地元レポーター発!旅のコラム

平湯温泉「山荘 湯乃里」宿泊体験記 | 極上の田舎料理と聖地巡礼のはしご湯。冬の秘湯に一人お籠り旅

土庄雄平
土庄雄平
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一年を振り返る12月。「どんな1年を過ごせたか?」「そして来年どんな1年を過ごしたいのか?」一人で内省にふける時間を大切にしたいところ。そこでおすすめしたいのが、冬の奥飛騨温泉郷です。

厳しくも静かで美しい雪景色を眺めながら、どこか懐かしさを感じながら、温泉とお料理で心身ともに癒されます。今回は筆者の大好きなお宿「山荘 湯乃里」さんをご紹介。年末の一人お籠り旅にイチオシの温泉旅館です。

秘湯の情緒が高まる。冬の奥飛騨温泉郷に泊まる

  • 厳しくも美しい冬の奥飛騨温泉郷

北アルプス山麓に展開する「奥飛騨温泉郷」。平湯温泉、福地温泉、新平湯温泉、栃尾温泉、新穂高温泉の5つの温泉地からなり、温泉湧出量は毎分37,000ℓと国内第3位(※日本温泉協会「温泉統計」より)の湧出量を誇っています。


源泉の数は100を超え、ほとんどのお宿で源泉かけ流しの新鮮なお湯に浸かることが可能です。ロケーションや温泉が素晴らしいのはもちろんのこと、個性的なお宿が多く、何度でも泊まりたくなる魅力を備えています。


冬は雪に閉ざされるためアクセスの難易度は少し上がるものの、静かで美しい秘湯の情緒が高まるのも魅力です。気温が氷点下を下回ることも多く、何度でも温泉に浸かる湯治旅を満喫できますよ。

アニメ『氷菓』の聖地巡礼も。平湯温泉「山荘 湯乃里」

  • 平湯温泉街に佇む昔ながらの旅館
  • 窓の外を眺めてボーッと
  • 時間帯とともに変わる平湯の雪景色

奥飛騨温泉郷の中で、一人旅におすすめしたいのが「山荘 湯乃里」さん。飾らない昔ながらの温泉旅館ですが、それが良いのです。優しい女将さんが迎えてくださり、子供のころ祖父母の家を訪ねた時のような懐かしさを感じられます。


実は飛騨高山を舞台にした京都アニメーションのTVアニメ『氷菓』の作中には、「山荘 湯乃里」さんがモデルのお宿が登場しています。宿泊をしながら聖地巡礼も一緒に楽しめるのが密かなポイントです。


お部屋は7.5畳ですが、一人旅では十分すぎる広さ。窓の外に広がる平湯温泉の雪景色も見事でした。チェックインしたら、荷物をおろしてホッと一息つくこの余白の時間こそ、一人旅ならではの癒しのひとときです。

泉質は平湯イチオシ。2つのお風呂に入り放題

  • 感動ものの泉質を楽しめる温泉

自由気ままな一人旅では15:00にチェックインをして、夕食の前後で温泉をゆったり楽しむのがおすすめです。


夕食前はサクッと入ってさっぱりと、夕食後は満足するまで入浴します。一度に長時間浸かるのは身体に良くないので、出たり入ったり回数をこなすのが良いでしょう。

ヒノキ造りの内湯

  • 何度でも入りたくなる居心地の良い内湯
  • 硫黄とヒノキの香りが混じり合う

まず内湯がこちら。ご主人が自ら作り上げたという浴室は、そのほとんどがヒノキ造り。木の香りと硫黄泉のにおいが混ざり合って、心地よい香りに包まれます。


泉質の良さは折り紙付き。少し浸かっただけで身体がポカポカになります。最初お湯に浸かり始めた時の気持ちよさがたまりません…!化粧水のように染み渡る肌触りで、入浴とともに身体がすべすべになっていくのが感じられます。


年末らしく今年一年に思いを馳せながら温まりつつ、浴槽を出たら少し窓を開けて、ヒノキの浴室で外気浴を楽しむ。自分をいったんリセットする貴重な時間になりました。

岩造りの露天風呂

  • ひっそりとしている岩造りの露天風呂
  • 雪がちらつく中で浸かる温泉も一興

内湯のほかに露天風呂も備えています。これが自然石を配した野趣ある作りで、なんだか隠れ家感がありました。外はしんしんと雪が降り、まるで水墨画のような白と黒の景色。秘湯らしい時間を楽しみます。


その日の源泉温度にもよりますが、外気温の関係もあり、この日の露天風呂は少しぬるめ。内湯と交互に入るのにちょうど良い温度でした。屋根があるのも良いですね。


宿泊中には何度も入りましたが、一番気に入ったのが早朝。まだ暗い中でぼーっとお湯に浸かりながら、日の出を迎える時間は非日常です。

もりもりいただける!女将さんの田舎料理に舌鼓

  • 最高のおもてなしが詰まった贅沢な夕食
  • 岩魚の塩焼きやお蕎麦、山菜など
  • 天ぷら
  • 飛騨牛の陶板焼き

お宿に泊まる楽しみといえば、やはり食事ですよね。「山荘 湯乃里」さんでは豪華な田舎料理をいただけます。女将さんは「田舎料理だけどごめんね。」とおっしゃっていましたが、とんでもない!素晴らしいお料理の数々でした。


品数も十分!飛騨牛の陶板焼や岩魚の塩焼き、山菜のてんぷらやお刺身など、メインをはれるお料理が盛りだくさんです。お米もたらふく出していただき、もりもりいただいてしまいました!


中でもやはり飛騨地方ならではの飛騨牛は絶品。柔らかく脂の甘みを感じるお肉は、思わず頬が落ちる美味しさでした。天ぷらもボリュームがあり、田舎料理らしいお蕎麦も〆にもってこいです。一年の終わりに心もお腹も満たす、最高の時間を満喫しました。

絶品の郷土料理・朴葉味噌も!活力もらえる朝食

  • ご飯のお供が盛りだくさん
  • 好みの焼き加減でいただく朴葉味噌

続いて1日の活力となる朝食です。朝食はTHE日本の朝ご飯という内容ですが、嬉しいのは飛騨の郷土料理・朴葉味噌がついていること。


適度に焦がせば、甘辛さのなかに独特のコクが加わってとても美味しいです。ご飯が何杯でもいただける最強のご飯のお供です。


あれだけ夕食をたらふくいただいたはずなのに、一晩寝ただけでグーっとお腹が空いているのが不思議なところ(笑)ご飯もお櫃にお米一粒なくなるまでいただきました。

聖地巡礼のはしご湯。雪見の平湯の湯へ

  • 雪景色に包まれる冬の平湯の湯
  • 一人で秘湯に浸かる極上の時間
  • 合掌造りの建物がトレードマーク

翌朝、お宿を出て向かったのは、合掌造りの資料館・平湯民俗館に併設する「平湯の湯」です。山荘 湯乃里さんから徒歩5分の場所にある平湯温泉の共同浴場です。


実はこの平湯の湯も『氷菓』の作中に登場するスポット。なんと主人公たちは山荘 湯乃里さんがモデルとなった旅館に泊まり、平湯の湯を訪れているのです。


ということで、山荘 湯乃里→平湯の湯を訪れると、ファンにはたまらない聖地巡礼のはしご湯を楽しむことができます。


野趣あふれる岩造りの浴槽に、こんこんと源泉がかけ流しされており、秘湯らしさが格別!雪景色も美しく、まさに自然に抱かれるような入浴にふけることができます。鉄分の香りを感じる濁り湯でリフレッシュしながら、来年一年の抱負を考えていました。


いかがでしたでしょうか。今回は12月の季節らしく秘湯で一人お籠り旅をご紹介しました。「山荘 湯乃里」さんはとても素晴らしいお宿なので、ぜひ一度宿泊してみてください。

この記事のレポーター

土庄雄平
土庄雄平
1993年生まれ、愛知県豊田市出身。会社員のかたわら、山岳自転車旅ライターとして活動する。飛騨地方の雪山が大好物。春は北アルプス麓の桜に見惚れ、夏は清流と瀑布に涼み、秋は霊峰白山の紅葉に抱かれる。

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