初心者でも標高3,000mへ挑戦!北アルプス「乗鞍岳」の絶景&登山の魅力を徹底解説
- 土庄雄平
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登山デビューに最適!お手軽な名山・乗鞍岳
岐阜県高山市と長野県松本市にまたがる「乗鞍岳」。標高約2,700mの乗鞍畳平までバスでアクセスできるため、日本百名山の中でも特に登りやすく、登山初心者にも人気の名峰です。
手軽に登れる一方で、その景色はまさに圧巻。火山地形が織りなすダイナミックな風景や、高山植物が彩る登山道が広がり、多くの登山客を魅了します。
さらに、標高2,700m以上に点在する澄んだ池や、気象条件次第で雲海に浮かぶような山岳絶景が楽しめるのも大きな魅力です。
乗鞍岳の四季を楽しむ
乗鞍スカイライン(平湯峠~乗鞍畳平)の2025年の開通期間は5月15日から10月31日まで
特におすすめのシーズンは、7月中旬〜8月中旬の夏山シーズンと、9月下旬〜10月上旬の紅葉シーズンの2つです。
それぞれの魅力をご紹介します。
一般車両規制によりマイカー・バイクが通行可能なのは、バス乗り換え駐車場 「ほおのき平駐車場」まで
「ほおのき平駐車場」からはシャトルバスに乗り換えが必要です。
※バス・タクシー・自転車限定で乗鞍畳平まで通行可能
7月中旬〜8月中旬:夏山シーズン
花の百名山にも数えられる乗鞍岳。雪の壁が解け始める7月中旬から8月中旬にかけて、山全体が高山植物に彩られます。
可愛らしいヨツバシオガマ、気品のあるイワギキョウ、そして”高山植物の女王”と称されるコマクサなど、多彩な花々が咲き誇る姿はまさに圧巻。青空の下、宝石のように輝く可憐な花々は、訪れる人の心を惹きつけます。
道路沿いでも目にできますが、一歩登山道に足を踏み入れると、思いがけず群生地に出会うことも。花々との一期一会を楽しむ時間は、夏の乗鞍岳ならではの魅力と言えるでしょう。
9月下旬〜10月上旬:秋山シーズン
乗鞍岳の中腹、長野県松本市側に広がる位ヶ原(くらいがはら)は、森林限界に広がるハイマツ帯に、ナナカマドやダケカンバが自生するエリア。9月下旬から10月上旬にかけて、鮮やかな紅葉が山を彩ります。
オレンジに染まるダケカンバ、真紅のナナカマドが緑のハイマツの中で鮮やかなコントラストを描き、まるでパッチワークのような絶景が展開します。
天気が良ければ、北アルプス穂高連峰を背景に、壮大な紅葉の山肌を堪能できるのも魅力のひとつ。一度目にすれば忘れられない、感動的な山岳紅葉が楽しめますよ。
初心者でも登頂可能!一度は目指したい「剣ヶ峰」
乗鞍岳を訪れるなら、まず目指したいのがその主峰である「剣ヶ峰」(標高3,026m)。畳平から肩の小屋までは、高山植物が咲き誇るなだらかな登山道を進み、標高差約300mをゆるやかに上がっていきます。そこから先に広がるのは、雄大な山岳風景そのもの。
肩の小屋へ向かう道中、ふと視線を上げると、堂々とそびえ立つ剣ヶ峰の姿が目に飛び込んできます。その存在感に、思わず息をのむほど。さらに、夏でも残る雪渓ではスキーを楽しむ人々の姿があり、標高3,000m級ならではのダイナミックな光景が広がります。
肩の小屋を過ぎると、景色は一変。これまでのハイマツや高山植物の緑豊かな風景から、荒々しい火山帯へと足を踏み入れます。途中で通過する朝日岳を越えた先には、壮大な稜線が広がり、乗鞍岳の峰々に加え、遠くには穂高連峰や焼岳といった北アルプスの名峰まで見渡せます。
そして迎える剣ヶ峰の頂。眼下を遮るもののない山頂は、まるで天に手が届きそうなほど開放的。岩肌のグレーと青空のコントラストが美しく、思わず見惚れてしまうはずです。そこには360度の大パノラマが待ち受け、登頂の達成感もひとしお。
ただし、山頂直前の道は足場が悪く、細心の注意が必要です。特に下山時は、岩場で足を滑らせないよう慎重に進みましょう。
剣ヶ峰周辺の名峰を目指そう
剣ヶ峰を目指すなら、往復で3時間以上は見ておきたいところ。標高3,000mを超える山の中では比較的登りやすいとはいえ、本格的な高山です。
ただ、周囲には剣ヶ峰よりも手軽に登れる山々が点在しているのも乗鞍岳の魅力のひとつ。体力に自信があれば、剣ヶ峰とあわせて複数の山頂を巡るピークハントを楽しむのもおすすめです。
魔王岳(まおうだけ・標高2,764m)〜畳平から往復30分弱〜
畳平からもっとも手軽に登れる山が「魔王岳」です。整備された登山道を進めば、往復わずか30分弱で山頂に到達できるため、初心者ハイカーや観光客にも人気があります。
山頂からは剣ヶ峰をはじめ、乗鞍スカイラインが織りなすダイナミックなパノラマが広がります。畳平には銀嶺荘があり、宿泊すれば朝焼けや夕暮れ時の絶景を存分に堪能できます。山々が幻想的な光に染まり、まるで別世界のような絶景が待っています。
大黒岳(だいこくだけ・標高2,772m)〜畳平から往復40分〜
畳平から往復40分で手軽に登れる「大黒岳」は、北・中央・南アルプスの雄大な山並みと剣ヶ峰の両方を一望できる素晴らしい展望を誇ります。
畳平からのルートに加え、岐阜県側の乗鞍スカイライン途中からも入山可能で、特に夏には可憐なコマクサの群落が登山道を彩ります。標高の高いエリアにしか咲かないこの花々が風に揺れる光景は、訪れる人々の心を癒やしてくれるでしょう。
富士見岳(ふじみだけ・標高2,817m)〜畳平から往復45分〜
畳平から往復約45分で登れる「富士見岳」は、剣ヶ峰を目指す登山者が気軽に立ち寄れる山のひとつです。なだらかな山容が特徴で、流れる雲と相まって、日本アルプスならではの天空の趣を感じさせます。
山頂からは、畳平の鶴ヶ池を眼下に望み、連なる乗鞍岳の峰々が織りなす壮大な景色を楽しめます。北側には穂高連峰の雄大な姿が広がり、そのスケールの大きさに圧倒されることでしょう。
ディープな徒歩旅を楽しむ
乗鞍畳平から少し足を延ばし、岐阜県と長野県の県境を訪れてみるのもおすすめです。標高2,716m地点にあるバス停が目印。この場所は、実は自転車で到達できる国内最高地点でもあります。改めて、自分がこれほどの高さまで来たことを実感できる、非日常のスポットです。
山麓に広がる奥飛騨温泉郷
乗鞍岳の魅力のひとつは、下山後に山々に抱かれた秘湯で癒やされること。山麓には、5つの温泉地からなる奥飛騨温泉郷が広がり、湧出量は毎分37,000Lと国内でも3番目の規模を誇ります(日本温泉協会「温泉統計」より)。
特に素晴らしいのは、開放感あふれる野趣あふれる露天風呂が数多く点在していること。旅館の温泉から風情ある共同露天風呂まで、湯めぐりを楽しむには絶好のロケーションです。
筆者イチオシは「平湯の湯」
中でも筆者イチオシの温泉が「平湯の湯」。合掌造りの資料館・平湯民俗館に併設された、平湯温泉を代表する共同露天風呂です。自然の岩を活かした野趣あふれる浴槽に、源泉かけ流しの湯が贅沢に注がれています。
泉質は炭酸水素塩泉(ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉)。鉄分を含んだ濁り湯で、肌に染み渡るようなとろみのある“美人の湯”としても知られています。
この温泉のもう一つの楽しみは、訪れるたびに湯の色が変わること。赤褐色の日もあれば、エメラルドグリーンに輝くこともあり、まさに自然が生み出す神秘の湯です。
いかがでしょうか?日帰りでも気軽に楽しめる標高3,000mの絶景と温泉の贅沢な組み合わせ。初心者にもぴったりな「乗鞍岳」で、非日常のひとときを満喫してみませんか?