地元レポーター発!旅のコラム

羽島の小さな旅|蓮が咲く大賀ハス園と佐吉大仏をめぐる、静かな朝【6月〜7月見頃】

高橋 尚美
高橋 尚美
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夏の朝、少しだけ早起きをして羽島へ出かけてみませんか。

今回は、岐阜県内でも有数のハスの名所「大賀ハス園」からスタート。朝日に照らされる大輪のハスを眺めた後は、羽島市中心部の竹鼻地区へ。歴史ある寺院や酒蔵、門前町の面影が残る町並みを歩きながら、地元で親しまれる、この時季限定の和菓子も味わいます。

さまざまな見どころがコンパクトにまとまっていて、“知る人ぞ知る”な観光スポット。だからこそ出会える穏やかな時間があります。歴史と暮らしが寄り添う羽島、美濃竹鼻のまちを、ゆるやかに巡ってみましょう。

朝のご褒美「大賀ハス園」

  • 大賀ハスのつぼみ。もうすぐ咲きそうです!

旅のスタートは大賀ハス園です。


約2,000年前のハスの実から発芽したとされる「大賀ハス」が咲くこの場所は、羽島の夏を代表する風景のひとつ。見頃を迎えると、池いっぱいに淡いピンク色の花が広がり、訪れた人を優しく迎えてくれます。


ハスは早朝に花を開き、時間が経つにつれて閉じていくため、訪れるなら朝がおすすめ。静かな空気の中で眺めるハスは格別です。水面に映る花や葉、朝日に透ける花びらを見ていると、一日の始まりが少し特別なものに感じられます。


6月22日に訪れた時点では、「大賀ハス」の花は開いていませんでしたが、つぼみを2つ見つけることができました。別区画の「スイレン」や「舞妃蓮」(まいひれん)は淡い色の花が一面に咲いていました。例年、6月中旬から7月中旬に見頃を迎えるようです。


大賀ハス園には車数台分の駐車スペースがあります。あぜ道を散策したい方は、足下のぬかるみ対策で長靴か汚れてもいい歩きやすい靴でお出かけください。

歴史が息づく竹鼻のまちへ


大賀ハス園を後にして、車で竹鼻地区へ移動します。


かつて戦国時代、城下町や門前町として栄えた竹鼻には、今も歴史を感じさせる建物や寺院が点在しています。歩いてまわれる範囲に見どころが集まっているため、ゆっくり散策するのにぴったりです。


まず向かったのは、大賀ハス園から「ハス」つながりで「佐吉大仏」です。

竹鼻のシンボル「佐吉大仏」

  • 佐吉大仏の正面
  • 背面には扉があり、希望すると胎内に入れる。
  • 佐吉大仏のすごろくがありました。なんと無料!
  • 釈迦堂の外観

美濃の聖人、永田佐吉が建立した青銅製の釈迦如来坐像で、高さは約5メートル! 「佐吉大仏」という名前のほかに通称「竹鼻大仏」とも呼ばれて親しまれています。日本国内に大仏は数あれど、個人名がついている大仏はこの「佐吉大仏」だけなのだそう。


やわらかな微笑みをたたえ、竹鼻のまちを見守っているような姿を眺めていると、不思議と心が穏やかに落ち着いてくるようです。建物(釈迦堂)の内部には、親孝行と社会貢献でたたえられた佐吉翁の生涯や佐吉大仏の歴史について数多くの資料が展示されています。


「佐吉大仏」は拝観無料、自由に写真撮影することができます。


実物展示の「竹鼻まつり山車会館」

  • 竹鼻まつり会館の外観
  • 仏佐吉の石像
  • 仏の佐吉音頭
  • 佐吉仏の和泉は、暑さも和らぐ慈悲深い涼感スポット

竹鼻では、毎年5月に「竹鼻まつり」行われ多くの人で賑わいます。八劔(はっけん)神社の祭礼を彩る豪華な山車(だし)が展示されているのが「竹鼻まつり山車会館」です。

 

からくり人形の山車は、岐阜県指定重要有形民俗文化財で、その精巧な彫刻や華やかな装飾は一見の価値あり! 江戸時代から伝わる「竹鼻まつり」の雰囲気を1年中体験できる、おまつりスポットです。

 

また、会館の前にある「青山スクエア」には、永田佐吉の功績をたたえる石像があります。その台座には「仏の佐吉音頭」と刻まれた歌詞が。作曲は♪芸のためなら~でおなじみの「浪花恋しぐれ」や岐阜のご当地ソングのひとつ「長良川艶歌」で知られる岡千秋さん。2014年に完成し、市内のホールでお披露目の発表会があったそうです。

 

さらに暑い夏にはうれしいスポットも。青山スクエアの一角にある「佐吉仏の和泉」には地下からくみ上げた清水が流れています。手ですくった水はひんやり冷たくて、一服の清涼感をもたらしてくれました。


※「佐吉仏の和泉」は、消毒されていないことをご承知の上、お使いください。利用時間は朝6時から夜8時です。

竹鼻商店街通りを歩く(聞得寺・千代菊・札の辻)

  • 聞得寺の立派な鐘楼門。ふと横に目をやると →
  • 掲示板には「食べなければ死ぬ 食べていても死ぬ」の文字。 →「千代菊」へ
  • 蔵屋敷の中は夏でもひんやり♪ →菊つながりで…
  • 道のタイルには市の花「美濃菊」が描かれていました。 →「札の辻」へ
  • 本町通りから川町土場(船付場)へ行くこの三叉路は 江戸時代に高札場(こうさつば:制札を立てた所)が設けられ 札の辻と呼ばれた

聞得寺


山車会館から北へ歩き出してすぐのところに「聞得寺」(もんとくじ)という真宗大谷派のお寺があります。近江浅井(あざい)氏にゆかりのあるお寺で、戦国時代に創建されて以来、竹鼻地区でも古い歴史を持つ寺院のひとつです。


通りがかりで目を奪われたのは、板葺きの鐘楼門。山門の代わりだそうですが、長年の風合いを宿した銅の緑色の静謐な美しさに思わず立ち止まって見入ってしまいました。


道沿いの「伝言掲示板」には、深~い教訓が味のある書体でつづられているのを発見。心に刻みたいと思います。




千代菊


通りを北へ進むと見えてくる白壁の蔵屋敷は「千代菊」の建物で、江戸時代中期の創業以来、地域に根差した酒造りを続けてきた老舗酒蔵です。


「平凡の銘酒」というフレーズを掲げ、気のおけない友人や家族のように、 ごく自然に身近にある存在で普通に愛されるお酒造りを大切にしているのだそう。定番の日本酒ラインナップのほかに、純米スパークリングや日本酒仕込みのリキュールなどバラエティゆたかなお酒がそろっています。


千代菊の前を通りすぎて、しばらく進んだら羽島市の花「美濃菊」に出合いました。





札の辻


竹鼻の中心部に位置する札の辻は、かつて、地域の中心地で人が行き交い、情報発信ステーションの役割を果たしていた場所です。現在は静かな交差点ですが、少し立ち止まって思いを馳せてみると何気ない景色も少し違って見えてくるかもしれません。

羽島の夏の風物詩!「みそぎ団子」(和菓子処 兎月園)

  • 歩きながら1本、途中で1本、帰宅して1本
  • 当日中にお召し上がりください
  • みそぎ団子は朝8時から夕方5時まで販売

春から夏にかけた時季に竹鼻を散策するなら、やっぱり食べたくなるのが「みそぎ団子」です。


2本組の串に刺さった丸い2つのお団子を香ばしく焼き上げ、赤味噌ベースの甘じょっぱいタレをたっぷりつけたご当地スイーツの代表格です。お団子は米粉の生地でもっちもち。中にはやさしい甘さのこしあんが詰まっています。兎月園で注文を受けてから焼き始めるため、アツアツでもっちもちの「みそぎ団子」をいただけます。


毎年6月30日の「みそぎ神事」の日に合わせて食べると、その年の後半は元気に過ごせるという言い伝えもあるそうです。兎月園さんでは8月末まで販売しています。旅の楽しみのひとつとして味わっていただきたい1本です。


和菓子処 兎月園

町屋の通りを散策(竹鼻別院・不二竹鼻町屋ギャラリー・羽島市歴史民俗資料館・映画資料館)

  • 見事なフジのシーズンが一段落したフジ棚 →正面には…
  • 「竹鼻別院」の大伽藍の迫力! →町屋の通りへ…
  • 風情のある町屋のたたずまい。 →「不二竹鼻町屋ギャラリー」へ
  • 展示入れ替えをしていました。 →「歴史民俗資料館」へ
  • 「竹ヶ鼻城」をモチーフにした外観 →手前の道沿いには…
  • 本丸城址碑と史跡案内板 →「映画資料館」へ
  • 昭和の映画スターが勢ぞろいしたパネル

竹鼻別院


兎月園を出て左に進んで突きあたると、竹鼻フジで有名な「竹鼻別院」があります。


樹齢300年のフジの花が見頃を迎える時期には、「美濃竹鼻ふじまつり」が催され、大勢の人出で賑わってこの辺りはお祭り一色に。フジの花の一段落とともに、落ち着きを取り戻した今の時期は、ゆっくりと町並みを散策するのにもってこいのタイミングです。

 

堂々たる竹鼻別院の大伽藍を見上げて眺め、葉が茂ったフジの木の下で涼んだら、ふたたび町歩きの再開です。




不二竹鼻町屋ギャラリ


大正3年に建築された、京町屋式民家「旧菱田邸」のおもむきを残した美術館です。岐阜県にゆかりのある作家の絵画、陶器、彫刻が所蔵されています。


この日は展示入れ替えのため休館していました。夏休みには、“子どもも楽しめる不二竹鼻町屋ギャラリー”をコンセプトに参加型・体験型のイベントが予定されているそうです。


通り沿いに並ぶ町屋の景色に溶け込んだギャラリーで、心落ち着くひとときを過ごすのも良いですね。




羽島市歴史民俗資料館・映画資料館


羽島の歴史や民俗資料に関する展示にふれることができる「歴史民俗資料館」と映画文化に関する「映画資料館」が併設されています。


戦国時代、このあたりに「竹ヶ鼻城」があったと考えられていて、建物の西側は城をモチーフにしてデザインされています。

一方、「映画資料館」は、公の施設として全国的にみても珍しい存在です。実はかつて、この場所には映画館があったそうで、建物の南側はその映画館の正面がモチーフになっています。


毎月第2土曜日に1日2回、昔の懐かしい映写機をつかって懐かしの映画を上映しています。上映は有料で事前予約が必要です。

美濃縞の手織り体験ができる「ぐるっと羽島」

  • 土蔵を改修した「ぐるっと羽島」の中
  • スタンプラリーの色紙
  • 休憩所内では飲食OK
  • みそぎ団子を「いただきます!」

「ぐるっと羽島」は観光交流センターとして、まち歩きの途中に気軽に立ち寄れるスポットです。初めて羽島を訪れる方には、ここで竹鼻地区の歴史や見どころをチェックしてから散策をスタートすることをおすすめします。


向かって左側の「観光案内・体験スペース」は、明治時代の土蔵を改修した建物で、観光案内所や地元の特産品お土産コーナー、美濃縞の展示や体験コーナーがあります。また、右側には「観光交流休憩所」が設けられ、無料で利用できます。室内には冷房設備があり、羽島市のクーリングシェルターに指定されています。こちらでは、飲食も可能ということでしたので兎月園で買ったみそぎ団子をいただきました。


夏の暑い日に散策する場合は、早めに利用してこまめに休憩を取りながら町歩きを楽しんでください。


美濃縞の手織り体験


施設の2階には、美濃縞(みのじま)の手織り体験を楽しめるコーナーがあります。かつて羽島の地場産業として栄えた美濃縞が、機織り機を使いながら体験できます。伝統的な織物づくりにふれられて、旅の思い出づくりにもぴったり! 地域に受け継がれてきたものづくりの文化を身近に感じられます。

少し足を延ばして(本覚寺・八劔神社)

  • 本覚寺(ほんがくじ)
  • 本覚寺も竹鼻の聖人、永田佐吉と縁が深い
  • 山門までの道と並行して名鉄竹鼻線が通っている
  • 境内の池で、ハスのつぼみを発見! →続いて「八劔神社」へ
  • 鳥居の朱色があざやか
  • 鳥居の西側にある「なまず神社」
  • 八劔神社の拝殿
  • 拝殿の片すみに積まれた「千代菊」の菰樽(こもだる)
  • 八劔神社にも佐吉翁の歌碑がありました

竹鼻地区の中心から離れ、名鉄竹鼻線の線路を越えて、北にも少し足を延ばしてみました。


本覚寺


名鉄竹鼻線の線路と隣り合う「本覚寺」(ほんがくじ)は、歴代竹ヶ鼻城主の菩提寺です。永田佐吉翁のお墓もありました。


本覚寺を訪ねたら、本堂の中央で天井を見上げて「雲龍の絵天井」をぜひご覧ください。本堂には自由に入ることができます。この絵天井は、岐阜県重要文化財に指定されているもので、あざやかな色遣いでリアルに龍の全身が描かれています。今回、初めて見ることができ、まるで睨まれているような龍の凄味は、しばらくその場から動くことができないほどでした。


その迫力は実際に見上げてご自身で体感していただくのが1番。写真撮影は禁止されていますのでご注意ください。


境内に生い茂るゆたかな木々の緑色とすぐ横を走る名鉄竹鼻線の赤い電車との美しいコントラストも見逃せません。




八劔神社


今回の旅で最後に訪れた「八劔(はっけん)神社」で毎年5月3日に行われる祭礼が「竹鼻まつり」です。このお祭りでは、「竹鼻山車会館」にも展示されている山車が町なかを練り歩きます。


また、毎年6月30日には「みそぎ神事」が行われ、1年のうちの前半の罪や汚れを払い清め、後半の無病息災を願います。この日に「みそぎ団子」を食べるとその年の後半は健やかに過ごすことができると伝えられてきました。先に紹介した和菓子処 兎月園にも「みそぎ団子」を買い求めるため、大勢の人が訪れるのだそうです。


緑ゆたかな境内は清々しく、ここまでの小さな旅の締めくくりにぴったり。境内に飾られた風鈴にも夏の風情を感じました。美濃竹鼻の人々の暮らしに寄り添ってきた神社ならではの穏やかな雰囲気が漂っていました。

アクセス

  • 花菖蒲の看板前に2~3台、停めることができる

今回の「羽島の小さな旅」は、車で「大賀ハス園」へ向かい、竹鼻地区へ移動して車を停めて散策しました。


駐車場は、羽島市役所、近隣のコインパーキングのほか、「八剱神社」および「聞得寺」向かいの「浄栄寺」の駐車場が市内観光客向けに開放されていて利用することができます。また、「佐吉大仏」や「本覚寺」には参拝者用の、「兎月園」「ぐるっと羽島」にも来訪者用の駐車場があります。


竹鼻地区のみを散策する場合は、名鉄竹鼻線の利用も便利です。徒歩でも無理なく巡ることができ、歴史ある寺院や町家、和菓子店など竹鼻の魅力をゆっくり楽しめます。


初めて訪れる方には、「竹鼻駅」で下車して「ぐるっと羽島」でプランを立ててから散策をスタートされることをおすすめします。「羽島市役所前駅」に向かって、竹鼻地区の見どころを回って満喫してください。


* * * * *


夏の朝に咲く大賀ハス、歴史ある竹鼻地区の史跡と町なみ、そして地元で愛される味。羽島には、肩の力を抜いて楽しめる穏やかな旅の魅力があります。ぜひ、朝の涼しい時間に訪れてみてはいかがでしょうか。

この記事のレポーター

高橋 尚美
高橋 尚美
愛知に生まれ大学から東京へ。卒業後も都内出版社に勤め、結婚・出産を経て2009年に岐阜へ移住し、その後ライターとして活動。得意分野は、食・子育て・学び・健康・旅・住まい。趣味は歌うこと。岐阜に馴染みすぎて県外出身だと信じてもらえない私。皆さまに岐阜の魅力を「地元民と一緒に歩いてまわる」ようにお伝えします!

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