水のきらめきに出会う、岐阜の城下町さんぽ4選|あんこのおやつとめぐる旅
- 長月あき

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城下町を流れる水路や川に目を向けてみると、暮らしを支えてきた水、景観を彩る水、そして戦に使われた水など、それぞれの土地が歩んできた歴史が見えてきます。
そこで今回は、“水”とともに歩んできた岐阜の城下町を4つピックアップ。
私が城下町さんぽに訪れるたびに、ついつい手がのびてしまうあんこのおやつとあわせてご紹介します。

水が暮らしにある城下町・郡上八幡
「水の城下町」と聞いてまず思い浮かぶのが、夏の郡上おどりで知られる、山あいの城下町・郡上八幡。町の中央を流れる清流・吉田川と、澄んだ水の風景が広がる、人気の城下町です。
八幡山の山頂にそびえる郡上八幡城の天守は、昭和初期に木造で再建された白亜の印象的な天守です。その起源は、戦国時代に武将・遠藤盛数(えんどうもりかず)がこの地に砦を築いたことに始まるとされています。
郡上八幡の城下町では、吉田川のせせらぎはもちろん、全国名水百選に選ばれた「宗祇水」や、趣ある水辺の小径「やなか水のこみち」、丸々と太った鯉が泳ぐ「いがわこみち」など、歩くほどに郡上らしい水の風景に出会えます。江戸時代の面影を残す町並みには水路が張り巡らされ、散策していると、水が暮らしの中で息づいていることに自然と気づかされます。
郡上八幡散策の途中に立ち寄りたいのが、和菓子店「金華堂」です。店先にはさまざまな和菓子が並び、お手頃価格なのもうれしく、ついあれこれ選びたくなります。 驚くほどやわらかなお餅の中に、ほどよい甘さのあんこがたっぷり。小ぶりで食べやすく、気づけばもうひとつと手がのびてしまいます。時期的に春らしい桜餅やいちご大福にまず目がいきましたが、ほんのり塩味のきいた豆大福もおすすめです。
■金華堂
住所:郡上市八幡町殿町170
電話番号:0575-65-3304
営業時間:9:30~17:00
定休日:火曜日
金華堂のお餅は当日中にいただくのがおすすめのため、遠方へのお土産には少し難しいのが正直なところ(だからこそ、ぜひ現地で味わってみてくださいね)。
「あんこのおやつ」とは少し趣が異なりますが、あんこ好きさんへのお土産に、郡上八幡の名物「踊りしるこ」もおすすめです。お湯(または水や牛乳)を注ぐと、踊り子の形をした餅がふわりと浮かび上がる、楽しい仕掛けのおしるこです。
郡上八幡旅の拠点でもある郡上八幡旧庁舎記念館でも購入できますが、せっかくなら製造元である土産物店・正和堂へ。郡上おどりの歴史も感じられる、どこか懐かしい雰囲気の店内が魅力的なのです。レトロで味のある、古い写真や看板など、ディスプレイにもついつい見入ってしまいます。
■正和堂
住所:郡上市八幡町橋本町915
電話番号:0575-65-2400
営業時間:10:00~17:00
定休日:不定休
なお、郡上八幡の城下町はこちらの記事でもご紹介しています。よかったらご覧になってみてくださいね。
水が景色になる城下町・飛騨古川
飛騨市にある飛騨古川は、戦国時代の武将・金森長近が整備した増島城の城下町を原点とする町です。
長近は、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康に仕えた武将で、高山に高山城を築き、飛騨国高山藩の初代藩主となりました。増島城には、長近の養子であり後に高山藩2代藩主となる可重が入り、城下町の基盤が整えられたといわれています。
現在の飛騨古川は、駅前を中心に見どころがコンパクトにまとまり、散策しやすい城下町です。賑わいのある飛騨高山とはまた異なり、どこかおだやかで落ち着いた風情のある町並みが広がっています。
飛騨古川の町を象徴する白壁土蔵街に沿って流れる、風情ある用水路が瀬戸川です。もともとは増島城の堀の水を引き、農業用水として整備されたのがはじまりとされています。
白壁の町並みに寄り添うように、ゆるやかに流れる瀬戸川。その静かな水の風景は、飛騨古川を象徴する景色のひとつであり、しっとりとした町の雰囲気をつくり出しています。
春から秋にかけては瀬戸川に鯉が泳ぎ、エサをあげることもできます。冬になると、鯉たちは増島城跡の堀へと移され、季節ごとに異なる風景を見せてくれます。
飛騨古川で味わいたいあんこのおやつは、「天ぷらまんじゅう」です。飛騨地域では古くから、お祭りやお正月の際に、まんじゅうを天ぷらにして楽しむ習慣がありました。
新名屋は、飛騨古川駅から徒歩約3分、観光の中心エリアに店を構える和菓子店。 ここでは、特製の衣で揚げた天ぷらまんじゅうを味わえます。さくっと軽い衣の中に、なめらかなこしあんが包まれている天ぷらまんじゅう。揚げドーナツのような感じですが、重たさは感じません。小ぶりで散策のお供にもぴったりの一品です。
■新名屋
住所:飛騨市古川町金森町15-17
電話番号:0577-73-2109
営業時間:8:30~18:00
定休日:水曜日
なお、飛騨古川の城下町から少し足をのばし、同じ飛騨市内の神岡にある道の駅「宙(スカイ)ドーム・神岡」でも、紅白の天ぷらまんじゅうを購入できます。ひと口に天ぷらまんじゅうといっても、それぞれに個性があるので、食べ比べてみるのもいいですね。
さらに、神岡町内のスーパーマーケットバロー神岡店では、揚げる前の天ぷらまんじゅうが販売されています。お土産に買って帰って、自宅で揚げたてを味わうのも、個人的におすすめの楽しみ方です。
水が湧き出る城下町・大垣
大垣城は、関ケ原の戦いの際に西軍・石田三成の本拠地となった城です。現在は本丸や二ノ丸跡が公園として整備され、再建された天守が往時の面影を伝えています。
江戸時代に入り、大垣城の外堀として築かれたのが、市街地を流れる水門川です。この川は外堀としての役割にとどまらず、揖斐川を通じて桑名宿と結ぶ船運の水路としても利用されていました。
松尾芭蕉は『奥の細道』の旅のおわりに、この水門川を舟で下り、桑名から江戸へと旅立ったと伝えられています。現在では川沿いが遊歩道として整備され、水辺の散策をゆったりと楽しむことができます。
さらに、“水の都”として知られる大垣は、地下から湧き出る豊かな水に支えられてきた城下町です。町のあちこちに自噴井があり、水を汲みに訪れる人の姿も日常の風景となっています。
大垣で味わいたいあんこのおやつといえば、「水まんじゅう」。市内にはこの水まんじゅうが食べられるお店がいくつもあり、おちょこに入った水まんじゅうが冷やされている様子は、大垣の夏の風物詩となっています。今回は、大垣駅から大垣城に向かう、大垣駅前通り沿いの「金蝶園総本家 大垣駅前本店」へ。
澄んだ水に浮かべられた涼やかな水まんじゅうは、見た目にも美しく、初夏の風景にぴったりです。つるりとした口あたりの生地の中には、なめらかなあんこ。店内では、氷で冷やした水まんじゅうをお茶と一緒にいただくことができます。
水の町・大垣ならではの風情を、五感で味わってみてください。
■金蝶園総本家 大垣駅前本店
住所:大垣市高屋町1丁目-17
電話番号:0584-75-3300
営業時間:8:00~18:00
定休日:なし(年末年始のみ営業時間変更あり)
水が歴史を語る城下町・竹鼻
羽島市竹鼻町にあった竹ヶ鼻城(竹鼻城)は、応仁年間(1467~1469年)に築かれたと伝わる城です。先に紹介した城とは異なり、現在は遺構がほとんど残っておらず、城の正確な位置もはっきりとはわかっていません。
現在は、羽島市歴史民俗資料館の敷地内に「竹鼻城本丸之跡」と刻まれた石標が立ち、その周囲には静かで穏やかな町並みが広がっています。観光地化されすぎていない落ち着いた空気のなかを歩くと、歴史の余韻をゆったりと感じることができます。町の中を流れる細い水路や、静かに水をたたえる場所に目を向けると、この地が水とともにあったことをさりげなく感じられます。
こうした静かな町並みが広がる竹鼻ですが、郡上八幡や飛騨古川、大垣に比べると、「水の城下町」という印象はやや控えめかもしれません。しかしこの地もまた、水と関わりの深い歴史を持ち、城下町の面影を感じられる場所のひとつです。
小牧・長久手の戦い(※)の頃、尾張・美濃一帯で戦いが繰り広げられるなか、竹鼻でも城をめぐる攻防があったと伝えられています。詳細には諸説ありますが、竹鼻城は、羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)による水攻めで知られています。
明確な遺構や詳しい記録は多く残っていませんが、静かな町並みのなかに、水とともにあった戦国の面影がかすかに感じられます。
※小牧・長久手の戦い・・・1584年 に豊臣秀吉と徳川家康・織田信雄連合軍が尾張・美濃で戦った合戦。
竹鼻を散策するなら、この時期にぜひ味わいたいあんこのおやつが、「みそぎ団子」です。あんこを団子で包み、味噌と砂糖をあわせたたれをつけて焼き上げたお菓子で、春から夏にかけて市内の和菓子店に並びます。
このみそぎ団子は、竹鼻の人々に親しまれている八剱神社の「みそぎ神事」と深い関わりがあります。 毎年6月30日に行われるこの神事は、半年分の罪や穢れを払い、無病息災を願うものです。
昭和初期に、地元の菓子店が「みそつけだんご」を考案。その後、神事にちなんで「みそぎ団子」と名付けられ、親しまれるようになったと伝えられています。
今回は、竹鼻の古い町並みの一角にある兎月園さんへ。注文を受けてから焼き上げる、できたてのみそぎ団子がいただけます。一見、みたらし団子や五平餅のようですが、ひと口食べると、味噌のほどよい塩気とあんこの控えめな甘さが絶妙に重なります。町の歴史や風習と結びついた、竹鼻ならではの一品です。 販売時期が限定されているのでご注意くださいね。
■兎月園
住所:羽島市竹鼻町2631-1
電話番号:058-391-2562
営業時間:8:00 ~ 18:30
定休日:火曜日
水のきらめきとやさしい甘さに出会う城下町へ
数ある岐阜の城下町のなかから、水に縁の深い4つの町と、私の大好きなあんこのお菓子をご紹介しました。
同じ“水のある城下町”でも、その表情は町それぞれに異なります。暮らしに寄り添う水、景観を彩る水、そして歴史を語る水。新緑が美しいこの季節、岐阜の城下町で、水のきらめきと、あんこのやさしい甘さに出会う旅へ出かけてみませんか。
※記事中の営業時間・定休日は2026年4月時点の情報(店舗へ確認)です。変更となる場合がありますので、来店前に最新情報をご確認ください。
























































