地元レポーター発!旅のコラム

歴史の舞台で現代アートを体感する!「せきがはら人間村生活美術館」

透 千保
透 千保
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「せきがはら人間村生活美術館」は、株式会社関ケ原製作所の敷地内に広がる広大なアート空間です。

15万平方メートルの敷地のうち、5万平方メートルが無料開放され自由に散策することができます。

芝生に覆われた敷地には、100点余りの作品が点在しています。食堂やカフェで食事やお茶を楽しみながら、現代アートの数々を鑑賞できるとは、なんて贅沢!

「生活空間の中の美術を体感する美術館」とはどのような所なのか、早速ご紹介しましょう。

※写真は、李禹煥(リ・ウーファン)作「関係項ーアーチ・関ヶ原(2014/2023)」

せきがはら人間村生活美術館の入り口

名神高速道路 関ヶ原ICから車で5分。国道365号線を長浜方面へ向かうと、左手に関ケ原製作所の大きな建物が見えてきます。


「せきがはら人間村生活美術館」の入り口は、白いガードレールで囲まれた細い道です。ちょっと分かりにくいので注意して下さいね。迷ってしまったら、会社の守衛で尋ねると親切に教えていただけます。


入り口には「せきがはら人間村生活美術館」のモニュメントが。この道は車も走行可能です。まずは「未来食堂」を目指します。

途中には、イタチやきつねのカワイイオブジェもあります。


背後には工場があり、ものづくりが行われている現場と同居しているのですね。しばらく走ると駐車場に到着。みかげ石の階段が目印です。

階段を上がるとすぐに「未来食堂」が見えてきます。「せきがはら人間村生活美術館」の見学ツアーは、ここから出発!


関ケ原製作所のグループ会社である関ケ原ゼネラル・サービス株式会社の山口知加(やまぐち ともか)さんに、ご案内いただきます。

巨大なアーチからスタート

未来食堂を出ると、目の前に現れるのは巨大なアーチ、李禹煥(リ・ウーファン)作「関係項ーアーチ・関ヶ原(2014/2023)」です。


青い空とムクムクと湧き上がる雲に山の稜線。まわりの景色が額縁のように作品と一体化しています。

  • アジアの苑/杉本準一郎とアジアの作家
  • 虹の門/関根伸夫
  • スギモトオープンエアミュージアム/杉本準一郎

アーチをくぐって目の前に広がるのは、日本、インド、ネパールなど、アジアの彫刻家たちが協力して作った「アジアの苑」。ヒマラヤ山脈とガンジス川をイメージした壮大な作品です。


関根伸夫作「虹の門」は、東芝ビルの解体により移設された作品です。鉄とステンレスで構成され、見る角度により違った趣があります。


どの作品も後方の山並みと遠くに見える伊吹山と調和し、ここでしかないような空気感を醸しだしています。

メンバーズハウスと公園ゾーン

かわいい動物たちにも出会いました。坂井達省(さかい たつみ)作の様々な石彫。このエリアは、「たつみ石彫動物公園」と呼ばれます。


近持イオリ(ちかもち いおり)作のすべり台も子どもたちに大人気とか。インドの黒御影石を使った遊具とは、何とも優雅な気持ちになりますね。


この一帯は、関ケ原製作所のメンバーズハウス(社宅)もある公園エリアになっています。こんな会社で働いてみたい!

  • 目の城'96/新妻実

その近くにある建物は、「人間塾・ニイズマガーデン」と呼ばれ、社内研修施設として利用されています。


人間塾前には、彫刻家 新妻実(にいずま みのる)を讃え整備した庭が広がります。取材で伺った際も、ミーティングが行われていました。ホテルのロビーのような空間で、仕事の生産性も上がりそう!


人間村の理念である「生きることは学ぶこと」「学ぶことは変わること」を振り返る大切な場所でもあります。

蔵ミュージアム

  • 胡桃の葉Ⅱ/若林奮
  • 胡桃の葉Ⅱ/若林奮
  • 前面/若林奮
  • With Winds/李禹煥
  • Lurra77/エドゥアルド・チリーダ
  • Banco 盤古/古郡弘
  • ErmafroidⅡ-両性具有Ⅱ-/古郡弘

「蔵ミュージアム」は、2022年に完成しました。人間村にゆかりのある芸術家たちの作品を所蔵しています。


また、エドゥアルド・チリーダ、関根伸夫、古郡弘、若林奮らの作品を鑑賞できる展示スペースもあります。


岐阜県産の木材が使われており、中に入ると木のいい香りが。ここは、大切な作品の保管場所にもなっているそうです。だから、「蔵」なのですね。


せきがはら人間村生活美術館 本館

本館では、企画展を随時開催しています。


緑の中に佇む建物は温かみがあり、関ケ原製作所とゆかりのある作家たちの作品をじっくり鑑賞することができます。


木・金・土の開館で完全予約制となっています。


  • 地蔵堂(若林奮記念館)/若林奮
  • ゲストハウス
  • 自分の方へ向かう犬Ⅰ/若林奮
  • Dragon family/ ピエール・セーカリー

その隣には、ゲストハウス、「地蔵堂(若林奮記念館)」がありました。庭に何気なく置かれている作品もあり、見つけるとうれしくて気分が高揚しますね。


ゲストハウスは矢橋昭三郎 二代目社長の邸宅をリフォームしたもので、庭に彫刻作品を置いたことが今につながっています。


ピエール・セーカリー作「Dragon familly」は苔が生え、周囲の景観に馴染んでいます。

創業者の家とcafe mirai

  • cafe mirai
  • 関係項―応答/ 李禹煥

「創業者の家」を遠くに見ながら、「cafe mirai」へ。ケーキはすべて手作りで、ハンドドリップのコーヒーもおいしそう。


1階の景色を見ながら休憩したり、2階のライブラリースペースで読書をするのもいいですね。静かでくつろげるカフェです。

  • 神明神社
  • 島津義弘の陣跡

近くには、関ヶ原合戦の開戦地や島津義弘の陣跡もあり、歴史好きにはオススメのスポット。


この辺りで天下分け目の戦いが行われていたのかと思うと、臨場感があります。


◆cafe mirai

住所:岐阜県不破郡関ケ原町大字関ケ原字西甲斐墓1950番-1

TEL:0584-71-6455

営業時間:水・木・金・土曜 10:00 〜 16:30(LO 16:00)

平和の杜

フランスの彫刻家 ピエール・セーカリー作「関ヶ原」。


兵士の兜を積み上げた巨大なモニュメントには、平和を願う気持ちが込められています。


1600年、戦いの舞台だった場所だからこそ、この作品が強く胸に響きました。

未来食堂

見学ツアーもちょうど一回り。


ゴール地点にある「未来食堂」の手前には、ピエール・セーカリー作「ムッシュライオン&マダムライオン」がいて、狛犬のようなユーモラスな姿に気分が和みました。

  • 提供写真

たくさん歩いてお腹が空いた~!ということで、お待ちかねランチタイム。


「未来食堂」の建物は、関ヶ原特産の今須杉(いますすぎ)が使われており、大きな窓からは、先ほど散策した景色が一望できます。お天気がよい日はテラスで食事もできるそうです。


  • 敷地内にある菜園

この日のランチは3種類。関ヶ原産しいたけ入りきのこクリームオムライス、リングイネのボロネーゼ、ミネストローネスープと関ヶ原産バジルのフォカッチャ。


野菜は町内の農家さんや敷地内の菜園で大切に育てられものを使用しています。


デザートは、モンブランプリン、ラムレーズンのアイスに、季節のドリンクとして梅ソーダをチョイス。梅シロップも自家製でした。


どれも美味しい~!スタッフの方々が心を込めて作って下さっています。

店内には、近隣の農家で獲れた新鮮な野菜や果物も販売されていて、こちらも大人気!食事をする目的だけで訪れる人も多いそうですよ。


◆未来食堂

住所:岐阜県不破郡関ケ原町大字関ケ原字神田1908番-1

TEL:0584-43-2717

営業時間:水・木・金・土曜 11:30 〜 15:30(LO 14:30)

せきがはら人間村生活美術館の成り立ち

「せきがはら人間村生活美術館」は、約40年前、関ケ原製作所二代目社長の矢橋昭三郎氏が社員と共に構想した、楽しく働き成長できる「人間ひろば」づくりから始まりました。


人と社会に貢献し、利益の追求だけではない社員を大切にする経営をめざすこと。生活空間の中にある芸術に触れることにより、美しいと感じる心を養うこと。


大型機器などを作るものづくりの現場でありながらアート作品が並んでいるのは、3度の経営危機を経験されたからこそ見つけられた「人間ひろば」なのですね。


今回ご紹介した作品はほんの一部。様々な作品を鑑賞するうちに、当たり前だと思っていた風景が特別なものに思えたり、ここから新たなインスピレーションが湧くような気がして、芸術とは特別なものではなく生活に根ざしたものであると感じました。


「せきがはら人間村生活美術館」では、地元関ヶ原の観光にも力を入れています。この秋、開催される「大関ケ原祭2024」にも見学ツアーがありますので、参加してみてはいかがでしょうか。



◆せきがはら人間村生活美術館

住所:岐阜県不破郡関ケ原町2067番地 株式会社関ケ原製作所内

TEL : 0584-43-1878(関ケ原ゼネラル・サービス株式会社)

受付時間:平日8:00~12:00 / 13:00~17:00


※ 美術館は完全予約制のため、鑑賞を希望される方は、電話、webにてお申し込みください。約2時間のガイドツアーです。

開館日:木・金・土曜日 

案内時間:1日1回 PM13:00〜

入館料:一般1,500円 / 大高生1,000円 / 中学生以下 無料





この記事のレポーター

透 千保
透 千保
岐阜市出身・在住。
フリーアナウンサー、ビジネスマナー講師。
公共交通機関の案内アナウンスも担当。
海外渡航歴21カ国。ニュースや番組取材を通じて得た岐阜の魅力を、多くの方にご紹介します。

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