやまん陶"
  • ガラスのように艶やかなに輝く
  • 光の当たり方で表情を変えていく
  • 割れたぎやまん陶は、金継ぎでアート作品に
  • 気持ちの良いお外で、我が子はおやつの時間

会場となっているのは、築80年以上の蔵。重みのある木の扉をくぐると、静かな空間に器が美しく並びます。なかでも窯元を代表する「ぎやまん陶」は、光の入り方によって表情が変わり、その美しさに惹かれて思わず手に取ってしまいました。

  • ぎやまん陶にクッキーを飾り付けてティータイム
  • 窯元の皆さんとの談笑のひととき。焼き物や東美濃について教えてもらった
  • 未来準備室は、販売前の新商品をいち早くお披露目する場

さらに、自ら陶器に盛りつけてお菓子をいただけるという心配りも。器の使い心地を実際に体験しながら味わえる、うれしいサービスです。窯元の方から直接話を聞ける機会もあり、終始あたたかく迎えてもらえたことが、何より心に残りました。こうした土地ならではの出会いが生まれるのも、旅行バトラープランだからこそ味わえる魅力です。

上手じゃなくても楽しい、絵付け体験のひととき

  • 窯元によって全く違う風合いなのが面白い美濃焼
  • 昔ながらの雰囲気がある工房にお邪魔します
  • 独特な格好良さを放つ、GOLD BULE彩シリーズ

宿に戻る前に立ち寄ったのは、JR土岐駅近くにある「角山(かくやま)製陶所」。窯元でありながら、陶芸体験が楽しめる人気スポットです。電動ろくろや絵付けなどの体験が用意されていますが、今回は素焼きのお皿に絵や文字を描く絵付け体験に挑戦しました。

  • 夫婦ともに思い思いの作品を完成
  • 妻の画力に夫はたじたじ!とても自分には真似できない(笑)
  • 車のおもちゃを出してもらい、楽しそうに遊ぶ我が子

子どもの世話をしながら、夫婦で交代しつつ作業を進めます。妻は実家で飼っている愛犬を、私は大好きな山の風景をモチーフに描きました。決して上手とは言えませんが、オリジナルの作品だからこそ愛着が湧きます。少しコツが必要でしたが、なんとか形になり、焼き上がりは後日自宅へ発送してもらえるとのこと。完成が待ち遠しいです!

  • 旅行バトラーのファインプレーで我が子は機嫌を保つ(笑)
  • 最後は作品と3人で記念写真
  • 普段は公開されていない窯を特別に見せていただいた
  • たくさんの焼き物が並ぶ、東美濃の原風景

旅行バトラーの博史さんは子どもと優しく遊んでくれ、”魔法の絵本”で上手に気を引いてくれたおかげで、終始ご機嫌のまま過ごすことができました。記念写真も撮ってもらい、家族にとって大切な思い出になりました。最後には、普段はなかなか見られない窯や工房まで案内していただき、貴重な時間となりました。

温もりと癒しに満ちた、山神温泉 湯乃元館の宿泊

  • 夕暮れのトワイライトが映える、幻想的な宿の佇まい
  • お布団があらかじめ敷かれ、訪れた瞬間からほっとできるおもてなし
  • ゆとりある和室で、のびのびとくつろげる穏やかな空間
  • 我が子のトレンドは、戸を動かすこと

博史さんの運転で山神温泉 湯乃元館へ戻り、さっそく客室へ案内していただきました。宿泊したのは、内風呂付き離れ客室「四季山水」。和室10畳と6畳の二間続きで、大きな窓から差し込む光が心地よい、ゆったりとした空間です。子ども同伴でも安心して過ごせる設えで、家族だけの水入らずの時間を過ごせました。

  • 湯当たりが優しくも、効能が感じられるお湯
  • 四季ごと、時間ごとに趣を変える大浴場
  • 水面のゆらぎを眺めつつ、一日の終わりに心ゆくまで入浴
  • より濃いお湯を楽しめるお部屋の内風呂

温泉は源泉かけ流しのラジウム泉で、ナトリウムやフッ素などを含む希少泉質。古くから“美肌の湯”として親しまれてきた湯は、やわらかな肌あたりながら、湯上がりは体が軽くなるような心地よさがあります。大浴場はチェックインから翌朝8:30までいつでも好きな時間に利用でき、広々とした湯船に浸かり直すのも贅沢なひとときでした。

  • 翌朝、宿の敷地内で秋の散策を楽しむ
  • 薬師堂へ旅行バトラーがご案内
  • まだ小さい子供のために、柿を刻んでくれた
  • お風呂のアヒルも旅行バトラーからの心意気

そして滞在中、とくに印象に残ったのは、旅行バトラーの博史さんと仲居さんの心配りです。丁寧でありながら、程よい距離感の接客に、普段人見知りの我が子も自然と打ち解けていました。あたたかなもてなしに包まれながら過ごした時間は、家族の思い出をより深いものにしてくれました。

宿の外で味わう、東美濃のごちそう

  • 趣ある佇まいの四季彩料理 藤美
  • 美濃焼の陶器で振る舞われる前菜も美しい
  • お刺身は厚切りで、鮮度も素晴らしい

旅行バトラープランでは、食事をあえて宿の外で楽しむ設定になることもあります。今回案内いただいたのは、山神温泉 湯乃元館から車で5分ほどの場所にある「四季彩料理 藤美」。季節感あふれる日本料理のコースを、手ごろな価格でいただけるお店です。個室だったため、子ども連れでも周囲を気にせず、落ち着いて食事を楽しめたのも嬉しいポイントでした。

  • 天然ぶりのふろふき大根カダイフ揚げ
  • 豆乳スープのパイ包み焼き
  • 西京味噌と岩のりで仕立てた自然薯の茶漬け
  • 自家製シフォンケーキと胡桃のアイス

料理は前菜から始まり、10品ほどが順に提供されます。内容はどの時々のお楽しみです。どの料理も丁寧な仕事が感じられ、なかでも印象に残ったのが、「天然ぶりのふろふき大根カダイフ揚げ」。サクサクと軽い衣にコクのある味噌、みずみずしい大根の組み合わせが絶妙でした。また、「西京味噌と岩のりで仕立てた自然薯の茶漬け」は、ほっと落ち着く滋味深い味わい。締めの胡桃のアイスまで、最後まで満足感のあるコースでした。

  • 旅先で家族水入らずの時間を過ごせる幸せ

さらにありがたかったのは、食後の移動もすべて旅行バトラーの博史さんがサポートしてくれたこと。迎えに来てもらえたおかげで、夫婦そろって外でお酒を楽しむのは久しぶりでした。肩の力を抜いて過ごせた時間は、忘れられない思い出です。お店選びのセンスも、さすが旅行バトラーといったところ。

器を探す、東美濃ぶらり旅へ

  • 豪華な朝食は、どれも絶妙な味付けに感動
  • 東美濃の食材と焼き物のコラボレーション

2日目は、自然に包まれた山神温泉 湯乃元館で、美濃焼の器に盛り付けられた朝食からスタート。ゆったりとした朝の時間を過ごしたあと、この日のテーマである“器探し”と“お香体験”へ向かいました。

  • ショッピング後の荷物は、旅のバトラーがスマートにお預かり
  • 気になったお店にぶらりと立ち寄る
  • 歴史と生活感が入り混じる町並み
  • 土岐プレミアムアウトレットからも近い、もとてらす東美濃
  • 様々な表情のとっくりとっくんを発見
  • どんぶり形の道の駅 土岐美濃焼街道 どんぶり会館
  • どんぶり会館ではたくさんの美濃焼が並ぶ

訪れたのは「本町オリベストリート」と「もとてらす東美濃」、そして「道の駅 土岐美濃焼街道 どんぶり会館」。北欧テイストを感じるモダンな美濃焼から、昔ながらの趣ある器まで、気づけば10点ほど購入していました。蔵出しの品や、1点300円ほどのお手頃な器もあり、宝探しのような感覚で楽しめます。たくさんの荷物を快く運んでくれた旅行バトラーにも感謝です。

  • 御嶽山を望むロケーションで、家族写真を撮影してもらう
  • ナチュラルな雰囲気が心地よい、まるで隠れ家のような店内
  • 米粉で作ったグルテンフリーのスコーン
  • 庭園と見事に調和する永保寺観音堂
  • 散りゆく紅葉を光のスポットライトと切り取って
  • 人気No.1の永保寺セットを堪能

移動の途中では、大好きな山を背景に家族写真を撮ってもらったり、オリベストリートで素敵なスコーンのお店に立ち寄ったり。さらに国宝・虎渓山永保寺(こけいざんえいほうじ)にも足を運び、名物の五平餅と味噌田楽のセットを味わうなど、のんびりしつつも充実した時間を過ごしました。

香りとともに、旅を心に刻む

  • 香りを選んで、オリジナルの香り袋を作れる体験
  • 最初にいくつか香りのイメージを教えてもらう
  • 一つひとつ素材の香りを嗅ぎながら調合

15時過ぎに山神温泉 湯乃元館へ戻り、旅の締めくくりは館内でのお香づくり体験。先生に教わったレシピをもとに調合し、爽やかさの中にふわりと華やかさが広がる、自分好みの香りに仕上げることができました。

  • 先生とのコミュニケーションも楽しいひととき

指導してくださった先生は、着付け体験なども手がける多才な方で、ただ作業をするだけでなく、香りの背景や文化についても丁寧に教えてくださいました。子どもにも優しく接してくださり、私たちのペースに合わせて進めてもらえたのが印象的です。

  • 旅のラストは、初めに立ち寄ったKOYO BASEでどうしても欲しかった焼き物を手に入れた

この2日間、ずっと寄り添ってくれた旅行バトラーの博史さんと仲居さんが、最後に笑顔で見送ってくださいました。安心感のあるサポートのもと、土地ならではの体験と、家族だけの静かな時間の両方を満喫できた今回の旅。心に残る、かけがえのない思い出となりました。

この記事のレポーター

土庄雄平
土庄雄平
1993年生まれ、愛知県豊田市出身。会社員のかたわら、山岳自転車旅ライターとして活動する。飛騨地方の雪山が大好物。春は北アルプス麓の桜に見惚れ、夏は清流と瀑布に涼み、秋は霊峰白山の紅葉に抱かれる。

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