地元レポーター発!旅のコラム

カフェで楽しむ和菓子!水都・大垣に「船町ベース」誕生

透 千保
透 千保
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俳聖 松尾芭蕉が「奥の細道」の旅を終えたむすびの地である岐阜県大垣市船町。

かつては、川湊(かわみなと)として栄えたこの町の一角に、和菓子店とカフェが併設された憩いの空間が誕生しました。

近くには「大垣市 奥の細道むすびの地記念館」や遊歩道「四季の路」があり、春は水門川に沿ってお花見や舟下りも楽しめる観光名所です。

今回は、2024年3月20日にオープンした「船町ベース」をご紹介します。

船町ベースとは

「船町ベース」は、菓子製造販売の老舗企業である栄光堂ホールディングスが、かつての「船町湊(ふなまちみなと)」のように、人や物、文化が行き交うにぎわいを創出したいとの思いから作られました。


人々が集い楽しめる基地(ベース)を目指しているそうです。

ちょうど桜の季節でもあり、「水の都おおがき舟下り」も行われていました。川の両岸から枝を伸ばす桜の花は、例えようもなく美しい映えスポット。


お花見をしたり、「四季の路」を散策したりと、「船町ベース」の周辺はにぎやかです。

木のぬくもりが感じられる建物は、ブルーボトルコーヒーの店舗デザインを手がけた建築家・長坂 常(ながさか じょう)氏によるもの。目の前を流れる水門川や散歩道など自然との調和を感じさせます。


長坂氏は「半建築」を提唱しており、使い方が決められた設計ではなく、実際に使う人が自由にアレンジする余地が設けられています。大きな屋根とガラス張りの店内は、開放感あふれる空間になっています。

敷地内には井戸が!ここで提供されるお菓子やコーヒーには、この井戸水が使われているそうです。


大垣市は自噴水が多いことで知られていますが、さすが「水の都」ですね。

和菓子店 シン・金蝶堂

和菓子店「シン・金蝶堂」は、2019年に惜しまれながら閉店した「金蝶堂總本店」を復活させたもの。


隣には、菓子工房もあります。新しくなったロゴマークには金の蝶が羽ばたいています。

  • 写真提供 船町ベース

中でも「金蝶饅頭」は、江戸末期、「金蝶堂」の初代・吉田すゑが、大垣藩家老に菓子作りの熱意とその味が認められ、金の蝶の飾りのついた簪(かんざし)を贈られたことから「金蝶饅頭」と名付けたと言われています。


店内には、すゑの銅像もあり、歴史を見守っているかのようです。

店主の吉田大助さん(元金蝶堂總本店6代目)は、多くの方から「待っとったよ(待ってたよ)」と温かい言葉をいただき、もう一度お菓子を作ることができてありがたいとしみじみ語ってくださいました。


先人と対話するかのように日々お菓子と向き合い、買ってくださるお客様に人のぬくもりを伝える。それがひいては地域貢献につながる。和菓子の中に、日本人の精神性と協調性が宿っているというお話には、胸を打たれました。

  • 写真提供 船町ベース

「金蝶饅頭」は、糀を自然発酵させた生地に、こしあんを包んで蒸したお菓子ですが、その日の天候や気温に味わいが左右され、作るのが難しいお菓子なのだそうです。


ほんのり糀の香りがして、ふんわり厚めの薄皮に包まれたお饅頭は、素朴で懐かしさを感じます。

新商品の「こぼれどら焼き」は、きめの細かい生地に、つぶ餡がこぼれそうな程たっぷり挟まれています。


甘さ控え目であっさりした食べ応え。これならいくつでも食べられそう。

  • 写真提供 船町ベース
  • 写真提供 船町ベース

今の季節に味わいたい「桜もち」や、「起き上り最中」もありました。

こちらで購入した和菓子をお隣のカフェで食べることもできます。


今回は「船町ブレンドコーヒー」と「美濃いび和紅茶」をチョイス。どちらも和菓子に合いますね。

船町ベースカフェ

「船町ベースカフェ」は、「むすびの地」にちなんで、おむすびやコーヒーなどの飲み物が味わえるカフェ。

  • 写真提供 船町ベース

おむすびのお米は、美濃のブランド米「ハツシモ」を使い、飛騨牛しぐれ、朴葉味噌、奥美濃古地鶏など、岐阜の食材がふんだんに使われています。


「ハツシモ」は粒立ちがよく、ほどよい粘りがあり冷めてもおいしいのが特徴とのこと。おむすびのバリエーションが豊富で、どれにするか迷ってしまいます。

  • 写真提供 船町ベース

飲み物は、コーヒーの他にも、飛騨のりんごジュース、南濃みかんジュース、美濃いび茶などもありました。


アルコール飲料も用意されています。

  • 写真提供 船町ベース

大垣のソウルフード「揚げオダマキ」。


昔ながらの揚げオダマキは、てんぷら粉を水で溶いた衣をつけ揚げたボリュームたっぷりのお菓子ですが、ここで提供されるのは春巻きを使ったもの。現代風に洗練されたアレンジが大人気!


数量限定販売のため、午前中に売り切れてしまうこともあるそうです。この日は残念ながら完売でした。

  • 写真提供 船町ベース

「芭蕉むすび膳」は、好きなおむすび(3個まで)の合計金額にプラス300円で、揚げオダマキ、味噌汁、香の物がついています。


色々な味が楽しめる豪華なセットメニューです。

お天気のよい日には、外のテラスで食べるのもいいですね。


ワンコと共に訪れる人のために、リードフックもちゃんと用意されています。

今後は、水まんじゅう作り体験や、様々なイベントも計画されているそうです。


人が集い交流できるホットな空間は、まだまだ進行形。

船町ベース周辺の見どころ

長い歴史の中で培われてきた伝統文化を守りつつ、「船町ベース」が、大垣の魅力を発信する拠点となるよう期待しています。


周辺には、船町湊に立つ松尾芭蕉と谷木因の像や句碑、住吉灯台など、水運で栄えた往事がしのばれます。

通りをはさんで、「大垣市奥の細道むすびの地記念館」もあり、イベント開催時には駐車場にキッチンカーが出ることもあります。

大垣市によると、水門川に沿った「四季の路」は、「奥の細道むすびの地」を起点に「四季の広場」「貴船広場」を回遊し、愛宕神社(錦町)までの総延長2,200メートルの路(緑道)です。


水門川周辺には、昨年、美登鯉橋のたもとにシェアキッチン「ennoie ミドリバシ」もオープン。四季折々の景色を楽しみながら、お出かけになってみてくださいね。


◆船町ベース

住所:〒503-0923 岐阜県大垣市船町2丁目1-1

TEL&FAX:0584-47-7768

駐車場:奥の細道むすびの地記念館併設の駐車場がありますが、台数が限られています。


<シン・金蝶堂>

営業時間:9:00~17:00

定休日:不定休、年末年始


<船町ベースカフェ>

営業時間:9:00~18:00

ランチタイム:11:00~15:00

席数:店内34席、店外25席

定休日:毎週木曜日、年末年始

(定休日は変更することもありますのでご了承ください)


この記事のレポーター

透 千保
透 千保
岐阜市出身・在住。
フリーアナウンサー、ビジネスマナー講師。
公共交通機関の案内アナウンスも担当。
海外渡航歴21カ国。ニュースや番組取材を通じて得た岐阜の魅力を、多くの方にご紹介します。

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