地元レポーター発!旅のコラム

東美濃の山城はおもシロ〜い!「美濃金山城」篇

西村知穂(2021年度・2022年度)
西村知穂(2021年度・2022年度)
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岐阜の宝ものに認定されている「東美濃の山城」。全国に通用するふるさとの自慢として、平成29年度に「岩村城跡と岩村城下町」「苗木城跡」「美濃金山城跡」が「東美濃の山城」として一体的に認定されました。そんな県下を代表する3つの山城を、恵那市生涯学習課の三宅唯美さんと、日本城郭協会 学術委員の長沼毅さんにご案内いただきました。今回は、可児市にある国史跡「美濃金山城(みのかねやまじょう)」の魅力をご紹介。自称、山城ガールの私、西村知穂がおもシロ〜い!と思ったポイントをリポートします。

国史跡 美濃金山城跡

国史跡「美濃金山城」は、1537年(天文6年)斎藤正義が「鳥峰城」の名で築城。1565年(永禄8年)には、織田信長の家臣 森可成が城主となって「金山城」と改称。森家の居城として、長可、蘭丸、忠政に受け継がれ、東美濃支配の拠点になりましたが、関ケ原合戦直後の1601年(慶長6年)に、その役割を終えて廃城。美濃では唯一となる豊臣期の織豊系城郭で、城が壊された跡「破城の痕跡」がみられるお城です。

おもシロ〜いポイントその1「破城の痕跡」

城を故意に壊し再び城が築かれないようにする「破城(はじょう)」の跡が、多くの場所に見られる美濃金山城。一歩を足を踏み入れると、破城によって崩された石があちこちに、ゴロゴロと転がっていてビックリ。全ての石垣は、自然石を加工せずに積む「野面積み(のづらづみ)」と呼ばれる積み方で、石の間の隙間に間詰め石と呼ばれる小石を詰めることで、面を綺麗にすることはもちろん、平らな面にすることで敵が簡単に登れなくなる工夫が施されています。

また、石垣の角は強度を増すために長方形の石を交互に積む「算木積み(さんぎづみ)」にし、天端(てっぺん)に大きめの石を積んで、上からと横からの圧で石垣を保ち、そのギリギリの所に建物を建てられるようにしています。裏を返せば、上と角さえ落とせば石垣はもろくなり、使えなくなってしまうということで、破城された美濃金山城の石垣は、天端と角が壊されていました。そんな破城の跡を、400年以上経った今でも見ることができるなんて!鳥肌モノですよ〜。

長沼毅さん
石垣を壊すという行為は、上と角を壊せばそれで破城したことになります。
三宅唯美さん
こういった破城の跡が残っている城はほとんどなく、そういった意味では貴重なお城なんです。
見せしめの為に行う破城。だからこそ、そのままの形でずっと残っている美濃金山城はまさに「時代が止まった山城」です

おもシロ〜いポイントその2「想像を掻き立てる礎石」

美濃金山城の正面玄関は「大手桝形(おおてますがた)」という最強の門で厳重に守られていました。ここには、あちこちに「礎石(そせき)」という、柱を安定的に支えるための石が見られるうえに、横が高くなっていることから、とても立派な建物付きの門があったことが想像できます。他にも至るところに礎石があるので、この時代は平地に建物が詰まっていて、山の上に住んでいたことがうかがえるとお聞きし、想像が膨らみました。そんな想像を掻き立てる礎石に注目です!

また、大手桝形の正面は石垣だったそうですが、当時、この勾配では下から上まで石垣を積むのは難しかったようで、何段かの石垣を作りその間に通路を設け、下から見ると、まるで一面の石垣に見えるような工夫をされていたそうで、所々にその面影を残す石垣が残っていました。なんて素晴らしいアイディアなんでしょう。敵はこの四角い形をした出入り口、桝形虎口に入ると前面の石垣に圧倒され、三方から攻撃されるわけですから、たまったもんじゃないですよね〜。

おもシロ〜いポイントその3「積んだ時代がわかる石垣」

本丸の東隣に位置している曲輪(くるわ)では、自然岩盤を真ん中に、左右で積み方の違う石垣を発見!向かって右の石垣は、小ぶりの石が細々と積まれているのに比べ、左の方は、長方形の大ぶりの石が目地を揃えて積まれています。長沼さんいわく、大ぶりの石垣が積まれている方は天正後期(1586〜1591年)から後のもので、小ぶりの石積みはそれよりも前とのことで、時代によって積み方が違う石垣から土木技術の進化も見てとれます。また、ここには謎の石で囲った場所があり、これが井戸代わりの集水桝、水を溜め込むプールのようなものなのではないかとのことで、発掘調査が行われていました。

おもシロ〜いポイントその4「本丸」

  • 本丸虎口

本丸の入り口となる、本丸虎口には正面の石垣沿いに4つの礎石があることから、虎口全体を覆うような建物があったことが想像されますが、柱を作ると石垣が見えなくなってしまうことから建物は後から増築したのでは?と推理を楽しむこともできます。また、本丸内にも沢山の礎石が見られ、ここに、天守、御殿、櫓、そして、茶碗の出土などから茶室もあったのではないか、また発掘調査により、半地下式の建物の存在も推定され、なんだか豪邸訪問したようなワクワク感が得られます。さらに、本丸から見える眺望が最高!素晴らしい景色が楽しめます。

三宅唯美さん
標高約276メートルの古城山の山頂から一望できる景色は必見です。木曽川に架かる赤い橋のあたりに、かつて、兼山湊という河港があり、多くの舟が往来し栄えていました。
長沼毅さん
本丸からはその様子も見られ、港から上がってくる人にもこのお城を見せたいと思っていたことがうかがえます。
そのほか、中山道や、城下町、敵の城なども見渡せる、素晴らしい立地であることが分かります。
なぜ、ここにお城が築かれたのか、誰に見せたい城なのか。本丸からの景色から、美濃金山城は、防御施設であるとともに、見たいし見せたい城ということで作られているのが分かります。

おもシロ〜いポイントその5「米蔵跡広場」

そのほか、美濃金山城のふもとにある米蔵跡の、高さ5m〜7m、長さ40mある野面積みの立派な石垣も見応えありです!実は、正面の土地が荒れ果てて、景観が悪くなっていたそうですが、近年の山城ブームで県内外から多くの方が訪れる中、保全して住民や観光客に親しまれる遺跡にしようと、有志団体が立ち上がり、このような美しい広場になったそうです。そんな地域の皆さんの思いにも感動しました。ぜひ、皆さんも訪れてみてください。

この記事のレポーター

西村知穂(2021年度・2022年度)
西村知穂(2021年度・2022年度)
岐阜県を中心に、ラジオパーソナリティやテレビリポーター、司会、ナレーターとして活動中。昨年の夏に恵那市に移住。移住者目線の岐阜県の魅力や利酒師として大好きな岐阜の地酒も発信していきたいです。

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魅力が詰まった「ぎふ灯り物語2026」を
ご紹介させていただきます。

毎回大好評のプロジェクションマッピングや手持ち提灯の配布、キッチンカーの出店などその他関連イベントや連携イベントも多数開催されています。
詳しくは、公式サイトをご覧下さい。




◆開催期間◆
令和8年1月17日(土)から令和8年2月1日(日)まで

◆開催時間◆
午後5時30分 から 午後9時 まで
(最終入場/午後8時30分)

◆開催場所◆
岐阜公園/岐阜市大宮町1
正法寺/岐阜市大仏町8

◆チケット◆
【大人(大学生以上)】
平日:前売り券1,600円、当日券1,700円
土日:前売り券1,800円、当日券1,900円
【中学生・高校生】
平日:前売り券1,300円、当日券1,400円
土日:前売り券1,600円、当日券1,700円
【小学生以下・障がい者等】無料
当日券(会場販売)もありますが、チケット売場は混雑が予想されますので、お得な前売り券のお求めがオススメですよ

◆アクセス◆
・公共交通機関
「JR岐阜駅」または「名鉄岐阜駅」から岐阜バスで「長良橋方面行き」または「市内ループ線左回り」で約15分。
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・自動車
東海北陸自動車道「岐阜各務原I.C」から約20分または東海環状自動車道「岐阜I.C」から約15分で岐阜公園駐車場へ

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