地元レポーター発!旅のコラム

東美濃の山城はおもシロ〜い!「苗木城」篇

西村知穂(2021年度・2022年度)
西村知穂(2021年度・2022年度)
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岐阜の宝物に認定されている「東美濃の山城」 。全国に通用するふるさとの自慢として、平成29年に「岩村城跡と岩村城下町」「苗木城跡」「美濃金山城跡」が「東美濃の山城」として一体的に認定されました。そんな県下を代表する山城を、恵那市生涯学習課の三宅唯美さんと、日本城郭協会 学術委員の長沼毅さんにご案内いただきました。今回は、中津川市にある「苗木城(なえぎじょう)」をご紹介。自称、山城ガールの私、西村知穂が「おもシロ〜い!」と思ったポイントをリポートします。

巨岩の上に築かれた山城

「苗木城」は、苗木藩遠山家の居城で、中津川市にそびえる標高432mの高森山に築かれた国指定史跡の山城です。岩山の上にあって敷地の確保が困難だったため、建物の建築方法に、崖などの急な斜面に張り出して建てられた「懸造(かけづくり」を用いる等、自然の地形を有効に活かして築かれています。

おもシロ〜いポイントその1「足軽長屋からの眺望」

城跡の入り口の右手にある足軽長屋跡。かつて足軽の長屋(詰所)があった場所ですが、ここから見上げる苗木城跡は絶景!

頂上に築かれた天守台と巨岩の迫力に圧倒されます。天守跡と恵那山を同時に望めるので、これぞ「苗木城」という写真を撮ることができますよ〜。

私のスマホのカメラでも十分、綺麗に撮れました。

おもシロ〜いポイントその2「大矢倉(おおやぐら)」の石垣

  • 岩とコラボレーションした石垣
  • この石垣は打込接(うちこみはぎ)
  • 柱の跡
  • こちらも柱の跡
  • この石垣は「切込接(きりこみはぎ)」

三の丸に辿りつくと、まず目に飛び込んでくるのが古代遺跡を思わせるような石垣群です。こちらは、3階建ての大きな矢倉なのですが、注目して見てほしいのは岩盤とコラボレーションした石垣。なんと、自然の巨岩を基盤にしながら人口の石垣が積まれていて、迫力満点です。

また、石垣が年代によって異なる技法で積まれているのも見もの。この大矢倉では、石同士が接する部分を打ち欠いて平にし、隙間に間詰石を詰めながら積み上げる「打込接(うちこみはぎ)」と、石を削って隙間を極力、小さくしながら積み上げる「切込接(きりこみはぎ)」を同時に見ることができますよ〜。

長沼毅さん
苗木城は、まさに「石の城」!この山から沢山出る石を捨てるのであれば「石垣」を作ればいい。石を処理する1つの方法として「石垣」という使い道があったということが見てとれます。また、ここの岩盤は花崗岩(かこうがん)なので、表面がつるつるして安定した建物を建てることが難しいこともあり、石垣を積んで平場を作ったと考えられます。
三宅唯美さん
普通なら石垣の幅の建物が建っていたと想像しますが、石に柱を建てた跡が多く残っていることから、そこまで床を張り出し、石垣の幅よりももっと大きな建物、倉が建ち並んでいたということになります。柱を建てた分だけ床を張り出す懸造(かけづくり)で小さい面積のところに大きな建物を建てる工夫がされています。

おもシロ〜いポイントその3「くねくね道の謎」

  • 二の丸と三の丸を仕切っていた大門跡
  • くねくねした坂道が続く
  • 道の途中、大きな岩がゴロゴロ
  • 大きな柱跡

天守台へ向かう道は、くねくねとつづら折りになっていて、巨大な岩山のへりを右へ左へ曲がりながら登っていきます。綿倉門(わたくらもん)を超えると道が180度折れ曲がる急カーブがあり、本丸への第二の関門、坂下門(さかしたもん)へ。今でも門の礎石と手前の石段がしっかり残っているのがすごい!そしてその先には、菱櫓門跡(ひしやぐらもんあと)があり、横の巨石には門の柱を乗せるための大きな穴が残されていました。

三宅唯美さん
苗木城は、大きな城のように枡形などを作るスペースがないかわり、こういったカーブを要所ごとに設けて、防御していました。

おもシロ〜いポイントその4「小さなマチュピチュ」

菱櫓門跡の奥、本丸口門(ほんまるぐちもん)からはちょうど、三の丸の大矢蔵跡が見渡せるようになっているのですが、この景色が最高!

草木に覆われた石垣がまるで、小さなマチュピチュのようでした。ここも絶好の撮影ポイントですよ〜。

おもシロ〜いポイントその5「妄想を楽しむ」

苗木城には、武器蔵(ぶきぐら)、具足蔵(ぐそくぐら)と呼ばれる建物がありましたが、現在も礎石や縁石が当時のまま残されています。

そのほか、今でも水が湧き出ている「千石井戸(せんごくいど)」や、弓を射る練習をする的場跡などを見ると、建物や城での生活について、想像を巡らすことができます。

おもシロ〜いポイントその6「展望台からの絶景」

いよいよ「天守」に到着。かつて三層の天守が建てられていた山頂には、柱があった穴を再利用して組まれた展望台があります。

苗木城は、京都の清水寺と同じ「懸造」の城。かつての天守もこのような形で岩の上にせり出すように造られていたそうですが、「そんなところに建てて大丈夫なのかな?」と余計な心配をしてしまうくらい(笑)。ギリギリのところまでせり出しているのに、しっかりと組み上がっている柱から、先人の知恵と技術が見てとれます。また展望台からは恵那山や木曽川、市街地を360度見渡せる絶景が広がっていますよ〜。

三宅唯美さん
これほどまでに景色が良いのは、苗木城がかつての「信濃」と「美濃」の国境に位置し、中山道と飛騨街道を一望できる場所にあったからです。
長沼毅さん
なぜ、ここに城を建てたのか。この景色を見れば、一目瞭然。周囲を見渡すために建てられたお城と言えますね。

おもシロ〜いポイントその7「馬洗岩」

  • 人物と対比すると大きさがよく分かります

苗木城には巨石がたくさんありますが、なかでも天守台跡の南下にある「馬洗い岩」と呼ばれる岩が迫力満点!!めちゃくちゃ大きくて圧倒されます。ぜひ、横に並んで写真を撮ってみてください。

長沼毅さん
この岩は、周囲45mほどの自然石です。かつて、苗木城が敵に攻められ水を断たれた際に、この岩の上に馬を乗せて米で洗うことで「水が豊富である」と思い込ませたエピソードが由来となっています。

おもシロ〜いポイントその8「二の丸の礎石」

  • オレンジ色の部分が建物があった場所

二の丸には、領主遠山家の住居や家臣が集まる部屋があったということで、びっくりするほど多くの礎石が残されています。

三宅唯美さん
苗木城の案内図の色が変わっている部分は建物を表現しています。本などを読むと、苗木城は全然、櫓がないような印象を受けますが、実際は、多聞櫓のような大きな建物がずらりと並んでいました。

おもシロ〜いポイントその9「フォトジェニックな城」

苗木城は、どこから何を撮っても写り映えがよく、インスタ映えスポットとしても有名。四季折々、行く時間によっても全然、違う表情を見せてくれます。ぜひ、何度でも足を運んでみてください。

この記事のレポーター

西村知穂(2021年度・2022年度)
西村知穂(2021年度・2022年度)
岐阜県を中心に、ラジオパーソナリティやテレビリポーター、司会、ナレーターとして活動中。昨年の夏に恵那市に移住。移住者目線の岐阜県の魅力や利酒師として大好きな岐阜の地酒も発信していきたいです。

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毎回大好評のプロジェクションマッピングや手持ち提灯の配布、キッチンカーの出店などその他関連イベントや連携イベントも多数開催されています。
詳しくは、公式サイトをご覧下さい。




◆開催期間◆
令和8年1月17日(土)から令和8年2月1日(日)まで

◆開催時間◆
午後5時30分 から 午後9時 まで
(最終入場/午後8時30分)

◆開催場所◆
岐阜公園/岐阜市大宮町1
正法寺/岐阜市大仏町8

◆チケット◆
【大人(大学生以上)】
平日:前売り券1,600円、当日券1,700円
土日:前売り券1,800円、当日券1,900円
【中学生・高校生】
平日:前売り券1,300円、当日券1,400円
土日:前売り券1,600円、当日券1,700円
【小学生以下・障がい者等】無料
当日券(会場販売)もありますが、チケット売場は混雑が予想されますので、お得な前売り券のお求めがオススメですよ

◆アクセス◆
・公共交通機関
「JR岐阜駅」または「名鉄岐阜駅」から岐阜バスで「長良橋方面行き」または「市内ループ線左回り」で約15分。
「岐阜公園・岐阜城」バス停降りて直ぐ

・自動車
東海北陸自動車道「岐阜各務原I.C」から約20分または東海環状自動車道「岐阜I.C」から約15分で岐阜公園駐車場へ

※駐車場には限りがありますので、公共交通機関のご利用をオススメします
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