地元レポーター発!旅のコラム

秋の中山道を歩こう|鵜沼宿から馬籠宿までの旅の記録とガイド

玉置 侑里子(たまゆり)
玉置 侑里子(たまゆり)
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江戸と京都を結ぶ"姫街道"ともよばれる五街道のひとつ、中山道。
そのうち岐阜県を横断する「美濃路」には、木曽川のきらめき、宿場町の面影、紅葉の石畳道など、四季折々の美しい風景が残されています。
かつて姫君や旅人が歩いた道を、ゆっくりと自分の足でたどり、美濃路の風土や歴史、自然の恵みを堪能できる旅。
今回は、鵜沼宿から馬籠宿まで約100kmを4日間で歩いた記録とともに、その魅力をご紹介します。

歴史が息づく中山道と美濃路

江戸と京都を結ぶ五街道の一つ、中山道。

東海道が海沿いを行くのに対し、中山道は内陸の山里と宿場をつないで進みます。

多くの姫君の輿入れにも使われたことから「姫街道」とも呼ばれ、各地にその足跡が残されているのも特徴です。


その中でも岐阜の区間である美濃路には、ゆったりとした木曽川の流れ、江戸から続く老舗の宿、神秘的な石畳道や美しい神社など、数多くの魅力があります!


今回は、そんな美濃路を、鵜沼宿から馬籠宿までの約100km区間を、4日間に分けて

歩いて旅する様子をお届けします。

ルート早見表

 (距離は目安です)


1日目: 鵜沼宿〜太田宿 約16km

2日目: 伏見宿〜御嵩宿〜細久手宿 約25km

3日目: 細久手宿〜大湫宿〜大井宿 約26km

4日目: 大井宿〜中津川宿〜落合宿〜馬籠宿 28km


総距離はおおよそ90~100km

1日目 鵜沼宿〜太田宿 16km

木曽川のきらめきと、対岸の犬山城を眺めながら、ゆったりとした川辺歩きでスタート。


「日本ラインうぬまの森」という公園内にある、緑豊かで気持ちのいいうとう峠を越えた先には、見晴らしのいい川の景色と、日本ラインの奇岩が美しい川景が続きます。


続いての太田宿は、難所であった「太田の渡し」の物語が色濃く残る宿。

風情ある町並みには川からの気持ちいい風が吹き抜けて、歩き旅の気分を盛り上げてくれます。

最初に中山道会館で歴史を確かめてから町を歩くのがおすすめ!


旧郵便局を改装したお店「コクウ珈琲」のコーヒーは絶品です。

この区間は比較的平坦なので、初心者の方にもおすすめ!
川沿いのウォーキングを楽しむ気持ちで、歴史に触れながらの旅さんぽにぴったりです。

2日目 伏見宿〜御嵩宿〜細久手宿 25km

太田の渡し~伏見宿~御嶽宿までこの区間は、しばし国道21号線沿いを進みます。

途中のスーパーやコンビニでの買い出しを楽しみつつ歩くと、すぐに伏見宿に到着。


ここには、古い宿場町の風情を感じる、綺麗に整備された休憩場がありました。


伏見宿を越えると、徐々に周りはのどかな風景に変わっていき、だんだんと山深い地域が近づいてきているのを感じます。


御嶽宿の近くには、とっても趣深い茅葺き屋根のお食事処「自然処」が。


滋味あふれる濃厚な味わいのとろろそばは、旅の1ページにぴったりです。


ここでの休憩を終えると、道はいよいよ本格的に山の中へ。途中で、きれいな石畳が残る「謡う坂」を登ります。


この坂の途中には、なんと美しいマリア像が立っています。

なんでもこのあたりは、昔隠れキリシタンが住んでいた場所で、こっそりとキリストの教えを崇拝するためのマリア観音や、十字が彫られた石が多く発掘されているそうです。


この先の細久手宿までは、アップダウンのある山道が続きます。

馬や大名行列が通れるように、山中でも道幅は広くて歩きやすいのが特徴です。


そんな山道の途中にあるカフェ「みたけ いろは茶屋」では、あたたかいおもてなしが心を温めてくれます。

御嵩宿には鉄道の駅もあり、古刹「願興寺」などのみどころやお土産店などもあり、風情を感じられます。
歩きに自信がない方も、訪れてみてはいかがでしょうか!

細久手宿の老舗旅館・大黒屋

細久手宿は、山の中の小さな集落という感じですが、ここにこの宿場町唯一の旅館があります。

それが「大黒屋旅館」。


江戸時代、まさに中山道が姫様道中や大名行列で大賑わいだった全盛期の頃から、旅籠として使われていた建物がほとんどそのままで残されており、現在でもお宿として営業なさっているというたいへん歴史深いところです。


ここは江戸時代?

土間で履き物を脱いで呼び鈴を鳴らすと、宿のご主人が出迎えてくださり、さっそく館内と部屋を案内してくださいました。


建物の中は、時代劇そのままのような造り。

階段上の吹き抜けみたいになった空間と、襖で仕切られたそれぞれの部屋の周りをぐるりと四方囲むように廊下があるのが不思議です。

本当に長く長く、大切に使われてきたものにだけしか宿らない「ととのった」雰囲気が、建物中に満ちていました。


そして、用意していただいた夕食、これがもう、美味すぎて!!

訪れたのは秋だったので、食卓に並ぶのは、柿、栗、かぼちゃにお芋、きのこに、珍しいユリネを茹でたものなど旬の味ばかり。


メインのお料理も、ぜいたくな川魚を、なんと2種類も!

岩魚はシンプルに塩焼き(焼き立てを出してくださいました)、鯉はお醤油とみりんの甘煮。


さりげなく添えられた秋色の葉っぱは、今日歩いてきた山道で見かけたものです。


お酒も、瑞浪の地酒「若葉酒造」さんのもので、きりっとしたキレのある味わいが、山の幸のおいしさを引き立てて大変においしかったです。


旅の疲れなんてどこかへ飛んで行っちゃうくらい、どのお料理も手が込んでいて、滋養がたっぷりで、体に染み込んでいくようなお味でした。

もちろん歩き旅でなくても宿泊可能です!
江戸時代の美濃路の風情や空気感をたっぷり味わいたい方は、ぜひ宿泊してみてくださいね。

3日目 細久手宿〜大湫宿〜大井宿 26km

細久手宿の集落を出ると、木立に包まれたアスファルトのワインディングロードがしばらく続きます。


色づいた紅葉の木々がたくさんあり、それが洗いたてみたいに澄んだ朝の空気と、新鮮な太陽の光に照らされてきらきらと光っている様子はとてもきれいです。


しばらく進むと、弁財天の祠がある、神秘的な佇まいの「弁財天の池」が現れました。

標高400mほどの位置にあるこの池、江戸時代のころから、旅人にとって貴重な水場だったようです。

池のわきには紅葉の木がいくつもあり、大量の落ち葉が池の水に沈んで、凪いだ水面は青い空を映して、その色の微妙な濃淡とグラデーションがとても綺麗な、隠れた紅葉スポットでした。


このあたりは、長距離にわたって往時の石畳が残っており、そのすばらしさは日本国内の旧道のなかでも指折りといわれています。


峠のてっぺんには、京から江戸へ嫁入りをする皇女和宮が詠んだという歌碑も立てられていました。

「住み馴れし 都路出でて けふいくひ いそぐとつらき 東路のたび」


石畳の峠を越えてまたしばらく歩くと、宿場町の風情を色濃く残す山間の集落、大湫宿に到着しました。


ここ大湫宿の大湫神明社には、2020年春頃の水害で倒れ、全国的にもニュースになった、樹齢1300年の大杉がありました。

人間が目一杯手を広げても、10人分くらいはあるんじゃないかという太さの幹。

これだけ大きな木が倒れながらも、周辺の家屋に被害はなく、一人も怪我をしなかったということで、当時は話題にもなりました。

案内所の方のお話によると、今は挿し木で根付いた、子供にあたる木が大切に育てられているそうです。


大湫宿から先は、十三峠と呼ばれる数多くの峠を越えるアップダウンの激しい道へと入っていきます。


道中は山の中で、紅葉がとても美しいです。

十三峠の名前の通りいくつもいくつも山を登って降りてをくりかえすと、見晴らしのいい高台の公園へと出てきました。


眼下には恵那の街並みと、目の前にはどっしりとした山容の恵那山がそびえています。

人気のほとんどない山道を歩いてきて、こうして大きな街を目にした時の感激はひとしお。

「ひ、人里だー!!」という孤独感からの解放と「これで無事に着けるぞー!!!」という安心感。

江戸時代にこの十三峠を越えた人々も、きっと同じように感じたんじゃないでしょうか。

この区間は、秋の紅葉が本当に美しく、紅葉狩りにもおすすめです!
熊の出没情報には十分に気をつけてくださいね。

4日目 大井宿〜中津川宿〜落合宿〜馬籠宿 28km

恵那の街に残る大井宿は、中山道の全宿場町の中でもかなり規模の大きなところだったそうです。

広い道路の両脇に家々が並ぶ景色は、なんとなく当時の人々の往来を思い起こさせます。


しばらく歩いて行くと見つけたのは、和菓子屋さん「美濃屋」さん。
この辺りは、昔から山栗がよく取れる土地。それを生かしたお菓子「栗きんとん」が名物です。

蒸した栗の実を細かく砕いて砂糖とともに練り上げた、シンプルだからこそ栗の風味がとてもよくわかる、素朴だけど上品な、この土地の秋ならではのごちそう!

歩き旅のひと休みにぴったりです。


恵那や中津川にはたくさんの和菓子屋さんがあって、毎年秋になると、こうしてどの店にも栗きんとんが並びます。

製法にも各店のこだわりがあって、味わいも違うので食べ比べるのも面白いです!


延々と家々が連なる緩やかなアップダウンの道を歩き終えると、景色がぱっと開けて、中津川の街へと到着。

中津川宿も、当時の風情をどことなく残す街並みが続いていて、そのまま現代の商店街へと中山道が続いています。


宿場町の通りには、日本酒好きの間にもファンが多いというお酒「恵那山」の酒蔵も。

きりっとして清冽ながらも華やかさがあって、まさに冬の恵那山のたたずまいを思わせるような味です。とても美味しいので、おすすめです。



中津川宿を越えると、道は今回の旅の最高地点・標高800m近い馬籠峠へと向かって、アップダウンを繰り返しながら、ゆるやかに高度を上げていきます。


石畳の登り道を歩くと、いよいよ馬籠宿に到着です!!


馬籠宿は、東海地区でも屈指の景観、そして歴史を誇る、旅先としても大人気の場所!


山の斜面の急な勾配に沿って石畳がひかれていて、その左右には、旅館、お土産店、ゲストハウス、酒屋さん、お食事処、カフェなど、多くの店が軒を連ねています。


馬籠宿の街並みのおわりにある展望台からは、すぐ近くに迫った恵那山がとても綺麗に見えました!

ここまで歩いてくると、達成感もひとしお。

かつて江戸時代の人々の苦労と、旅の楽しさをぞんぶんにあじわうことができました。


道はこの先、長野県との県境を超えて、江戸へと伸びていきます。

落合宿から馬籠宿に向かうルートは、この区間のハイライト!
登りの石畳を歩いて、賑わいのある馬籠宿に到着したときの感慨はひとしおです!

いかがだったでしょうか?

電車やバスを使っても便利に来られる馬籠宿ですが、中山道を歩いて訪れることで、まるで江戸時代の人になったかのような気持ちで、時間旅行のような気分を味わうことができます。


とくに、岐阜県内を通る美濃路の区間は、美しい広い木曽川のゆったりとした流れから、静かな紅葉と石畳の森へと分け入り、聳える恵那山を眺め…その途中でいくつもの宿場町で江戸の風情と人のやさしさに触れながら歩くことができる、とても素晴らしい旅路です。


また、この地域ならではの、秋の山と川の恵みをたっぷりと味わうことができるのも、大きな魅力!

栗きんとんに、川魚、ひやおろしの日本酒など

美濃路ならではの秋を、ぜひ味わってみてくださいね。


中山道歩き旅について

季節は春や秋がおすすめです。

標高差による寒暖差に備えて、脱ぎ着して体温調節しやすいレイヤリングを心がけましょう。

アスファルト道と、山道をどちらも歩くため、足元は歩きやすくソールが柔らかいトレッキングシューズやウォーキングシューズがおすすめです。


現地の案内板だけではなく、スマートフォンの地図アプリとガイドブックを併用すると道に迷わず安心です。

鉄道やバスなどの公共交通機関もあらかじめ確認し、無理のない行程で歩きましょう。


また、山間部では熊の目撃情報などにも細心の注意を払い、対策を行いましょう。


この記事のレポーター

玉置 侑里子(たまゆり)
玉置 侑里子(たまゆり)
ZIP-FMナビゲーター、ラジオパーソナリティ、フリーライター。岐阜県岐阜市生まれ。自然の中で過ごすこととおいしいものを食べることが大好き!温泉ソムリエ、観光特産士2級。有名スポットから穴場まで、岐阜の風土"だからこそ"の魅力をたっぷりお伝えします!

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