刃物のまち・関を歩く!せきてらす発 周辺めぐり
- 透 千保

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ドイツのゾーリンゲン、イギリスのシェフィールドと並び、「世界三大刃物産地」の一つに数えられていることからも、その確かな技術の高さがうかがえます。
そんな関市に、気軽に立ち寄れる新たな拠点として誕生したのが「せきてらす」です。
2021年3月のオープンから5周年を迎え、今では多くの人が訪れる人気スポットとなりました。館内の「岐阜関刃物会館」はもちろん、周辺にも刃物に触れられる施設やお店が点在しています。
一本の刃物に込められた職人の想いに触れる。そんな楽しみ方ができるのも、関市ならではの魅力です。「せきてらす」を起点に、刃物の町をゆったり巡ってみましょう。

せきてらす
「せきてらす」は、観光案内・買い物・体験・休憩がそろう、関市観光の玄関口です。
館内には観光案内所「せきのまどぐち」があり、市内の見どころやイベント情報をチェックできるので、関市観光はここからスタートするのがおすすめです。
さらに、カフェやショップも充実しており、関市ならではの特産品やお土産が並びます。ここでしか手に入らない限定品もあるそうです。
ワークショップも開催されていて、ものづくり体験を楽しむこともできます。オリジナルドリンクでひと息つきながら参加するのもよさそうですね。
そのほかにも、多目的ホール「じゆうなひろま」、刃物工房「てつくりば」、キッチン施設「つなぐすいじば」などがあり、イベント会場として利用されるほか、普段はフリースペースとして開放しており、飲食をしながら自由に過ごせる場となっています。
また「岐阜関刃物会館」では、関の刃物の購入や研ぎ体験も可能です。建物の外には芝生の広場「みんなのはらっぱ」や刀をモチーフにしたモニュメント「関伝乱舞」があり、のんびり過ごしたり写真を撮ったりと、思い思いに楽しめます。
この日は「せきてらす5周年誕生祭」が開催され、ダンボール刀剣づくりや、かみのほゆずのエキス抽出体験、甲冑試着体験、キッチンカーなど、多彩な催しでにぎわっていました。
今年のテーマは、「みんなでつくる!わたしの関市推し活フェスタ」。関市の魅力を発信する『推し!』動画コンテストも行われ、審査員だけでなく来場者も投票に参加し、ゆるキャラも集まるなど、会場は終日活気に包まれていました。
館内では、室町時代後期の鍛冶作業の跡とされる「古町遺跡」も見ることができます。
床が一部ガラス張りになっていますので、ぜひ探してみてくださいね。
◆せきてらす
住所:関市平和通4丁目12番地1
TEL:0575-23-6726
開館時間:9:00~17:00
休館日:火曜日・祝日の翌日(いずれも休日を除く)年末・年始(1月2日を除く)
岐阜関刃物会館
せきてらす内にある「岐阜関刃物会館」に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、ずらりと並ぶ刃物の数々。
その迫力に思わず圧倒されます。三徳包丁や牛刀といった各種包丁をはじめ、ポケットナイフなど、多彩な刃物が展示・販売されています。
三徳包丁の握り体験コーナーでは、刃のついていない包丁を手に取り、持ちやすさを確かめることができます。毎日使うものだからこそ、重さや柄の握りやすさは大切にしたいポイントです。
市場価格より1~2割安く手に入るとあって、東海三県をはじめ全国からも多くの人が訪れます。昨年は、過去最高の14万人が来場したそうです。
館内には関の刃物直売所もあり、約70を超えるメーカーから選りすぐった、およそ2000点もの製品が並びます。
売れ筋商品も紹介されており、包丁のほか、ハサミやナイフ、爪切りなど幅広いラインナップがそろっています。
ユニークなのが「日本刀アイス」。高校生の発案から生まれたもので、葛を使った溶けにくい“冷凍和菓子”として人気を集めています。
また、刃物研ぎ工房では、職人による包丁の研ぎ直しや、研ぎ方の指導を受けることもできます。このコーナーは、本当におススメ!
私も実際にお願いしてみましたが、料金は1本500円。この日は比較的空いており、2本で20分ほどで仕上げていただきました。
話を伺うと、1日に30~50本ほどの包丁が持ち込まれるそうです。作業は機械での下研ぎの後、600番・1000番・1500番の砥石で丁寧に仕上げられます。
プロの料理人は毎日手入れをする一方、家庭では1~3か月に一度の研ぎ直しが目安とのことです。包丁の切れ味がよいとお料理も楽しくなりますね。
館内には刃物の回収ボックスも設置されています。愛用してきた刃物に感謝の気持ちを込めて手放せるのは、うれしい配慮です。
関の刃物業界では、不要になった刃物を回収し、毎年11月8日の「刃物の日」に供養祭を行ったうえで、資源としてリサイクルしているそうです。
◆岐阜関刃物会館
住所:関市平和通4丁目12番地6
TEL:0575-22-4941
開館時間:9:00~17:00
休館日:年末・年始
関鍛冶伝承館
関の刃物産業の成り立ちを知りたいなら、「関鍛冶伝承館」へ。
鎌倉時代から続く匠の技が、展示や映像を通してわかりやすく紹介されています。
1階には日本刀鍛錬場や技能師実演場が併設されており、刃物まつりや一般公開日には、日本刀鍛錬や技能師の実演が行われます。
ふだんは鍛錬の様子が再現されていて、それだけでも当時の空気感が伝わってきます。
館内には、兼元・兼定などの日本刀をはじめ、歴史資料や刀装具が展示されています。見て回るうちに、一振りの刀が多くの職人の手によって生み出されていることがわかります。
刀の装飾には、白銀師(しろがねし)、柄巻師(つかまきし)、鞘師(さやし)といった職人が関わり、刃の部分は研師(とぎし)が仕上げます。
まさに工芸品であり、美術品でもあることを実感します。
体験コーナーでは、ブースに手を入れて実際に日本刀に触れることができます。
持ち上げてみると、思っていたより重く驚きました!時代劇では軽々と刀を扱っているように見えますが、実は力がいるんですね。
2階には、カスタムナイフ作家のコレクションや、国内外のナイフ作家の作品が一堂に展示されています。
取材時には、企画展「刃物のまち関と鍛冶の700年~中世関のはじまり」が開催されており、関の歴史への理解がさらに深まりました。
これまでには、アニメや人気ゲームとコラボレーションした企画展も行われ、全国からファンが詰めかけて大人気だったそうです。
◆関鍛冶伝承館
住所:岐阜県関市南春日町9-1
TEL:0575-23-3825
開館時間:9:00~16:30(入場は16:00まで)
休館日:毎週火曜日・祝日の翌日(いずれも休日を除く)・年末年始
入館料:大人300円、高校生200円、小中学生100円(団体割引あり)
濃洲関所茶屋
「濃洲関所茶屋」は、高さ4メートルの冠木門が目印の休憩施設です。
関市の名前の由来となった「関所」をイメージしています。
レストランは広々として落ち着いた雰囲気で、テーブル席のほか、掘りごたつ風の席も用意されています。
モーニングも充実しており、ドリンク代のみのセットに加え、プラス料金で日替わりベーグルセットや豆乳ドーナツセットを楽しむことができます。今回は、ベーグルと豆乳ドーナツのセットをいただきました。
CROCE(クローチェ)のベーグルは種類が豊富で、選ぶのに迷うほど。豆乳ドーナツセットには、揚げ餅やサラダ、ミニロールケーキも付いていて大満足!
ランチには、ジビエを使った数量限定のカレーや定食もあり、定食には5種類ほどの小鉢が添えられます。
郷土料理の鶏(けい)ちゃんをはじめ、鹿や合鴨のセット、9種類の小鉢がメインのお料理もあります。
飛騨牛コロッケなど、テイクアウトできるメニューがあるのもうれしいポイントです。
館内には、観光情報を検索できる情報サロンや、朝市販売所、郷土の特産品をそろえた物産ショップもあります。
オリジナル商品や地元ならではのお土産もあり、選ぶ時間も楽しみのひとつです。
また、匠の技体験工房も開催されていますので、参加する場合は事前に予約してから出かけるのがおすすめです。
◆濃州関所茶屋
住所:関市南春日町9番地1
TEL:0575-23-9922
営業時間:9:00-16:30
モーニングタイム 9:00-11:00
ランチタイム 11:00-14:00
ティータイム 14:00-15:00
定休日 火曜日・祝日の翌日(どちらも休日の場合は営業)
Blacksmith Japan
関鍛冶伝承館の向かいに店を構える「Blacksmith Japan」。
包丁や日本刀の販売を行っており、ショーケースに並ぶ包丁は思わず見入ってしまうほどの美しさです。
オーナーの猪ノ原 浩二さんは静岡県のご出身。シェフとしてカナダやオーストラリアで活躍する中で、日本の包丁が海外で高く評価されていることを実感しました。
帰国後は関市に移住し、刃物関連の会社勤務を経て独立。2024年9月にこの店をオープンしました。
店内では、主にプロの料理人や外国人向けの高品質な包丁を取り扱っています。野菜を使って切れ味を試すこともでき、オーナーの鮮やかな包丁さばきに思わず見とれてしまいます。
外国の方には、刃に波模様があり、八角形の柄を持つ包丁が人気なのだそうです。
日本刀の販売も行っており、実際に手に取って写真を撮ることもできます。ずっしりとした重みを感じるだけでも貴重な体験。
持ち方にもコツがあり、思うようにポーズを決めるのはなかなか難しいものですね。
ドリンクの提供もあるので、ゆっくりと会話を楽しみながら、お気に入りの一本を探してみてはいかがでしょうか。オンラインショップや体験ツアーも用意されています。
◆株式会社Blacksmith Japan
住所:岐阜県関市桜木町21
TEL:0575-29-8752
営業時間
月曜日~金曜日 13:00-17:00
土曜日・日曜日 10:00-17:00
定休日 火曜日
フェザーミュージアム
フェザーミュージアムは、世界初の刃物総合博物館として知られ、ふだん何気なく使っている刃物の知識や歴史を学ぶことができます。
しかも入場は無料です。企業名はよく知られていますが、ミュージアムには何があるのでしょう。
1階エントランスでは、巨大なひげ剃り「ジャイアントフェザー」がお出迎え。受付でパンフレットを受け取り、館内を見学します。
記念撮影コーナーやミュージアムショップも併設されています。
まずはフェザーヒストリーへ。創業当時から現在に至るまでの製品が展示されており、時代とともに進化してきたものづくりの歩みを感じることができます。
2階では、「切る」とは何かをテーマに、石器時代から現代までの刃物の歴史や仕組みを、映像や体験を通して学べます。
収蔵点数は1万点以上。「クイズ!ヒゲ博士に挑戦」コーナーもあり、子どもから大人まで楽しめる工夫がされています。
精密刃物の展示では、医療用や産業用など、さまざまな分野で活躍する刃物を紹介。
カミソリや爪切りといった身近な製品から、手術用メス、理美容用レザー、工業用刃物まで、私たちの暮らしのあらゆる場面に刃物が関わっていることを実感させられます。
館内の見どころを案内してくれるマスコットキャラクター「ヒゲ博士」。
そのモデルは、現在のフェザーミュージアムに発展する礎を作った「フェザー安全剃刀株式会社 第10代代表取締役社長 岸田昌久」氏だそうです。
◆フェザーミュージアム
住所:関市日ノ出町1-17番地
TEL:0575-22-1923
入館料:無料
営業時間:9:30~16:00(最終入館時間)
休館日:火曜日(夏期休暇・年末年始の社休日・臨時休館あり)
刃物屋三秀 関刃物ミュージアム
創業1938年の老舗「刃物屋三秀」は、刃物の販売に加え、「関刃物ミュージアム」を併設しています。
館内では、包丁や日本刀の製造工程がわかりやすく紹介されています。
ミュージアム内には日本刀鍛錬場があり、刀匠・藤原兼房による鍛錬の様子を間近で見学できます。参加者が大槌を持って鍛冶を体験することもできるそうです。
外国からのお客様にも人気で、日本のものづくりの奥深さを体感できるプログラムの一つとなっています。
お出かけの際は1か月前までの予約がおすすめです(有料・2名以上)。
直売所では、自社ブランドの包丁「関吉秀作」をはじめ、関市内のメーカーから選りすぐった製品が並びます。
用途に応じた包丁選びについても、気軽に相談できるのがうれしいところ。プロの調理人はもちろん、自分で釣った魚を調理したいと訪れる人もいるそうです。
そのほか、ハサミや爪切りなど、さまざまな刃物を直売価格で購入できるのも楽しみのひとつ。
オーナーの吉田和弘さんは、「刃物を通して、その背景にある歴史や文化、さらには関市や岐阜県の魅力も伝えていきたい」と話してくれました。
◆刃物屋三秀 関刃物ミュージアム
住所:関市小瀬950-1
TEL:0575-28-5147
営業時間:9:00~16:30
定休日:正月三が日(1月1日~1月3日)
おわりに
関市は、刃物の歴史と技が今も息づくまち。
せきてらすを起点に巡ってみると、ものづくりの奥深さと出会うことができます。ぜひ、関ならではの魅力を体感してみてください。












































































































































