地元レポーター発!旅のコラム

見て・ふれて・味わって!岐阜・川原町に「CASA stella」誕生

透 千保
透 千保
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岐阜市の川原町エリア。長良川の川湊として栄えたこの町には、どこか懐かしい時間が流れています。 古い町家が軒を連ね、ふとした路地の先には、思わず足を止めたくなる風景も。

2025年3月、そんな川原町に新しくオープンした文化観光施設「CASA stella(カーサ ステラ)」は、 見て・ふれて・味わって——という体験を通して、岐阜の“手しごと”と出会える場所です。

舞台となるのは、かつて和紙原料問屋だった「松井邸」。築100年以上の歴史的建物でありながら、現代的な感性を取り入れてリノベーションされました。

和傘や提灯などの伝統工芸に触れたり、着物で町を歩いてみたり、冷やしたぬき蕎麦に舌鼓を打ったり。素敵な旅の時間を過ごせそうです。
早速「CASA stella」の魅力をご紹介していきましょう。

ORGANキモノ

まず立ち寄ったのは、アンティーク着物のレンタルショップ「ORGANキモノ」。 


おでかけ用の着物(1日5,500円〜、着付け込み)は、当日の13時までに受け付ければレンタル可能です。


種類がたくさんあって、どれもカワイイ!……正直、迷ってしまいます。 思い切って、普段はあまり選ばないビビッドな柄に挑戦してみました。着付けは15分ほどで完了。

着物や長襦袢、草履などは持参もOKですが、レンタルもできます。 和傘や小物の貸し出しもあり、訪問着や振袖、男性用和服、ゆかたなど、幅広く揃っています。購入できるものもありますよ。


着物で町を歩くと、気分が上がりますね。写真映えもバツグンです。


◆ORGAN キモノ

営業時間:9:30~18:00

定休日:水曜日、木曜日 

和傘CASA

建物に入ってすぐ、視線を奪われるのは、ずらりと並んだ岐阜和傘。 「和傘CASA」は全国でも唯一の専門店で、職人の手によってつくられた約60本の和傘が並んでいます。


どれも柄や色が異なる一点もの。 桜の形をした大人気の桜和傘もありました。

扱い方やお手入れについても、スタッフの方が丁寧に教えてくれます。 旅の思い出に、自分だけの一本を選ぶのも素敵ですね。


レンタル(1日2,200円)もできるので、実際に使ってみる楽しさも味わえます。

展示スペースでは、和傘の歴史や構造、製作工程も紹介されています。


骨や紙、糸が組み合わさって、あの繊細なかたちになるまで。 職人の技の奥深さが伝わってきます。



ちょうど取材の日には、柴橋 正直 岐阜市長(左)が視察に訪れ、CASA stellaなどを統括するNPO法人ORGANの理事長 蒲 勇介さん(右)が案内役をつとめられました。


岐阜の伝統産業をさらに多くの方々に知っていただきたいものです。そしてここ川原町が、その魅力を感じ、未来へと手渡す場所になっていくことを願っています。

    


                 

◆和傘CASA

営業時間:11:00~18:00

定休日:水曜日、木曜日 

TEL 090-8335-9759

OZEKI 川原町 gallery

2階に上がるとそこは、1891年創業の老舗・株式会社オゼキが手がける「OZEKI 川原町gallery」。岐阜提灯の魅力を発信するショールームです。


伝統的なお盆提灯はもちろん、現代のライフスタイルに寄り添うモダンなデザインの提灯まで、さまざまなスタイルの提灯が展示されています。


いずれも、長い歴史と確かな職人技によって生み出されたものばかり。

やわらかな光に包まれた空間に足を踏み入れると、提灯の美しさや温もりに改めて気づかされます。和のあかりが放つ、どこか懐かしくやさしい雰囲気。


伝統と新しさが調和するこのギャラリーで、岐阜提灯の奥深い世界に触れてみてはいかがでしょうか。


◆OZEKI 川原町gallery

営業時間:11:00~18:00

定休日:水曜日、木曜日 

AKARI gallery

「OZEKI 川原町gallery」の隣の部屋に足を踏み入れた瞬間、思わず「わぁ…」と声を上げてしまいました。そんな感動を味わえるのが「AKARI gallery」です。


このギャラリーでは、世界的彫刻家・イサム・ノグチが1951年から手がけた照明作品「AKARI」がディスプレイされています。


岐阜提灯との出会いから生まれたこのシリーズは、世界中で愛され続ける和紙のあかりの芸術。繊細なフォルムとやさしい光に包まれる空間は幻想的です。

展示は、岐阜の風物詩・長良川の鵜飼のかがり火と、水面に映るゆらめきをイメージして構成されているそう。静かな光の波に包まれているような感覚に、思わず時間を忘れてしまいます。


気に入った作品は購入することも可能です。芸術と伝統、そして岐阜の風景が融合したこの空間で、あなただけの「AKARI」と出会ってみてはいかがでしょうか。


◆AKARI gallery

営業時間:11:00~18:00

定休日:水曜日、木曜日 

冷やしたぬき天国 川原町店

1階に降りると、香ばしい香りが漂ってきました。 岐阜のソウルフード「冷やしたぬき蕎麦」の専門店です。町屋を活かした奥に細長い店内には、カウンター席やテーブル席も。


定番の「冷やしたぬき蕎麦」は、コシのあるそばに油揚げ、天かす、ねぎ、昆布粉、いりごまがたっぷり。 さっぱりしているのに、どこか奥深い味わいで、するするっと食べられます。

  • 提供写真
  • 提供写真
  • 提供写真

さば寿司とのセットや、「冷やしたぬき肉そば」などのオリジナルメニューも豊富。豚肉、クラフトラー油、刻みらっきょうが味のアクセントになっていてまさに進化系!


「鶏だんご塩たぬき蕎麦」「牛すじ蕎麦」 「スパイシー海老カレー蕎麦」など、ここだけの味も楽しめます。


いちご大福のスイーツも、もっちりとした皮に大粒のいちごが包まれて、幸せな一品でした。

店主の萩原雅規さんは、無化調にこだわり、「一杯入魂」の気持ちで心を込めて作っているそう。


 岐阜の食文化を、この一杯から発信したい——その想いが、お蕎麦から伝わってきました。


◆冷やしたぬき天国 川原町店

営業時間:平日11:00~17:00 

土日祝日 11:00~14:30 17:00~20:00

定休日:木曜日 

CASA stellaの魅力とこれから

NPO法人ORGAN/CASA stellaの店長 河口 郁美さんは、「伝統工芸品の素晴らしさや、キモノを着て町歩きを楽しむよさを、見て、触れてもらい、伝えることができるようになった」と期待を込めています。

また、理事長・蒲勇介さんは、施設そのものが持つ背景について、こう説明してくれました。


「CASA stella」は、岐阜和傘、岐阜提灯、そしてイサム・ノグチの「AKARI」—— 三つの“光”をテーマに、伝統工芸を未来へつなぐために生まれた施設です。」


「築100年以上の町家「松井邸」は、かつて川湊のにぎわいの中にあった建物。屋号の「川星(かわぼし)」には、長良川を行き交う船が、暗がりの中でたよりにしていた“しるべの光”という意味が込められているのではないか。」


「そんな物語に寄り添うように、“星=stella”の名を付けました。」静かな町並みに灯る、まさに「光の家」となりそうですね!


◆CASA stella カーサ・ステラ

住所:岐阜市玉井町6



てしごとスタジオ(長良川てしごと町屋CASA内)

CASA stellaから歩いてすぐ、「てしごと町屋CASA」の中にあるのが「てしごとスタジオ」。 ここでは、いくつかの体験プログラムが用意されています。


今回は「ぎふ提灯の絵付け」にチャレンジ。 

やさしくアドバイスしてくれたのは、NPO法人ORGAN事務局長の熊田 朋恵さん


丸いレター提灯は、たためば郵送も可能とのこと。 メッセージを書いて、大切な人に送ることもできるスグレモノです。 構図を考え、アクリル絵の具でそっと描いていきます。

和紙に曲線を描くのは難しくて、途中からはスタッフと一緒に。 最初は用意されたお手本を参考にしながら描き進めていましたが、裏側にも模様を入れ始めるうちに、夢中になってしまいました。


完成した自分だけの提灯には、なんとも言えない愛着が湧いてきます。

ミニライト付きで、灯りも楽しめます。 そのまま提灯を持って町を歩くのも、素敵な過ごし方かもしれません。


ふだん見慣れた景色も違って見えてくるような気がします。岐阜・長良川の鵜飼は、毎年5月11日から10月15日まで。


鵜飼の始まる夕暮れ時、やわらかな灯りとともに町を散策するのも風情がありますね。

そのほか、「ミニぎふ和傘の絵付け」や「ぎふぼんぼり絵付け」などの体験もあり、大人から子どもまで楽しめます。


「てしごと町屋CASA」は2018年にスタートし、最近リニューアルを経て、より魅力的に。 築100年以上の町家には、和傘の骨を作る「傘骨屋」や、「ORGAN活版印刷室」などの工房も入居しています。

伝統と暮らしが息づく空間で、手仕事の魅力に触れてみてください。


◆てしごとスタジオ(長良川てしごと町屋CASA内)

住所:岐阜市湊町29

営業時間:10:00~17:00

定休日:水曜日、木曜日 



長良川デパート

川原町を歩いて最後に立ち寄ったのは「長良川デパート」。 2022年にリニューアルし、地元の伝統工芸や食文化がぎゅっと詰まったお店です。


提灯、美濃和紙、木工、竹細工、刃物といった手しごと雑貨から、地酒や調味料、お菓子まで充実の品揃え。

旅の思い出に、贈り物に。どんなシーンにも合う品が見つかります。地酒コーナーでは、スタッフの方が親切に相談にのってくれて、試飲もできます。もちろん自分へのご褒美も。


「CASA stella」や「長良川てしごと町屋CASA」とともに、長良川流域の魅力をまるごと体感できる拠点のひとつとなっています。

なお、各店舗には共通の駐車場(第1駐車場、第2駐車場)が用意されていますので、お車でも安心して訪れることができます。ぜひご利用くださいね。


◆長良川デパート

住所:岐阜市湊町45

営業時間:10:00~18:00

定休日:火曜日・年始

TEL:058-269-3858


この記事のレポーター

透 千保
透 千保
岐阜市出身・在住。
フリーアナウンサー、ビジネスマナー講師。
公共交通機関の案内アナウンスも担当。
海外渡航歴21カ国。ニュースや番組取材を通じて得た岐阜の魅力を、多くの方にご紹介します。

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