地元レポーター発!旅のコラム

お気に入りのうつわを見つける!多治見「本町オリベストリート」

透 千保
透 千保
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多治見市の観光スポットの一つ「本町オリベストリート」は、歴史の趣が色濃く残る風情あるエリアです。

明治初期から昭和初期にかけては美濃焼の陶磁器問屋が軒を連ね、多治見の商業の中心として大いに賑わいました。

約400m続く街道沿いには、当時の商家や蔵をリノベーションした建物が並び、美濃焼の専門店をはじめ、おしゃれなショップやギャラリー、カフェへと生まれ変わっています。

また、多治見が舞台のアニメ「やくならマグカップも」にも登場し、ファンの間では“聖地”の一つとして知られています。戦国武将であり茶人として知られる古田織部の自由で斬新な精神を現代の街づくりに取り入れたオリベストリート。さっそく散策へ出かけましょう。

THE GROUND MINO

2023年4月にオープンしたTHE GROUND MINO(ザ グランド ミノ)は、本町オリベストリートの中央に位置し、“土”をテーマに美濃焼の魅力を五感で楽しめる複合施設です。


古民家と明治時代の蔵を改築した広々とした約1000坪の敷地内には、ショップ、ギャラリー、レストラン、体験工房など、多彩なエリアが点在。

建物の中へ入ると、正面に当時のまま残された蔵が現れ、アートスペース 「at Kiln(アット キルン) MINO 蔵」 として活用されています。


ここでは、美濃焼の原料となる東美濃の土やその歴史について知ることができ、うつわづくりの奥深さに思わず「なるほど…」と感じさせられます。

土の配合や焼成方法の違いでさまざまな表情のうつわが生まれ、美濃焼が“ひとつのスタイルに限定されない”ことを実感できます。

蔵の左手には「Kitchen Studio」があります。プロが使用する厨房設備もあり、シェアキッチンとして活用されています。


カウンター席やテーブル席には美濃焼作家さんのうつわが並べられていて、丁寧に作られた器に料理が盛りつけられる様子を想像すると、ワクワクした気持ちになります。


こんなうつわで食べたらお料理もおいしくなりそう!

蔵の右手には、東京・南青山にある「at Kiln AOYAMA」の2号店であるギャラリーショップ「at Kiln MINO(アット キルン ミノ)」 があり、美濃の陶作家約70名の作品が展示販売されています。


季節感のあるディスプレイも美しく、一つ一つのうつわに作家さんの個性が感じられます。

曽根幸さんによると、ここは「日常のアートであるうつわを、産地から世界へ発信する拠点」でもあるそうです。


どのうつわも素敵で、眺めているだけで心が豊かになりました。

また、施設入口には家庭で不要になった陶磁器製食器を回収するスペースも設置。


リサイクル・リユース・リメイクの3つに仕分けし、割れた食器も再生されるという取り組みが行われており、その循環の仕組みに心を打たれます。

敷地内の離れには、オリジナルのうつわ作りが体験できる 「at Kiln MINO Ceramics Studio(アット キルン ミノ セラミックスタジオ)」 もあります。


美濃で開発された新素材「ミノメイクレイ」で作るマーブル模様のうつわは、電子レンジも食洗機もOKという実用性の高さも魅力。


週末には一般向け体験が行われており、「次は絶対ここで作ってみたい!」と思いました。


陶芸体験

料金/6,600円

所要時間/約90分(説明込み)

定員/各回4人まで

※2日前までの事前予約制、土日祝日のみ


THE GROUND MINO

住所:多治見市本町6丁目2

営業時間:10:00~18:00

定休日:水曜日(不定休あり)

電話:0572-26-8651



POSTO

THE GROUND MINOのエリア内にあるイタリアンレストラン「POSTO(ポスト)」は、星住シェフが手がけるパスタとスイーツが評判の人気店です。


この日のランチは、季節の野菜と果実を使ったサラダとパスタのセット。種類も豊富で、私は ポルチーニ茸とアンチョビのスパゲッティ をチョイスしました。


デザートには 栗粉のクレープ もいただき、食後まで大満足の内容でした。

こちらでは有機野菜を中心に使用しているそうで、どの料理も素材の良さが引き立つやさしい味わい。サラダもパスタも、思わず「おいしい!」と口にしてしまうほどでした。


また、料理とうつわのバランスも大切にしているとのことで、一皿一皿がとても丁寧に作られているのが伝わってきます。


味はもちろん、見た目や器との組み合わせも含めて、メニュー全体をゆっくり楽しんでいただきたいお店です。


POSTO

住所:多治見市本町6丁目2 THE GROUND MINO

営業日:金土日月

営業時間:ランチ11:00~15:00 / ディナー18:00~21:00

ハナタロウ商店

THE GROUND MINOの向かいにある「かまや多治見」も、2023年4月にオープンした複合施設です。140年以上の歴史を持つ三軒長屋をリノベーションした建物で、どこか懐かしい温かさが感じられます。


3つの店舗のうちのひとつ 「ハナタロウ商店」 では、陶芸品や雑貨、衣服など、選りすぐりのアイテムがセレクト販売されています。お土産や贈り物にもぴったりのものが多く、店内を見ているだけでも楽しい時間が過ごせます。

オーナーの加藤さんは、家業である司電気炉製作所でご自身も作品を制作されており、店内では全国各地の50名以上の陶芸作家によるマグカップも販売されています。


 “司ワンダーマグ”のコーナーには、作家それぞれの個性が詰まっていて、思わず手に取りたくなる魅力的なスペースです。


◆ハナタロウ商店

営業時間 11:00~17:00(土・日曜、祝日は10:00~)

定休日 水曜日

また、同じ建物内にはオーガニック食材のお店「Grass & Leaves」 や、陶芸家が作るスパイスカレー店「タナカリー」があります。


茶室、イベントスペース、レンタルオフィスも備えられており、散策途中に立ち寄りたい複合スポットとなっています。


◆かまや多治見

住所:岐阜県多治見市本町 6-59-2

TEL:0572-23-2636(たじみDMO内)



古民家Koya Koya

明治20年に建てられた古民家を再生した商業施設 KoyaKoya(コヤコヤ)


 中へ入ると、部屋ごとに個性豊かなお店が並び、まるで小さなワンダーランドを歩いているような空間が広がります。


陶器や雑貨、サロンなど、10軒以上のショップが出店しており、見て回るだけでも楽しいスポットです。

犬の洋服を扱うお店もあり、思わず笑顔になるような品ぞろえも魅力のひとつ。1階だけでなく2階もギッシリ!


 カラフルな陶器は、食卓に並べれば毎日の食事がぐっと華やかになりそうです。普段使いできるアイテムもたくさん揃っているので、じっくりとお気に入りを探してみてはいかがでしょうか。


ゆったりとした時間が流れる、心地よい場所です。


◆古民家Koya Koya

住所:多治見市本町6-60 

営業時間:平日10:00~16:00 / 土日祝 10:00~17:00

カフェ 11:00~16:00(ランチ11:00~14:00)

定休日 なし(カフェ、たまゆら除く)

TEL:0572-56-5858



IRISE antique

古民家の窓辺に美しく並ぶディスプレイが目を引く IRISE antique(イリゼ アンティーク)


 「アンティークを日常で楽しむこと」をテーマに、世界各国から集められた品々が並ぶセレクトショップです。


フランス、イギリス、ハンガリー、スロバキア、インド、そして幕末の日本のものまで、幅広い国と時代のアイテムが揃い、いずれもオーナー自ら買い付けたこだわりの逸品ばかり。


眺めているだけで、その国の空気や当時の暮らしがふっと想像できるような魅力があります。

また、店内ではさまざまなジャンルの展示も行われており、アンティークとの組み合わせを楽しめる企画も随時開催されているそうです。


何度訪れても新しい出会いがありそうな、静かで心地よい空間です。


◆IRISE antique(イリゼ アンティーク)

住所:多治見市本町6-61-1

定休日:不定休(Instagramよりご確認ください)

営業時間: 11:00~17:00

TEL:050-1396-9753



やままつ 加藤松治郎商店

明治9年創業の老舗「やままつ」は、4代にわたり美濃焼を扱ってきた陶磁器問屋です。


趣のある店内には、普段使いの食器から作家もののうつわまで、色とりどりの陶磁器が所狭しと並び、見ているだけでも心が弾みます。

さすが問屋さんだけあって、うつわは市価よりもお手頃に購入できるのも魅力のひとつ。


お店の方に相談しながら、ごはん茶碗を選んでみましたが、1点1点、手にした時の大きさや重さ、さらりとした質感まで違いがあり、じっくり選ぶ時間そのものがとても楽しいひとときでした。


自分にぴったりのうつわを探してみたい方に、ぜひ立ち寄っていただきたい一軒です。


やままつ 加藤松治郎商店

住所:多治見市本町6-53

営業時間:10:00~17:00

定休日 不定休(お電話ください)

TEL:0572-22-9258

FAX:0572-24-2519




菓匠庵やまよね

明治時代に餅屋として創業した、歴史ある和菓子店「菓匠庵やまよね」


店内には季節感あふれるお菓子が並び、秋には栗きんとんや栗おはぎが特に人気です。栗おはぎは高山産のもち米を使い、仕上げに栗粉をまぶした、この時期だけの限定品。ほっとするような素朴な味わいが魅力です。

お店の人気ナンバーワンは、山帰来の葉で包んだ「麩まんじゅう」。ふわっと軽やかな食感と控えめな甘さが心地よく、ついもうひとつ、と手が伸びてしまいそう。


また、多治見市のマスコットキャラクター「うながっぱ」をかたどった「うながっぱどらやき」など、手土産にもぴったりの品も揃っています。


◆菓匠庵やまよね

住所:多治見市日ノ出町1-15-1

営業時間:8:30~18:00

定休日 水曜日、第3火曜日

TEL:0572-22-5787



織部うつわ邸

織部うつわ邸築100年以上の商家を利用した情緒ある店構え。


旧家に足を踏み入れたかのような広々とした店内には、畳の上にさまざまな器が展示されており、その種類の多さに思わず驚かされます。

2階には陶芸家の作品が並び、ずっと眺めていたくなるような空間が広がっています。常設ぎゃらりいもありました。


美濃の作家や窯元を中心に、全国の人気作家の器も揃えているそうです。

また、庭園を臨む喫茶スペースや茶室もあり、好きな作家さんの抹茶茶碗でお抹茶と和菓子を味わうことができます。


今回は、和田和文作の織部の茶碗でいただきました。大変高価なお抹茶茶碗でドキドキしましたが、散策の疲れも吹き飛び、なんだか優雅な気分になります。


気に入った抹茶茶碗は購入することもできます。


◆織部うつわ邸

住所:多治見市小路町3-2

営業時間:10:00~17:30

定休日 年中無休

TEL:0572-25-3583



陶都創造館

本町オリベストリートの情報発信拠点でもある「陶都創造館」


 地場産業や市民活動の活性化を目的に整備された複合施設で、1階には多治見市PRセンターがあり、観光情報を気軽に入手できます。

館内には、多治見市のマスコットキャラクター・うながっぱグッズをはじめ、多治見あられ、もみじ茶、栗きんとんなどの特産品、農産物、モザイクタイル商品も揃い、お土産を探すのにも最適です。


また、多治見を舞台にしたアニメ「やくならマグカップも」に関連した展示もあります。女子高校生たちが陶芸に挑む姿を描いた作品で、聖地巡礼スポットとしても人気です。


館内には “訪れてみたい日本のアニメ聖地88”認定プレート御朱印 も置かれていました。


さらに、伝統的な美濃焼から若手陶芸作家の作品まで扱うショップやギャラリースペース、さらに博物館「多治見商人物語」の展示もあり、多治見の文化に触れられる場所となっています。


◆陶都創造館

住所:多治見市本町5-9-1

営業時間:10:00~18:00

定休日 年末年始(3階ギャラリーは水曜日定休)

TEL: 0572-26-8509







おわりに

今回はじめて多治見・本町オリベストリートを散策しましたが、想像以上に魅力的なお店が多く、1日では回りきれないほどでした。


 駅から徒歩約15分の場所にあり、町歩きを楽しみながら巡るのにぴったりのエリアです。


ぜひ、ゆったりと歩きながら、お気に入りのうつわや素敵な出会いを見つけてみてくださいね。

この記事のレポーター

透 千保
透 千保
岐阜市出身・在住。
フリーアナウンサー、ビジネスマナー講師。
公共交通機関の案内アナウンスも担当。
海外渡航歴21カ国。ニュースや番組取材を通じて得た岐阜の魅力を、多くの方にご紹介します。

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