地元レポーター発!旅のコラム

秋を味わうなら!美濃加茂市 山之上の梨

透 千保
透 千保
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岐阜県美濃加茂市の東部にある山之上町は、観光果樹園があることで知られています。

果物の栽培だけでなく、こだわりのカフェや食事のできるお店もあり、果樹園を生かした新たな取り組みも始まっています。

今回は、採れたての秋の味覚と、地域づくりに奮闘する方々をご紹介します。

山之上果実農業協同組合(フルーピア山之上)

まずは、山之上果実農業協同組合にお邪魔して、この地域のことをお勉強。参事の羽賀修二さんにお話を伺いました。


山之上町の果樹園は、大正時代に山之上の上野地区を開墾して柿の栽培をしたのがはじまりと言われています。


このあたりは標高100~200メートル、木曽川と飛騨川が作った河岸段丘の台地です。やせた粘土層で耕作には向きませんが、水はけ、日当たりが良いことで果樹には適していたようです。


その後、昭和の初め頃には、梨やぶどうの栽培も始まりました。1948(昭和23)年には、山之上果実農業協同組合が結成され、生産量も増えていきました。

毎年8月中旬から10月上旬に開園する「山之上観光果樹園」では、梨狩りを楽しめます。


美濃加茂市では約140戸の農家が梨を栽培していますが、山之上地区では4カ所の観光果樹園で梨狩りをすることができます。


山之上果実農業協同組合では、その日に合わせた観光果樹園を紹介してくれます。料金を払って、時間は無制限。食べ放題の梨狩りへ、いざ!

紹介された亀山農園に着くと、広大な果樹園の梨の木には、たわわに実った大きな梨が!


腰をかがめてお目当ての梨をもぎ、早速ナイフで皮を剥きます。果物ナイフは、農園で借りられます。


立派に育った梨を頬張ると、芳醇なジュースを飲んでいるかのような新鮮さ。シャリシャリした食感もたまりません。


あまりにも美味しそうに食べている方がいたので、許可をいただき写真撮影。平日にも関わらず、多くの人が訪れていました。

  • 亀山農園の梨
  • ブドウも買いました

8月中旬~下旬は『幸水』、9月~10月上旬にかけては『二十世紀』と、季節によって梨の種類も変わります。


減農薬栽培で大切に育てられた、色や形が見事に揃った美しい梨。直売所がある農園もあり、お土産や贈答品などを買う人であふれています。

梨の栽培は、12~1月までの梨の木の枝の剪定に始まり、4月に花が咲くと受粉、5月は実の数を減らす摘果、6月に袋がけ、7月~11月に収穫を終えるという作業のサイクルで、その間、消毒をするなど1年間休む間もなく手をかけねばなりません。


私たちが美味しい梨を食べられるのも、農家の方々のたゆまぬ努力のおかげなのですね。


◆山之上果実農業協同組合(フルーピア山之上)

住所:岐阜県美濃加茂市山之上町字上町1093-78

TEL:0574-25-4101

営業時間:9:00~15:00

駐車場:あり



農園カフェyamaki / ヤマキ農園

見渡す限りのどかな梨畑が広がる通称フルーツロード。農園カフェyamakiは、この通り沿いにあります。


80年以上続く果樹農家の三代目・長尾久さんが、2014年にカフェを始めました。

ナチュラルテイストの建物に入ると、ぬくもりのあるテーブルやイス、ドライフラワーも飾られていて、居心地のよい空間が広がります。

今が旬の梨パフェをいただきます。


梨がグラスの底までギッシリと入っていて、自然の甘みが!梨を65%以上配合したというジェラート、梨のコンポート、梨のドライフルーツが、これでもか!と添えられている贅沢なパフェです。


ローゼル塩のかかったソフトクリームもいただきました。


この他、モーニングやランチなど食事も楽しめるということです。

店内では、自家製のセミドライフルーツやコンフィチュールも販売されています。


水分量の多い梨の加工品を作るのはとても難しいのですが、長尾さんは何度も挑戦し、試行錯誤の末に完成させたとのこと。


この経験から、多くの人にフルーツの楽しみ方を知ってほしいと思ったことが、カフェを開くきっかけになったそうです。

また、『みのかもローゼル』という名称でローゼルの特産化を進め、2019年には、生産量国内トップレベルにまで達しました。


ローゼルは、アオイ科の植物で、鉄分、ポリフェノール、ビタミンCなどが豊富です。


病害虫の被害が少ないため育てやすく、ローゼルの栽培で耕作放棄地をよみがえらせることができるそうです。

花や葉も食べられますが、実の部分は、ジュースやジャムなどに利用できます。


私も乾燥させたローゼルをハーブティにして飲んでみました。ロースヒップのようなほんのり甘ずっぱい味でした。

カフェの隣には直売所があり、梨や柿など季節ごとのもぎたてフルーツを買うことができます。


園内にはドッグランやツリーハウスなども。木の上に登って、広がる梨園の景色を満喫しました。

農園のはじまりは、長尾さんのお祖父様が山を開墾して梨の木を植えたことだそうです。山之上を拓いた、フロンティアのお一人だったのです。その跡を継いだお父様は、梨の木に語りかけるなど愛情を持って梨作りに人生をかけた方だったとのこと。その思いは、今も受け継がれているのですね。


ヤマキ農園では、7月下旬から収穫する『愛甘水(あいかんすい)』に始まり、『幸水』『豊水』『二十世紀』『あきづき』『南水(なんすい)』『新高(にいたか)』『愛宕(あたご)』『王秋(おうしゅう)』『新雪(しんせつ)』と、11月まで出荷が続きます。追熟してお正月に食べるものもあるそうです。


梨は、風で枝がこすれただけで傷ができてしまう繊細なフルーツ。時期を逃すと売り物にはならない厳しさもあります。だからこそ、旬のおいしさを味わうことで幸せをもたらしてくれます。


今回山之上を訪れたことで、私もフルーツの多彩な楽しみ方を教えていただき、これからは、今までよりもっと深く味わうことができそうです。


◆農園カフェyamaki / ヤマキ農園

住所:岐阜県美濃加茂市山之上町字上町1004-16

TEL:0574-26-5596

営業時間

モーニング: 9:00~11:00

ランチタイム: 11:00~14:00

ティータイム: 14:00~17:00

定休日:月曜日

駐車場:あり



丸坂山田農園

丸坂山田農園は、2022年4月、園内にカフェと精肉店をオープン。


「美濃加茂市の自然の中で美食を楽しむ」をコンセプトとした食事もできる農園です。

農園内には、やぎも飼われていて、のんびりと草を食む姿は愛嬌があり、見ているだけで癒やされます。


子やぎの頃から育て、農園のマスコットにもなっています。

カフェの入り口では、梨の販売も。


贈答用の箱がオリジナルで、カワイイと人気です。

モーニングやランチもあり、ちょっと一息つきたい時に立ち寄ることができます。


飛騨牛が使われているハンバーグやハンバーガーには、この時期は梨も添えられています。お肉と梨の相性もバツグン!

屋外にはバーベキュー場も手作りされ、土日祝日に営業しています。


農園併設の山牛精肉店にて、飛騨牛をはじめ新鮮なお肉が用意されているので、手ぶらで行っても本格的なバーベキューが楽しめます。


金曜日と土曜日の夜は、ビアガーデンも開催されているそうです。予約を入れてお出かけくださいね。

丸坂山田農園は、元々は近くで運輸業を営む丸坂山田運輸有限会社が、土地の取得に際し農業法人を立ち上げたのがきっかけです。


シーズンを通じて1日に2~3千人、かつては1万人の観光客が訪れたこともある山之上町ですが、農園主の高齢化や後継者不足などの問題にも直面しています。おいしい梨を守りたいとの願いから、異業種ながら、手探りで果樹栽培を始められたのです。

当初は取引先に配っていた梨ですが、お客様の要望で販売につながり、今後は山之上のブランドを高めていきたいと語る山田茂会長。


夏には子どもが遊べる巨大プールや、マルシェなども開催され、地域の人たちの憩いの場となっています。


食を通して人とつながる。丸坂山田農園は今も発展を続けています。


◆丸坂山田農園

住所:岐阜県美濃加茂市山之上町字上野1093-3 

TEL:0574-66-2989 

営業時間:9:00~18:00(木曜定休)

カフェ:9:00~15:00

BBQ:11:00~19:00(土日祝日のみ)

ビアガーデン:17:00~21:00(金土のみ)

駐車場:あり



この記事のレポーター

透 千保
透 千保
岐阜市出身・在住。
フリーアナウンサー、ビジネスマナー講師。
公共交通機関の案内アナウンスも担当。
海外渡航歴21カ国。ニュースや番組取材を通じて得た岐阜の魅力を、多くの方にご紹介します。

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