地元レポーター発!旅のコラム

森の恵み!気軽に楽しむ岐阜のジビエ料理4選

透 千保
透 千保
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「ジビエ」というと、フレンチやイタリアンのレストランで供される高級食材というイメージですね。

ジビエ(gibier)は、フランス語で野生鳥獣の食肉を意味し、昔はジビエを使った料理は、自分の領地で狩猟ができる貴族だけが口にできる貴重なものでした。そこには、動物の命を奪う代わりに全ての部位を料理に使い、生命に感謝するという精神が流れているそうです(一般社団法人日本ジビエ振興協会)

一方で、日本では野生鳥獣が増えすぎてしまい、農作物への被害額は岐阜県でも年間で約2億円と言われています。そのうちの6割がニホンジカやイノシシによるもの。岐阜県では獣害対策として捕獲された動物を地域資源として有効活用するために、安全で美味しいジビエを提供する取り組みが進められています。

そこで今回は、気軽にジビエを食べられるお店をご紹介しましょう。野趣あふれるジビエをぜひご賞味ください!

いぶカフェ / 美濃加茂市

美濃加茂市伊深町にひっそりと佇む「いぶカフェ」。レトロで素敵な外観は、国の有形文化財に登録された旧伊深村役場庁舎です。


1936年(昭和11年)に建てられたこの建物は、町村合併によって村役場としての役目を終えた後、自治会館として利用されていました。


2021年にカフェとしてリニューアルされ、ジビエ料理やスイーツがいただける場所になっています。

玄関でスリッパに履き替えて中に入ると、かつての村役場を思わせる空間が広がっています。


そこここに鹿のオブジェがあって、ジビエ料理への期待が高まります。

人気ナンバー1のランチメニューは、岐阜県産の鹿肉100%のワイルドでヘルシーなハンバーグ。


仔鹿のスペアリブまでついて、野生味あふれる盛りつけにちょっとビックリ!お肉は臭みもなく弾力があり、思ったよりあっさりしています。


野菜もたっぷりでスープも付いています。手作りの旗が愛らしいですね。

取材時の月替わりメニューは焼きチーズのキーマカレー。鹿肉のミンチは大き目のサイズで、こんがり焼いたカレーとチーズの香りが食欲をそそります。


歯ごたえもあり、しっかりお肉を食べているという満足感。辛さは、普通、中辛、辛口と3タイプから選ぶことができました。寒い日には体中が温まりますね。

スイーツの「えんねパン」もいただきました。「えんねパン」は、戦時中に伊深村に疎開して来た佐野えんねさんが、出身地ドイツの焼き菓子を広めたもの。


地元の方々に伝わるレシピをアレンジされたとか。レーズン入りのパウンドケーキで素朴な味わい。


珈琲も注文後に豆を挽き丁寧にドリップで淹れてあって、時がゆったり流れていきます。

オーナーの齊藤靖憲さんご夫妻は、狩猟免許を持つプロのハンター。おいしいジビエを味わったことがきっかけで、ご自身もジビエのお店を開きたいという夢を実現されました。


休日はいつも狩猟や鳥獣被害の駆除に出動されるそうです。

モーニングにも、鹿ハムや鹿肉ソーセージ、朝ジビエカレーも食べられるなどジビエ好きにはたまりません。


地域の方々の交流の場にもなっていて、食事をしただけで温かい気持ちになりました。


◆いぶカフェ

住所:美濃加茂市伊深町895番地

TEL: 0574-29-3011

営業時間 

8:30~11:00 モーニングタイム(10:45 ラストオーダー)

11:30~14:00 ランチタイム(13:30 ラストオーダー)

14:00~16:30 カフェタイム(16:00 ラストオーダー)

18:00~21:00 ディナータイム(完全予約制)※現在休止中

定休日:毎週火曜日 第1・第3月曜日 その他、臨時休業あり

※営業時間・定休日は変更となる場合がありますので、来店前にご確認ください。

駐車場:あり



KAIJU CAFE(カイジュウカフェ)/ 海津市

海津市平田町にある道の駅「クレール平田」に併設されているカフェ。地元で収穫された新鮮な野菜やフルーツを中心に季節感を感じるメニューを提供しています。さらに、フードロスを意識したジビエメニューも開発。


天井が高く、陽の光が差し込む店内は、ドライブの休憩にもピッタリ!カウンター席からは、長良川を眺めながら食事を楽しむことができます。

数量限定のカイジュウセットは、デリプレート、本日のフォカッチャ、カイジュウスープ、自家製ヨーグルト、ドリンク。


取材時のフォカッチャは、鹿肉と白菜ザワー、春野菜のオープンサンドでした。ジビエが初めてという方にも食べやすいメニューです。


スープも具だくさんで、なんと、お米でとろみをつけているとのこと。ドリンクは、ハリヨの柿酢を使ったフルーツソーダのみかんをチョイス。南濃みかんの甘さと柿酢がミックスされてスッキリしたのど越しです。

地産地消 鹿肉ハンバーグは、ごはんかフォカッチャを選べます。養老山脈など地元で獲れた鹿肉を、味噌とトマトで煮込んだハンバーグは濃厚な味わい。カイジュウスープとデリプレートが付いています。


取材時のデリプレートは、紫キャベツのザワークラウト、焼き芋と甘夏ピールのポテトサラダ、鹿肉パテドカンパーニュ、イタリアンオムレツ、蒸した彩大根とツナのサラダ、紫人参のラペ、小松菜とパン粉のアーリオオーリオでした。


※ランチメニューは不定期で変わります。最新情報はインスタグラムにてご確認ください。

さらに、月末と月初めのみ、「神鹿ラザニア」も用意されています。鹿は神聖な動物として古来より崇められてきた縁起の良い生き物。


千代保稲荷神社(おちょぼさん)の月並祭がある月末と月初めに合わせて立ち寄るのもいいですね。この2日間はランチメニューとして登場します。テイクアウトもできますよ。

鹿肉ハンバーグやソーセージ、鹿生フランクなどを購入することもできます。


保存料や食品添加物も入っておらず、自宅でもジビエを味わいたい人にオススメです。


オーナーの西川崇さんは、名古屋市のイタリアン料理店を経営後、ご家族の住む海津市で「KAIJU CAFÉ」を開店されました。


地元の生産者さんや中学生、高校生との共同プロジェクトなど、地域のよさを発信されています。


このお店では、モーニングにも鹿ソーセージが食べられるそうですので、気軽に足を運んでみて下さいね。


◆KAIJU CAFE(カイジュウカフェ)

住所:海津市平田町野寺2357-2 「クレール平田」内

TEL: 050-8884-2708 

営業時間:8:00-17:00 

モーニング:8:00-11:00

ランチタイム:11:00-15:00 

定休日:なし

全席禁煙

駐車場あり


シャルキュトリー レストラン 里山きさら / 揖斐川町

揖斐川町谷汲の田園地帯の中にある「シャルキュトリーレストラン 里山きさら」。シャルキュトリーとは、フランス語で食肉加工品のこと。


ジビエ(野生鳥獣肉)や豚肉など、地元で獲れた食材を使った、自家製のハムやソーセージ、サラミ、リエットなどが味わえます。

ガラス張りの明るく開放的な店内には黒板があり、お肉の部位の説明が。鹿肉は、1頭あたり平均10㎏しか精肉にならず、大変貴重なものだそうです。


また、近くに食肉処理施設、製造加工所を備えていて、新鮮なお肉を使えるとのことです。

ランチメニューから、様々なお肉の盛り合わせプレート「ハムステーキ&ソーセージプレート 鹿フランク」を選んでみました。


本日のスープ、手作りパン(豚リエット付)or ライス、デザート、ドリンクまで付いています。

鹿のラグーソースパスタは、お肉がミンチ状になってザクザク入っています。ガツンとくるお肉の香りと旨みが、アルデンテのパスタに絡んで至福のおいしさ!


さらにジビエを堪能したい方は、「里山フルコース」がオススメです。全6品にデザートとドリンクがセットになった贅沢な内容です。

商品開発部長の原田泰典さんによると、狩猟から解体、加工、レストランでの調理まで、すべて専任スタッフが行っているそう。


天然の鹿は個体差が大きいため、それぞれの鹿に合せた調理法で加工していると話して下さいました。

加工品はレストランや高級スーパーをはじめ、ECサイトでも取り扱っていますので、自宅でも味わいたい方はチェックしてみて下さいね。


◆シャルキュトリー・レストラン 里山きさら

住所:揖斐郡揖斐川町谷汲長瀬1272-1

TEL:0585-56-3105

モーニング 9:00~11:00(ラストオーダー10:30)

ランチ 11:00~15:00(ラストオーダー14:30)

定休日:月曜日、火曜日(祝日の場合は営業)

駐車場:あり




ジビエ料理工房 風の蛍 / 本巣市

本巣市の道の駅「織部の里もとす」内にある「ジビエ料理工房 風の蛍」。


6次産業アンテナショップとして、本巣市で捕獲し、食肉加工された鹿肉を使ったジビエ料理をテイクアウトで販売しています。


鹿肉の串焼きを2本オーダーしてみました。タレの種類は3種類!ピリ辛みそ(郡上みそ&徳山唐辛子)、塩(ハーブ塩&オリーブ油)、タレ(フルーツ工房糸貫の柿肉のたれ)」。


さらに取材時は、もう1種類。期間限定「ハチミツ柚子醤油」もありました。


そこで、「柿肉のたれ」と「ハチミツ柚子醤油」に挑戦。「ハチミツ柚子醤油」は、「チクマ養蜂」の岐阜県産ハチミツ、本巣市産の無農薬で栽培された柚子、醤油は愛知県産ふくゆたか100%豆のたまり「つれそい」で作られています。


タレが区別できるようシールまで貼っていただきましたが、食材へのこだわりが感じられます。


食品添加物をできる限り使用せず、手作りされているのだそうです。鹿肉本来の歯ごたえと旨みがありました。

オーナーの髙木正浩さんは「里山ジビエ会」に所属し、鹿肉の解体や処理にも携わっています。


長年シェフとして活躍された経験を生かし、オープンサンド、インドカリー、パスタなど様々なメニューを提供されています。


  • 提供写真:ミネストローネ
  • 提供写真:コンベニソン
  • 提供写真:鹿肉のインドカリー
  • 提供写真:特製バーガー

「コンベニソンと地元野菜のミネストローネ」も試食。


コンベニソンは、鹿肉をコンビーフ風にしたもので、肉を、香味野菜、ハーブ、香辛料と一緒に1週間漬け込こみ、それを半日煮込むという手間のかかったもの。



  • 織部の里もとす店内
  • 織部の里もとす店内

鹿肉は、脂肪が少なく低カロリーでありながら、高タンパクで鉄分が豊富。青魚に多いDHAも含まれているそうです。


ジビエを通じて食と環境のつながりや、地元の魅力を発信したいというオーナーの熱い思いが伝わってくるお店です。


◆ジビエ料理工房 風の蛍

住所:本巣市山口676「織部の里もとす」内

TEL:090-1982-1710

営業時間 9:00~16:00

定休日:水曜日

駐車場:あり



おわりに

岐阜県には、豊かな森と清らかな水が育む恵みがあります。そのひとつが「ジビエ。」


今回取材したジビエ料理のどのお店も、自然環境を守りながら、森の恵みを大切に活かしていきたいという強い想いを持っていました。


捕獲した動物を「命を無駄にしないように」と工夫を凝らして調理し、訪れる人々にその魅力を伝えています。

そんなジビエの魅力をより多くの人に知ってもらおうと、2025年3月1日・2日にはJR岐阜駅前で「ぎふジビエイベント~鹿と酒と、2025」が開催されました。


このイベントでは、鹿肉を使った多彩な料理が提供され、それに合う地ビールやワインとのペアリングを楽しむことができました。


会場には長良川の流木を使った焚火が設置され、揺らめく炎が温かみを添えていました。

鹿肉の美味しさを楽しむことは、ただの食体験にとどまりません。それは、人と自然が共に生きる未来を考えるきっかけにもなります。


美味しい食事を通じて、自然とのつながりを感じ、持続可能な未来を考える。そんな岐阜のジビエ文化が、これからも多くの人に広がっていくといいですね。

この記事のレポーター

透 千保
透 千保
岐阜市出身・在住。
フリーアナウンサー、ビジネスマナー講師。
公共交通機関の案内アナウンスも担当。
海外渡航歴21カ国。ニュースや番組取材を通じて得た岐阜の魅力を、多くの方にご紹介します。

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